「夫が亡くなったら、遺族年金は月いくらになるのか」。遺族年金の金額は、亡くなった人が会社員か自営業か、年金を受け取っていたか、遺族に子どもがいるか、遺族自身にも年金があるかで大きく変わります。
この記事では、夫の年金額別・家族構成別の早見表で遺族年金の目安を示し、計算方法と、自分の数字を入れて試算できるシミュレーターまで、社会保険労務士が解説します。金額はすべて2026年度(2026年4月分から)の年金額で計算しています。
- 夫の年金が月15万円の場合、65歳以上で専業主婦だった妻が受け取る遺族厚生年金は年約71万円(月約6.0万円)。妻自身の老齢基礎年金と合わせて月約13.0万円が目安。
- 65歳以上の妻に自分の老齢厚生年金がある場合は、それが先に支給され、遺族厚生年金は差額だけ。合計額は、専業主婦だった場合と変わらないことが多い。
- 現役の会社員の夫が亡くなり子が2人いる場合、平均標準報酬額30万円なら年約170万円(月約14.2万円)が目安。
- 自営業の夫が亡くなった場合は遺族基礎年金だけで、子1人で年109万1,100円。子がいなければ遺族年金はない。
- 遺族年金(厚生年金)の受給者の平均は月8万2,209円(2024年度末)。

【野澤 惇 | 社会保険労務士】
社労士事務所altruloop/株式会社altruloopホールディングス 代表
人事労務DD(人事労務デューデリジェンス)・IPO準備の労務監査/労務是正を強みとする戦略コンサルティングファーム出身の社会保険労務士。建設・製造・飲食・小売・人材派遣・SES・IT・医療・介護・医薬品・不動産・投資ファンドなど多業種の労務顧問、就業規則作成、人事評価制度構築にも対応。
登録番号:13250298
【早見表】夫の年金額別にもらえる遺族年金(65歳以上の妻)

年金を受け取っていた夫が亡くなった場合の、65歳以上の妻が受け取る年金の目安です。夫の年金月額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた額面(天引き前)です。
| 夫の年金(月額) | 遺族厚生年金の額 | 妻の受取合計:妻の厚生年金なし(専業主婦) | 妻の受取合計:妻の厚生年金 年50万円 | 妻の受取合計:妻の厚生年金 年100万円 |
|---|---|---|---|---|
| 10万円 | 年264,525円(月約2.2万円) | 月約9.3万円(年1,111,825円) | 月約11.2万円(年1,347,300円) | 月約15.4万円(年1,847,300円) |
| 15万円 | 年714,525円(月約6.0万円) | 月約13.0万円(年1,561,825円) | 月約13.1万円(年1,573,650円) | 月約15.4万円(年1,847,300円) |
| 18万円 | 年984,525円(月約8.2万円) | 月約15.3万円(年1,831,825円) | 月約15.3万円(年1,831,825円) | 月約16.7万円(年2,003,650円) |
| 20万円 | 年1,164,525円(月約9.7万円) | 月約16.8万円(年2,011,825円) | 月約16.8万円(年2,011,825円) | 月約17.7万円(年2,123,650円) |
| 25万円 | 年1,614,525円(月約13.5万円) | 月約20.5万円(年2,461,825円) | 月約20.5万円(年2,461,825円) | 月約20.5万円(年2,461,825円) |
- 夫の年金:老齢基礎年金は満額(年847,300円)で、残りをすべて老齢厚生年金(報酬比例部分)とした。加給年金・経過的加算は含まない
- 妻の年金:老齢基礎年金は満額(年847,300円)。経過的寡婦加算は含まない
- 受取合計:妻の老齢基礎年金+妻の老齢厚生年金+遺族厚生年金の差額

