「後継者不在」は、多くの中小企業が直面する壁です。不在率は50.1%に改善した一方、後継者難で倒産する社長の平均年齢は69.8歳。「そろそろ」と動き出しては時間切れになるケースが多発しています。
「廃業するしかない」と諦める前に、客観的な選択肢を知ることが不可欠です。本記事では業者のポジショントークを排し、社労士の中立的な視点から後継者不在の解決策と具体的なアクションを解説します。
※事業承継全体の流れは「【2026年版】事業承継の流れを5ステップで解説」、承継準備の基礎となる労務面の点検は「事業承継における労務デューデリジェンス」もあわせてご参照ください。
- 現状分析:後継者不在率は改善しつつも、倒産が高止まりしている矛盾とその背景
- 3つの類型:自社がどのパターンに該当するか、後継者不在の根本原因を特定
- 5つの出口戦略:廃業以外の道を探る、現実的な事業承継の選択肢
- 5つの準備アクション:どの出口を選ぶにせよ、今すぐ着手すべき必須事項

- 事業承継に伴う労務課題をワンストップで解決
- 就業規則・退職金制度・給与計算・社保手続きまで幅広く対応
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事業承継における後継者不在の現状|中小企業の実態
まず、日本の事業承継・後継者問題の現在地を、最新データで把握します。
2025年最新データ|後継者不在率50.1%への改善

帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」によれば、主要データは以下のとおりです。
- 2025年の後継者不在率:50.1%(前年比2.0pt低下、7年連続改善)
- 2017年比では16.4ptの大幅低下
- 業種別の最低:金融・保険業31.4%
- 業種別の最高:自動車・自転車小売62.3%、職別工事61.3%
- 都道府県別の最低水準:三重県34.1%(4年連続)
- 都道府県別の最高水準:秋田県72%超
後継者不在の解消は、コロナ禍以降の官民一体の事業承継支援、M&A仲介の普及、マッチングサービスの登場、経営者の意識変化などが複合的に作用した結果と分析されています。
改善の背景|事業承継における脱ファミリー化の加速

近年の事業承継における最大のトレンドは 「脱ファミリー化」 です。
2020〜2024年の代表者交代企業の就任経緯を見ると、従来最多だった「同族承継」を「内部昇格」が逆転しました。
- 2023年実績:同族承継36.0%、内部昇格34.4%(1.6pt差)
- 2024年速報:内部昇格36.4%、同族承継32.2%(逆転)
- M&Aによる承継:20.5%(増加傾向)
- 外部招聘:7.5%(増加傾向)
事業承継において「血のつながり」に頼らないパターンが、日本の中小企業でも一般化しつつあります。この変化は、「親族に後継者がいない=承継不可能」という従来の思い込みを打ち破る、重要なパラダイムシフトです。
それでも後継者難倒産は高水準

後継者不在率の改善傾向とは対照的に、後継者難倒産は高止まりしています。
- 2024年1-10月の後継者難倒産:455件(過去最多級)
- 倒産時の社長平均年齢:69.8歳
- 社長の平均年齢:60.7歳(34年連続上昇)
この数字から読み取れるのは、「今から事業承継準備を始めても、実行完了までの時間が足りない経営者」 が相当数存在するという深刻な現実です。5〜10年の準備期間が必要な事業承継において、70歳を超えてから動き出すのは実質的に手遅れに近いタイミングです。
「計画中止・取りやめ」層の存在

さらに注目すべきは、一度決まっても、後継者不在に戻るケース です。帝国データバンクの追跡調査では、2023年に後継者候補がいたが2024年に後継者不在となった企業が一定数存在することが示されています。
主な原因は以下のとおりです。
- 後継者候補の辞退・退社
- 経営環境の急激な変化による計画中止
- 現代表者による後継者選びの見直し
「後継者候補がいる」だけでは安心できず、承継実行まで候補者を引き留め続ける継続的な働きかけが必要、というのが最新の実務課題です。
改善傾向と倒産高止まりの同時進行をどう読むか
