MENU
 

試用期間中の解雇・本採用拒否は認められる?能力不足の判断基準・14日ルール・手続きを社労士・弁護士が解説

「入社したばかりの社員の仕事ぶりが期待と違う。試用期間中なら辞めてもらえるのでは」「試用期間が終わる前に本採用を見送りたい」。採用のミスマッチに気づいたとき、多くの会社が考えるのが試用期間中の解雇や本採用拒否です。

試用期間中の解雇は、通常の解雇より広く認められます。しかし「試用期間中なら自由に辞めさせられる」わけではなく、理由や手続きを誤れば不当解雇として争われます。特に「入社から14日以内なら解雇できる」という誤解は根強く、トラブルの原因になっています。

この記事では、試用期間中の解雇・本採用拒否が認められる基準、14日ルールの正しい意味、新卒と中途採用での違い、解雇・延長・退職勧奨の選び方、手続きの流れと通知書のひな形、社会保険への影響まで、社会保険労務士・弁護士が解説します。

この記事のサマリ
  • 試用期間は、会社に解約権が留保された労働契約。通常の解雇より広く認められるが、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要。
  • 入社から14日以内で不要になるのは解雇予告だけ。解雇そのものが有効かどうかは、14日以内でも同じ基準で判断される。
  • 能力不足を理由にするなら、指導と改善の機会を与えた記録が必要。即戦力として高待遇で採用した中途採用は、新卒より認められやすい。
  • 判断に迷う場合は、すぐに解雇せず、試用期間の延長や退職勧奨を先に検討する。
  • 試用期間中でも社会保険は入社日から加入。解雇は会社都合の離職になり、一定期間受けられない助成金がある。
監修者
中内康裕_プロフィール写真

【中内 康裕 | 弁護士】
法律事務所 sui/株式会社altruloopホールディングス
会社法務・知的財産・訴訟対応を中心に、スタートアップから事業者まで幅広く支援。アンダーソン・毛利・友常法律事務所、三村小松法律事務所を経て、特許庁商標課にて法務調査員(任期付公務員)を歴任。現在は文化服装学院 非常勤講師・知的財産管理技能検定 試験委員を務め、商標・ファッションロー分野の第一線で活動。『年報知的財産法』ほか共編著・寄稿多数。
第一東京弁護士会 所属 | 登録番号:58036

監修者
野澤惇_プロフィール写真

【野澤 惇 | 社会保険労務士】
社労士事務所altruloop/株式会社altruloopホールディングス 代表
人事労務DD(人事労務デューデリジェンス)・IPO準備の労務監査/労務是正を強みとする社会保険労務士。建設・介護・医療・IT・製造・飲食・小売・人材・不動産など多業種の労務顧問、就業規則作成、人事評価制度構築にも対応。
登録番号:13250298

→プロフィールを見る

目次

試用期間中の解雇はできるのか

試用期間は「解約権が留保された労働契約」

試用期間は、入社後に従業員の能力や適性、勤務態度を見極めるための期間です。法律上は、会社が契約を解約する権利(解約権)を留保したうえで、すでに労働契約が成立している状態とされています(三菱樹脂事件・最高裁昭和48年12月12日判決)。

つまり、試用期間中の従業員も、正式に雇用された労働者です。試用期間中の解雇や、試用期間満了時に本採用しないこと(本採用拒否)は、どちらも法律上は「解雇」に当たります。

通常の解雇より広く認められるが、自由にはできない

最高裁は、留保された解約権の行使は、通常の解雇よりも広い範囲で認められるとしています。

一方で、解約権の趣旨や目的に照らして、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限られるとも判断しています。

具体的には、採用の時点では知ることができなかった事実を、試用期間中の勤務を通じて知った場合に、その事実から引き続き雇用するのが適当でないと判断することに合理性があれば、解約が認められます。

期間中の解雇と、期間満了時の本採用拒否の違い

区分タイミング判断のハードル
試用期間中の解雇試用期間の途中より高い。期間が残っているのに、見極めを終えた理由を説明する必要がある
本採用拒否試用期間の満了時期間中の解雇よりは認められやすい。期間全体を通じた評価で判断できる

試用期間の途中で解雇すると、「残りの期間で改善できたかもしれない」と判断されやすくなります。重大な規律違反などがない限り、試用期間の満了まで見極めてから判断する方が、有効と認められやすいのが実務の感覚です。