表のとおり、妻に自分の老齢厚生年金があっても、遺族厚生年金より少なければ、受け取る合計額は専業主婦だった場合とほぼ変わりません。自分の老齢厚生年金が先に支給され、遺族厚生年金はその分を差し引いた差額だけになるためです。共働きだった夫婦ほど、遺族厚生年金として振り込まれる額は小さくなります。
夫が年金月15万円の場合の計算
- 夫の老齢厚生年金:15万円×12か月=180万円から老齢基礎年金847,300円を引いて、952,700円
- 遺族厚生年金の額:952,700円×4分の3=714,525円(月約6.0万円)
- 専業主婦だった妻の受取合計:妻の老齢基礎年金847,300円+714,525円=1,561,825円(月約13.0万円)
夫が70歳以上・80歳以上で亡くなった場合
夫が老齢厚生年金を受け取っていれば、70歳以上でも80歳以上でも、生計を維持されていた妻は遺族厚生年金を受け取れます。金額の決まり方は年齢にかかわらず同じで、夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3が基本です。上の早見表をそのまま使えます。
ただし、70歳以上の妻(昭和31年4月1日以前生まれ)には、次の違いがあります。
- 経過的寡婦加算:夫の厚生年金の加入期間が原則20年以上あれば、遺族厚生年金に経過的寡婦加算(生年月日に応じて年21,147円〜633,700円)がつく。早見表の金額より増える
- 老齢基礎年金の満額:昭和31年4月1日以前生まれの人の満額は年844,900円で、早見表の前提より少し少ない
- 妻自身の年金が少ない場合:国民年金の加入期間が短く、老齢基礎年金が満額に届かない人も多い。その場合は、受取合計が早見表より少なくなる
遺族厚生年金は請求しないと支給されません。夫が亡くなったら、未支給年金の請求とあわせて年金事務所で手続きします。
現役世代で夫が亡くなった場合の目安

会社員・公務員の夫が在職中に亡くなった場合の目安です。遺族厚生年金は、加入期間が300月(25年)に満たなくても300月として計算されます。
| 夫の平均標準報酬額 | 子2人の期間 | 子1人の期間 | 子のない妻(40〜64歳) | 子のない妻(40歳未満) |
|---|---|---|---|---|
| 25万円 | 年1,643,206円(月約13.7万円)遺族年金はいくらもらえる?夫の年金額別の早見表と計算方法、シミュレーション【2026年度】 | 年1,399,406円(月約11.7万円) | 年943,806円(月約7.9万円) | 年308,306円(月約2.6万円) |
| 30万円 | 年1,704,868円(月約14.2万円) | 年1,461,068円(月約12.2万円) | 年1,005,468円(月約8.4万円) | 年369,968円(月約3.1万円) |
| 35万円 | 年1,766,529円(月約14.7万円) | 年1,522,729円(月約12.7万円) | 年1,067,129円(月約8.9万円) | 年431,629円(月約3.6万円) |
| 40万円 | 年1,828,190円(月約15.2万円) | 年1,584,390円(月約13.2万円) | 年1,128,790円(月約9.4万円) | 年493,290円(月約4.1万円) |
| 50万円 | 年1,951,513円(月約16.3万円) | 年1,707,713円(月約14.2万円) | 年1,252,113円(月約10.4万円) | 年616,613円(月約5.1万円) |
- 遺族厚生年金:加入期間はすべて2003年4月以降で300月。平均標準報酬額×5.481/1000×300月×4分の3
- 子がいる期間:遺族厚生年金+遺族基礎年金(子2人は年1,334,900円、子1人は年1,091,100円)
- 子のない妻(40〜64歳):遺族厚生年金+中高齢寡婦加算(年635,500円)。子が18歳年度末を過ぎて遺族基礎年金がなくなった40〜64歳の妻も同じ
- 子のない妻(30歳未満):遺族厚生年金は5年間のみ

たとえば平均標準報酬額30万円の夫が亡くなり、子が2人いる場合、子が18歳年度末を迎えるまでは年約170万円(月約14.2万円)です。子が1人になると年約146万円、子がいなくなった後は妻が40〜64歳なら年約101万円(中高齢寡婦加算を含む)、65歳からは遺族厚生年金と妻自身の老齢年金の組み合わせに変わります。
自営業の夫が亡くなった場合
自営業など国民年金だけに加入していた夫が亡くなった場合、受け取れるのは遺族基礎年金だけです。子がいない妻は遺族年金を受け取れません。
| 家族構成 | 遺族基礎年金(2026年度) |
|---|---|
| 妻と子1人 | 年1,091,100円(月約9.1万円) |
| 妻と子2人 | 年1,334,900円(月約11.1万円) |
| 妻と子3人 | 年1,416,200円(月約11.8万円) |
| 妻のみ(子なし) | なし(寡婦年金または死亡一時金の対象になることがある) |
寡婦年金・死亡一時金の要件は、遺族年金とは?もらえる人・金額・いつまでで解説しています。