後継者不在率の改善と後継者難倒産の高止まり、この一見矛盾する2つのデータは、次のように解釈できます。
- 改善傾向は「事業承継準備に動き出した企業」の増加を反映
- 実際の承継完了には5〜10年かかるため、現時点の倒産は 10年前に準備を始めなかった企業 が中心
- つまり、「今動けば間に合う経営者」 と 「もう手遅れの経営者」 が二極化している
自社がどちらの側に立っているかを冷静に見極めることが、重要となります。
社労士:野澤惇経営者との最初の会話で『うちの会社は特殊だから』という言葉を聞くことが多いですが、データを見せると納得されます。『半数の経営者が同じ悩みを抱えている事実が、事業承継をする際の一歩となります。
なぜ後継者がいないのか
事業承継の文脈で「後継者がいない」と一言で言っても、その原因は大きく3つに分けられます。
類型①|候補はいるが承継を希望していない
親族や従業員の中に候補者はいるが、本人が承継を望んでいないパターンです。典型的な事例としては以下があります。
- 子どもはいるが、別の仕事をしていて後継ぎを希望しない
- 従業員の幹部候補はいるが、経営者になる責任を負いたくない
- 候補者の配偶者が承継に反対している
このパターンの根本原因は「承継意思の不在」であり、会社や候補者本人の能力が問題ではありません。解決策は、候補者の 承継拒否理由を具体化 し、その理由を一つひとつ解消していくアプローチです。
- 経営者保証の負担が理由なら経営者保証ガイドライン特則の活用
- 経営能力への不安が理由なら段階的な育成プログラム
- 業界・会社の将来不安が理由なら経営改善・磨き上げによる魅力向上
類型②|候補はいるが能力・準備が不足
親族や従業員に候補者はいるが、経営能力や育成期間の面で不安があるパターンです。経営者が高齢化し、育成に残された時間が不足しているケースも含まれます。
- 親族後継者が経営経験ゼロで、育成に5年以上かかる見込み
- 従業員後継者が技術面では優秀だが、経営判断の経験がない
- 経営者がすでに70歳を超え、育成の時間的余裕がない
このパターンの解決策は、段階的育成と並行する「補完戦略」 です。
- 後継者の経営能力を外部人材で補完(COO体制、外部取締役の招聘)
- M&Aで買い手企業の経営リソースを活用(子会社として承継)
- 従業員承継+外部経営者招聘のハイブリッド
「候補者一人に全てを背負わせない設計」が鍵となります。
類型③|そもそも候補者がいない
親族にも従業員にも候補者がおらず、外部の候補者も見つけられていないパターンです。小規模事業者・個人事業主に多く見られます。
- 親族なし、または親族全員が他業界で確立済み
- 従業員がいない、または全員が非正規・高齢
- 業界・地域の魅力が低く、外部から後継者を招聘できない
このパターンの解決策は、社外からの後継者獲得 または 事業そのものの処理 に向かいます。
- M&A(第三者承継):買い手企業に経営全体を承継
- 経営資源引継ぎ:事業の一部を他社に譲渡
- 計画的廃業:従業員・取引先への影響を最小化した終了
類型別の選択肢マップ
3類型ごとに、取り得る事業承継の選択肢の優先順位が異なります。
| 類型 | 第1選択肢 | 第2選択肢 | 第3選択肢 |
|---|---|---|---|
| ①候補者拒否 | 候補者の懸念解消 | 外部候補探索 | M&A |
| ②能力・準備不足 | 段階的育成+補完 | M&A(子会社化) | 外部招聘 |
| ③候補者ゼロ | M&A | 経営資源引継ぎ | 計画的廃業 |
自社がどの類型に当てはまるかを判別するだけで、取るべき打ち手の方向性が大きく絞り込めます。



まずは『候補者ゼロなのか、候補者はいるが動かないのか』を整理することが、事業承継への第一歩です
事業承継で後継者不在の場合に取り得る5つの選択肢|廃業だけが選択肢ではない
事業承継で後継者不在の経営者が取り得る選択肢は5つあります。
M&A仲介は「M&A一択」、税理士は「税制対策」に偏るため、中立的に5選択肢を俯瞰する視点が重要です。
選択肢①|親族内承継(候補者の説得・育成)
親族内承継の可能性を改めて探る選択肢です。候補者がすでに「継ぐ気がない」と言っている場合でも、理由によっては解決できるケースがあります。