「14日以内なら自由に解雇できる」は誤解

14日以内で不要になるのは解雇予告だけ

労働基準法は、解雇するときは30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うよう定めています(20条)。ただし、試用期間中の従業員を入社から14日以内に解雇する場合は、この予告が不要です(21条)。

ここで誤解されやすいのが、「14日以内なら理由がなくても解雇できる」という理解です。

21条が外しているのは予告の手続きだけで、解雇の有効性の基準は14日以内でも変わりません。入社から数日しか経っていない段階では、能力や適性を見極めたと言える根拠がほとんどないため、むしろ解雇の合理性を説明するのは難しくなります。

14日の数え方

14日は、入社日から暦日で数えます。休日も含めて数えるため、「出勤日が14日」ではありません。入社日から数えて15日目以降に解雇する場合は、試用期間中であっても予告または予告手当が必要です。

14日を超えたら、30日前の予告か解雇予告手当が必要

予告の日数は、解雇予告手当を支払った日数分だけ短縮できます。たとえば10日前に予告する場合は、20日分の解雇予告手当を支払います。

解雇予告手当の計算例

解雇予告手当は、平均賃金 × 予告日数が足りない日数で計算します。平均賃金は、原則として直前3か月の賃金総額をその期間の総日数で割って求めます。入社から3か月に満たない場合は、入社後の期間で計算します。

例:入社2か月、月給30万円(賃金締切日ごとに30万円×2か月分、期間の総日数61日)の従業員を、予告なしで即日解雇する場合
  • 平均賃金:60万円 ÷ 61日 = 約9,836円
  • 解雇予告手当:約9,836円 × 30日 = 約29万5,000円

解雇・本採用拒否が認められる理由・認められない理由

能力不足

最も多い理由ですが、最も慎重な判断が必要な理由でもあります。「期待していた水準に届かない」だけでは足りず、具体的な指導をし、改善の機会を与えても改善しなかったことを示す必要があります。指導の記録がない状態での能力不足を理由とする解雇は、無効とされる可能性が高くなります。

勤務態度・協調性

無断欠勤や遅刻を繰り返す、上司の指示に従わない、同僚とのトラブルが続くといった問題は、注意しても改まらなければ解雇の理由になり得ます。一度の遅刻や、注意する前の問題行動だけでは足りません。

経歴詐称

採用の判断に影響する重要な経歴を偽っていた場合は、解雇の理由になります。たとえば、業務に必要な資格を持っていると申告していたのに持っていなかった、職歴を大きく偽っていたといったケースです。採用の判断に影響しない軽微な食い違いは、理由として認められにくくなります。

健康上の理由

病気やけがで業務に耐えられない状態が続く場合は、理由になり得ます。ただし、業務の軽減や配置の見直しで就労できるか、回復の見込みがあるかも考慮されます。業務が原因のけがや病気で休業している期間とその後30日間は、解雇できません(労働基準法19条)。

新卒と中途採用で判断基準が違う

項目新卒・未経験採用即戦力の中途採用
採用時の期待入社後に育成する前提特定の能力・経験を前提に採用
能力不足の評価教育・指導を尽くしたかが厳しく問われる。認められにくい前提とした能力がないことを示せれば、認められやすい
重視されること指導の内容と期間、改善の機会採用時に求めた能力が具体的に合意されていたか、待遇の高さ

中途採用で認められやすくするには、求人票や雇用契約書に、求める能力・役割・成果を具体的に書いておくことが前提になります。「営業経験者」とだけ書いて採用した場合は、新卒に近い基準で判断されることがあります。

認められた裁判例・認められなかった裁判例

裁判例事案の概要判断
オープンタイドジャパン事件(東京地裁平成14年8月9日判決)事業開発部長として高待遇で中途採用した従業員を、試用期間中に能力不足などを理由に解雇有効
日本基礎技術事件(大阪高裁平成24年2月10日判決)新卒の技術職が、安全に関する指導を繰り返し受けても改善しなかったため、試用期間中に解雇有効
ニュース証券事件(東京地裁平成21年1月30日判決)証券会社の営業職として中途採用した従業員を、6か月の試用期間の途中(約3か月)で営業成績不振を理由に解雇無効(見極めの期間が短すぎると判断)

有効とされた事案では、採用時に求めた役割が明確だったり、繰り返し指導しても改善しなかった経過が記録されていたりします。無効とされた事案では、試用期間を十分に使わずに結論を出したことが問題とされています。