遺族年金の平均額
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和6年度)」によると、2024年度末の厚生年金保険の遺族年金の受給権者は620万2,286人で、平均年金月額は8万2,209円です。受給権者の大半は65歳以上の妻で、夫の老齢厚生年金の水準がそのまま反映されます。平均はあくまで目安で、実際の額は夫の現役時代の収入と加入期間、妻自身の年金で決まります。
遺族年金の計算方法
1. 遺族基礎年金
847,300円(昭和31年4月1日以前生まれの配偶者は844,900円)に、子の加算額(1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円)を足します。子のいない配偶者は対象外です。
2. 遺族厚生年金
亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)×4分の3です。報酬比例部分は次の式で計算します。
- 2003年3月以前の期間:平均標準報酬月額×7.125/1000×加入月数
- 2003年4月以降の期間:平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
在職中の死亡などの場合は、加入期間が300月未満でも300月として計算します。年金を受け取っていた人が亡くなった場合は、その人の老齢厚生年金の額から逆算できます(早見表の考え方)。
3. 65歳以上で自分の老齢厚生年金がある場合
- 遺族厚生年金の額を決める。「亡くなった配偶者の報酬比例部分×4分の3」と「亡くなった配偶者の報酬比例部分×2分の1+自分の老齢厚生年金×2分の1」の高い方
- 自分の老齢厚生年金を全額支給する
- 1の額から自分の老齢厚生年金を引いた差額を、遺族厚生年金として支給する(マイナスなら支給なし)
自分の老齢基礎年金は、これとは別に全額受け取れます。
遺族年金シミュレーター
夫の年金額や家族構成を入れると、受け取れる年金の目安を計算できます。「年金を受給中の夫が亡くなった」は65歳以上の妻、「現役の夫が亡くなった」は65歳未満の妻の場合です。
※2026年度の年金額(遺族基礎年金847,300円、子の加算243,800円・3人目以降81,300円、中高齢寡婦加算635,500円)で計算した目安です。加給年金・経過的加算・経過的寡婦加算、2003年3月以前の加入期間の計算の違いは含みません。正確な額は年金事務所でご確認ください。
自分のケースの金額を確認する方法
- 年金額改定通知書・年金振込通知書:年金を受け取っている夫の老齢基礎年金・老齢厚生年金の額がわかる。早見表やシミュレーターの入力に使える
- ねんきん定期便・ねんきんネット:現役世代は、これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金の見込額がわかる。遺族厚生年金はその4分の3が目安(在職中の死亡は300月みなしで増える)
- 年金事務所・街角の年金相談センター:夫の基礎年金番号がわかれば、遺族年金の見込額を試算してもらえる
よくある質問
夫が年金月20万円の場合、遺族年金はいくらですか?
夫の老齢基礎年金を満額とすると、遺族厚生年金は年約116万円(月約9.7万円)です。専業主婦だった65歳以上の妻なら、自分の老齢基礎年金と合わせて月約16.8万円が目安です。
遺族年金と自分の年金は、どちらか多い方を選ぶのですか?
65歳以上の場合は選ぶ必要はありません。自分の老齢基礎年金と老齢厚生年金は全額支給され、遺族厚生年金の額の方が多ければ、その差額が自動的に上乗せされます。
妻が亡くなった場合、夫はいくらもらえますか?
妻が会社員だった場合、夫が受け取れる遺族厚生年金は、妻の死亡時に夫が55歳以上の場合に限られ、支給は60歳からです。子がいる場合は、遺族基礎年金と、子が受け取る遺族厚生年金があります。中高齢寡婦加算は夫にはつきません。
遺族年金から税金や保険料は引かれますか?
遺族年金は非課税で、所得税・住民税はかかりません。ただし、介護保険料や国民健康保険料・後期高齢者医療保険料は、年金から天引きされることがあります(遺族年金のみの場合は、保険料の計算の所得には含まれません)。
2028年4月の改正で金額は変わりますか?
2028年4月以降に配偶者を亡くした、60歳未満で子のない人の遺族厚生年金は、原則5年間の有期給付になり、その5年間は約1.3倍に増額されます。すでに受け取っている人や、65歳以上の人の金額は変わりません。詳しくは遺族年金の改正(2028年4月)で解説しています。

まとめ
- 夫が年金月15万円なら、遺族厚生年金は月約6.0万円。専業主婦だった65歳以上の妻は、自分の老齢基礎年金と合わせて月約13.0万円が目安。
- 65歳以上は、自分の老齢厚生年金が先に支給され、遺族厚生年金は差額だけ。合計額は専業主婦だった場合と変わらないことが多い。
- 現役の会社員の夫が亡くなった場合は、子がいる間は遺族基礎年金と遺族厚生年金、子がいなくなった後は中高齢寡婦加算がつく。
- 自営業の夫の場合は遺族基礎年金だけで、子がいなければ遺族年金はない。
- 正確な額は、年金額改定通知書やねんきん定期便の数字でシミュレーターに入力するか、年金事務所で確認する。