- 主なアプローチ
-
- 候補者の拒否理由を具体的に確認する(家族・配偶者の懸念含む)
- 経営者保証の解除交渉(候補者の最大の懸念事項)
- 段階的な経営参画(副業・業務委託からのソフトランディング)
- 経営改善による会社の魅力向上
- メリット
-
意思決定がシンプル、企業文化・取引先関係の継続性、事業承継税制の活用可能性
- デメリット
-
候補者不在の場合は使えない、候補者の能力不足リスク、親族内の相続紛争リスク
選択肢②|従業員承継(MBO/EBO)
社内の幹部社員・役員への承継です。「脱ファミリー化」のトレンドの主役となっている選択肢で、2024年には同族承継を逆転しました。
- 主なアプローチ
-
- 候補者の選定(年齢40代以降、管理職経験10年以上が実務の目安)
- 後継者の株式取得資金の調達(金融機関融資、MBO支援ファンドの活用)
- 既存株主(先代経営者)との譲渡条件交渉
- 他従業員への説明と受容の醸成
- メリット
-
業務知識・企業文化・取引先関係の継続、従業員の理解を得やすい
- デメリット
-
後継者の資金調達難易度、同僚だった従業員との関係性変化、他株主との交渉の複雑さ
選択肢③|第三者承継(M&A)
社外の買い手企業に経営全体を承継する選択肢です。後継者候補がゼロでも選択可能なため、近年急速に一般化しています。
- 主なアプローチ
-
- M&A仲介会社、事業承継・引継ぎ支援センター、M&Aマッチングサイトの活用
- 成約までの期間:1〜3年が目安、小規模M&Aなら半年〜1年
- 基本合意〜DD〜最終契約のプロセス
- メリット
-
後継者候補ゼロでも選択可能、売却対価の受領、買い手企業のリソース活用
- デメリット
-
適切な買い手が見つかるとは限らない、企業文化のズレリスク、従業員の離職リスク
承継後の従業員対応の詳細は「事業譲渡で従業員はどうなる?転籍・同意書・退職金清算の実務」「M&A後の人事・労務PMI」をご参照ください。
選択肢④|経営資源引継ぎ(部分的な事業譲渡+廃業)
事業全体ではなく、一部を他社に譲渡し、残りを廃業する選択肢です。中小企業庁が推進する「経営資源引継ぎ」施策の一環として、近年注目が高まっています。
- 主なアプローチ
-
- 事業の中で「他社が引き継ぎたい価値」を抽出
- 設備・人材・取引先の一部を他社に譲渡
- 残りは計画的に廃業
- メリット
-
有望部分の事業継続と円満な店じまいの両立、従業員の一部でも再就職先確保、地域経済への影響緩和
- デメリット
-
一部譲渡・一部廃業の実務が複雑、買い手探しに時間がかかる
選択肢⑤|廃業(計画的廃業)
最後の選択肢ですが、計画的に進めることで立派な出口戦略 となります。他メディアはM&A営業のバイアスから廃業を軽く扱いがちですが、実務では重要な選択肢です。
- 主なアプローチ
-
- 3〜5年の準備期間を確保
- 従業員の再就職支援(ハローワーク連携、取引先への雇用依頼)
- 取引先への事前通告と代替事業者の紹介
- 設備・在庫の売却計画
- 廃業再チャレンジ枠の補助金活用
- メリット
-
確実な終了、経営者の意思どおりに時期をコントロール可能
- デメリット
-
雇用・技術・取引関係の喪失、地域経済への影響
5選択肢の判断マトリクス
5つの選択肢のどれを選ぶべきかは、自社の状況によって決まります。4つの軸で判断マトリクスを整理します。
| 軸 | 判断ポイント |
|---|---|
| 候補者の有無 | 親族・従業員に候補者がいるか(類型①②③) |
| 業績 | 買い手が見つかる水準か(M&Aの可否を左右) |
| 時間の余裕 | 経営者年齢と健康状態(育成期間確保の可否) |
| 資金状況 | 後継者の資金調達力、経営者の手元資金 |
このマトリクスを基に、自社の状況に最も適した選択肢を特定します。「選択肢が1つに絞り込めない」場合は、親族内+M&A の並行検討など、複数の選択肢を並行して進めることも実務上は可能です。
事業承継の準備アクション|後継者不在を解消する5つのステップ
「選択肢はわかった、でも事業承継の準備として何から始めればよいか」という次の疑問に答えます。どの選択肢を選ぶにしても、共通して有効な準備アクションが5つあります。