弁護士 中内 康裕

試用期間の解雇の相談で最も多いのは、問題を感じていながら指導の記録を残しておらず、期間満了の直前になって慌てるケースです。裁判所が見ているのは、会社が何を期待し、それをどう伝え、どれだけの機会を与えたかという経過です。結論を急ぐより、記録を整えることを優先してください。

解雇・本採用拒否・延長・退職勧奨のどれを選ぶか

状況選ぶ手段
横領・暴力など重大な規律違反、重要な経歴詐称がある試用期間中の解雇を検討する(事前に弁護士へ確認)
問題はあるが、指導の記録がない・改善の機会を与えていない試用期間を延長し、目標を示して指導・記録する
指導しても改善の見込みがなく、本人も合わないと感じている退職勧奨で合意退職を目指す
期間全体を通じて改善が見られず、記録もそろっている試用期間満了時に本採用を拒否する

迷う場合は、すぐに解雇せず、延長か退職勧奨を先に検討するのが安全です。退職勧奨で合意できれば、解雇の有効性を争われるリスクを避けられます。退職勧奨の進め方は退職勧奨の進め方で解説しています。

あわせて読みたい
退職勧奨の進め方|違法にならない言い方・面談・合意書・解決金の相場を弁護士・社労士が解説 「能力不足の社員に辞めてもらいたいが、解雇できるほどの理由はない」「話し合いで円満に退職してもらうには、どう切り出せばよいのか」。問題を抱えた従業員への対応...
事例1:中途採用のエンジニアを2か月で本採用拒否したいという相談(IT企業)

即戦力として採用したエンジニアについて、入社2か月で「期待した水準に届かない」と相談を受けました。確認すると、求めるスキルが雇用契約書に書かれておらず、指導の記録もありませんでした。試用期間を1か月延長し、具体的な目標と週1回の振り返りを設定して記録を残したところ、改善が見られなかったため、本人と話し合い、退職勧奨による合意退職となりました。

事例2:遅刻と欠勤が続く新卒社員(介護事業所)

入社1か月で遅刻と当日欠勤が続いた新卒社員について、解雇できるかと相談を受けました。注意は口頭だけだったため、書面で注意したうえで、改善の期限を設定しました。その後は勤怠が安定し、予定どおり本採用となっています。

事例3:必要な資格を持っていなかった中途社員(建設業)

現場の管理に必要な資格を持っていると申告して入社した社員が、実際には取得していなかったことが判明しました。資格は業務に不可欠で、採用の判断に直結していたため、弁護士に確認のうえ、試用期間中に解雇しました。

試用期間の延長

延長できる条件

試用期間の延長は、会社が自由にできるものではありません。次の3つを満たす必要があります。

  • 就業規則や雇用契約書に、延長できる旨の定めがあること
  • 延長する合理的な理由があること:適性を判断しきれない具体的な事情がある
  • 本人に事前に通知すること:試用期間の満了前に、延長の理由と期間を伝える

延長期間の目安と、繰り返しの延長のリスク

延長期間は1〜3か月程度が一般的です。延長を何度も繰り返すと、従業員を不安定な立場に置き続けることになり、延長そのものが無効と判断されるおそれがあります。延長は原則1回とし、延長期間中に何を確認するのかを本人に具体的に示すことが大切です。

延長通知書に書く内容(ひな形)

試用期間延長通知書のひな形

令和〇年〇月〇日
〇〇 〇〇 殿
株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇

試用期間延長通知書

貴殿の試用期間は令和〇年〇月〇日までとしておりましたが、就業規則第〇条に基づき、下記のとおり延長することを通知します。

1.延長後の試用期間:令和〇年〇月〇日まで
2.延長の理由:〇〇の業務について、〇月〇日および〇月〇日に指導を行ったものの、本採用の判断に必要な〇〇の水準に達しているかを確認できていないため
3.延長期間中に確認する事項:〇〇の業務を〇〇の水準で遂行できること(毎週〇曜日に上長と振り返りを実施します)
4.延長期間の満了時に、上記の事項を踏まえて本採用の可否を判断します。

試用期間中に解雇するときの手順

①指導と記録

いつ、どの業務で、どのような問題があり、誰がどう指導したかを、日付と事実で記録します。口頭の注意だけで済ませず、重要なものは書面やメールで伝えて記録に残します。問題社員への対応全般は就業規則違反への正しい対応とはで解説しています。

あわせて読みたい
就業規則違反への正しい対応とは?|懲戒処分の進め方と損害賠償の基準 社内でルールを守らない社員が現れた際、経営者や人事担当者が最も悩むのは「どこまでの処分が許されるのか」という点ではないでしょうか。感情的に「即刻解雇だ!」と...

本採用を判断するときは、次のような項目で評価を記録しておくと、判断の根拠を説明しやすくなります。

評価項目確認する内容の例
業務遂行採用時に求めた業務を、求めた水準でできているか
指導への反応指導した内容を理解し、改善しているか
勤怠遅刻・早退・欠勤の回数と、事前連絡の有無
規律社内ルール・安全上の指示を守っているか
協調性報告・連絡・相談ができているか、周囲とのトラブルがないか
経歴・資格申告した経歴・資格に食い違いがないか

②改善の機会を与える

問題を伝えたうえで、いつまでに、何を、どの水準まで改善してほしいかを具体的に示します。改善の期限は、試用期間の残りの日数も考えて設定します。

③面談で事実を伝え、本人の言い分を聞く

解雇や本採用拒否を決める前に、本人と面談して評価の内容を伝え、言い分を聞きます。本人の説明で新たな事情が分かることもあり、弁明の機会を与えたこと自体が手続きの相当性を裏付けます。

④解雇の通知

解雇は口頭でも成立しますが、日付と理由を明確にするため、書面で通知します。入社から15日目以降なら、30日前の予告か解雇予告手当が必要です。

本採用拒否通知書(解雇通知書)のひな形

令和〇年〇月〇日
〇〇 〇〇 殿
株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇

本採用拒否通知書

当社は、貴殿の試用期間(令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで)の満了をもって、貴殿を本採用しないことを決定しましたので、就業規則第〇条に基づき通知します。

1.労働契約の終了日:令和〇年〇月〇日
2.理由:就業規則第〇条第〇号(〇〇)に該当するため。具体的には、〇〇の業務について〇月〇日、〇月〇日、〇月〇日に指導し、改善の期限を〇月〇日と定めたものの、〇〇の水準に達しなかったことによる
3.解雇予告手当:本通知が終了日の〇日前であるため、平均賃金の〇日分(〇〇円)を〇月〇日に支払います

理由の欄は、面談で伝えた内容や指導の記録と一致させます。ひな形はそのまま使うのではなく、個別の事情に合わせて弁護士に確認したうえで使うことをおすすめします。

⑤解雇理由証明書の請求への対応

従業員から請求があった場合、会社は解雇の理由を記載した証明書を遅滞なく交付しなければなりません(労働基準法22条)。予告期間中でも請求できます。ここに書いた理由は、後に紛争になったときの会社の主張の基礎になるため、通知書と矛盾しないようにします。

試用期間の決め方と、就業規則・雇用契約書の書き方

期間の長さの目安と、長すぎる試用期間のリスク

試用期間の長さに法律上の上限はありませんが、3〜6か月が一般的です。合理的な範囲を超えて長い試用期間は、公序良俗に反して無効とされることがあります(ブラザー工業事件・名古屋地裁昭和59年3月23日判決)。1年を超える設定は避けるべきです。

就業規則に定めておく項目

  • 試用期間の長さと、適用する対象(新卒・中途・雇用形態)
  • 試用期間を延長できる旨と、延長の上限
  • 試用期間中または満了時に本採用しない場合の事由
  • 試用期間を勤続年数に通算するかどうか

本採用しない事由は、「能力・適性が不十分と認められるとき」「勤務態度が不良で改善の見込みがないとき」「重要な経歴を偽っていたとき」のように具体的に書き、最後に「その他前各号に準ずる事由があるとき」と包括的な項目を入れておきます。

「お試し」の有期契約は試用期間と扱われることがある

正社員として採用する前に、「まずは3か月の契約社員で様子を見る」という方法をとる会社があります。しかし、その有期契約の目的が適性を見極めることにある場合、契約期間の満了で当然に終了するという明確な合意がない限り、試用期間と扱われます(神戸弘陵学園事件・最高裁平成2年6月5日判決)。この場合、期間満了で契約を終えることは本採用拒否と同じ扱いになり、合理的な理由が必要になります。

雇用契約書の書き方は雇用契約書の書き方と注意点で解説しています。

あわせて読みたい
雇用契約書の書き方と注意点とは?【パートアルバイト対応のテンプレート付き】 この記事でわかること 雇用契約書の書き方と、最新法令に対応した記載ルール 正社員・パート・契約社員など雇用形態別の注意点とテンプレートのポイント 最近の法改正で...

社会保険・離職票への影響

試用期間中でも、入社日から社会保険・雇用保険に加入する

試用期間を理由に、社会保険や雇用保険の加入を遅らせることはできません。加入の条件を満たしていれば、入社日から加入させる必要があります。加入日の考え方は社会保険はいつから加入?で解説しています。

あわせて読みたい
【2026年】社会保険はいつから加入?法人設立・入社・パートの加入日と手続きの期限を社労士が解説 社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する日は、法律で「加入の条件を満たした日」と決まっています。入社日から加入するのが原則で、「試用期間が終わってから」...

解雇の離職理由は会社都合になる

試用期間中の解雇や本採用拒否も解雇なので、雇用保険上は原則として会社都合の離職(特定受給資格者)になります。例外は、本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)として認められた場合です。離職票の手続きは雇用保険被保険者資格喪失届の書き方で解説しています。

あわせて読みたい
雇用保険被保険者資格喪失届の書き方 | 電子申請での提出方法や期限を過ぎた場合の対応方法も含めて社労... 従業員が退職した際に必要になるのが「雇用保険被保険者資格喪失届」です。退職後すぐに手続きを進める必要がありますが、「退職日と喪失日は同じ日付でいいの?」「自...

会社都合の離職者を出すと、一定期間受けられない助成金がある

キャリアアップ助成金などの雇用関係の助成金には、一定期間内に事業主都合による離職者を出していないことを要件とするものがあります。試用期間中の解雇も事業主都合の離職に当たるため、助成金の申請を予定している会社は、時期を事前に確認する必要があります。

よくある質問

試用期間中の従業員から退職を申し出られたら、いつ辞められますか?

期間の定めのない雇用契約なら、退職の申し入れから2週間で契約は終了します(民法627条)。試用期間中でも同じです。会社が承諾すれば、それより早く退職日を設定することもできます。

試用期間中に解雇された従業員は、会社都合になりますか?失業保険はどうなりますか?

原則として会社都合の離職として扱われ、失業給付の給付制限はありません。ただし、雇用保険の被保険者期間が足りなければ失業給付は受けられません。従業員から質問を受けることが多いため、離職票の離職理由とあわせて説明できるようにしておくと、トラブルを防げます。

パート・アルバイトの試用期間でも、同じルールですか?

同じです。雇用形態にかかわらず、試用期間中の解雇には合理的な理由が必要で、14日を超えれば解雇予告も必要です。

試用期間中の給与を、本採用後より低くしてよいですか?

雇用契約書で明示していれば可能です。ただし最低賃金は下回れません。試用期間中の最低賃金の減額特例を使うには、都道府県労働局長の許可が必要です。

内定者にも試用期間を設けられますか?

設けられます。内定の段階ですでに労働契約は成立しているとされ、入社後の試用期間は内定とは別に設定します。内定の取消しにも、試用期間中の解雇と同じように合理的な理由が必要です。

まとめ

本記事のまとめ
  • 試用期間中の解雇・本採用拒否は、通常の解雇より広く認められるが、合理的な理由と相当性が必要。
  • 14日以内で不要になるのは解雇予告だけ。解雇の有効性の基準は変わらない。
  • 能力不足を理由にするなら、指導と改善の機会を与えた記録を残す。中途採用は、求める能力を契約書に明記しておく。
  • 迷ったら、すぐに解雇せず、延長か退職勧奨を先に検討する。
  • 社会保険は入社日から加入。解雇は会社都合の離職になり、助成金に影響することがある。

社労士事務所altruloopでは、試用期間の就業規則・雇用契約書の整備から、本採用の判断に向けた指導記録の残し方、解雇や退職に伴う手続きまで対応し、解雇の有効性の判断や紛争の対応はグループの弁護士と連携して進めます。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

監修者

【野澤 惇|社会保険労務士】
社労士事務所altruloop/株式会社altruloopホールディングス 代表
人事労務DD(人事労務デューデリジェンス)・IPO準備の労務監査/労務是正を強みとする社会保険労務士。建設・介護・医療・IT・製造・飲食・小売・人材・不動産など多業種の労務顧問、就業規則作成、人事評価制度構築にも対応。
登録番号:13250298

目次