自社の財務や組織状況に加え、特に見落としがちな「労務面の棚卸し」が事業承継の第一歩です。
未払い残業代や社保未加入といった労務の簿外リスクは、M&A時の買収価格減額や後継者の負担増に直結するため、初期段階で労務デューデリジェンスを実施してリスクを可視化しましょう。
後継者が承継を拒否する最大のハードルである「経営者保証(個人保証)」の引き継ぎは、先代の保証を解除して後継者にも保証を求めない「経営者保証ガイドライン特則」の活用で解決を図れます。
金融機関との具体的な交渉手順については、別記事にて解説予定です。
経営者個人に業務や関係性が集中する「属人性」は、事業承継の最大の阻害要因です。
どの選択肢を選ぶにせよ、業務の標準化・マニュアル整備、段階的な権限委譲、取引先対応の幹部への移管、意思決定の見える化を進め、誰にでも引き継げる組織体制を作ることが不可欠です。
承継手段を問わず「キーマンの定着」は事業承継の成否を左右します。
離職連鎖による計画の頓挫を防ぐため、適切な処遇・キャリアパスの整備、1on1面談を通じたビジョン共有、労務トラブルの早期対応などを行い、従業員のエンゲージメントを維持することが不可欠です。
承継方針が未定の段階では、まず全国の公的機関「事業承継・引継ぎ支援センター」へ相談しましょう。
無料かつ中立的な立場で、全選択肢(親族・従業員・M&A等)への助言や専門家の紹介を行ってくれます。「M&Aありき」になりがちな民間業者とは異なり、客観的な判断材料が得られる最適な最初の相談窓口です。
後継者候補がいる場合の「辞退・計画中止」への対処
帝国データバンクの追跡調査で明らかになった 「一度は決まった後継者候補が辞退・計画中止となる」 パターンへの対策は重要な論点です。
後継者候補の辞退が起きる典型的な理由
後継者候補が承継を辞退する理由は、概ね以下5パターンに集約されます。
- 経営者保証の負担(個人保証の承継への抵抗)
- 業界・会社の将来不安(事業の先行きが見えない)
- 本人のキャリア志向の変化(転職、起業、別業界への興味)
- 家族(配偶者・子ども)の反対
- 先代経営者との関係悪化
これらは、いずれも 事前の対話で把握可能 な論点です。辞退の兆候は、ある日突然発生するわけではなく、数ヶ月〜数年かけて醸成されます。
計画中止を防ぐコミュニケーション設計
辞退・計画中止を防ぐには、候補者との継続対話が不可欠です。
- 年1〜2回の定期面談の設定(事業承継計画の進捗確認と懸念の共有)
- 候補者の家族への理解促進(配偶者との対話機会の設定)
- 経営数字の共有(会社の将来性への不安を解消)
- 後継者の役割・処遇の明確化(承継後のビジョン)
定期対話の中で、候補者の意欲低下や家族の反対といった兆候を早期察知し、対処することが重要です。
複数候補の並行検討
単独候補への依存は大きなリスクです。候補者が1人しかいないと、辞退されたときに一気にゼロに戻ってしまいます。
実務的には、以下のような並行検討が有効です。
- 親族候補+従業員候補の両にらみ
- 従業員候補+M&Aの両にらみ
- 親族候補+M&Aの両にらみ
「保険としてM&Aの準備も進めておく」というスタンスは、決して不誠実ではなく、むしろ現実的な事業承継の経営判断です。
辞退された場合の切り替え期間
万が一辞退された場合、新候補の選定・育成には最低2〜3年が必要です。切り替えのタイミングで経営者の年齢が進み、時間切れになるリスクがあります。
このリスクに備えるため、「辞退されたらM&Aに切り替える」というバックアッププラン を事前に設計しておくことが実務のコツです。
M&A仲介会社との初期相談、買い手候補のリストアップなど、水面下で準備を進めておけば、実際に必要になったときに即座に動けます。
事業承継における「廃業」の判断|最後の選択肢を計画的に
廃業を正面から扱うセクションです。M&A仲介会社の記事では軽く扱われがちですが、事業承継の実務では重要な選択肢です。
廃業を選ぶべきケース
以下のような状況では、廃業が現実的な事業承継の出口となります。
- M&Aで買い手が見つからない(1〜2年探しても成約せず)
- 業績が赤字で、買収価値がない
- 経営者が高齢で、承継準備の時間がない
- 従業員が少人数で、M&Aでも雇用維持が困難
「廃業は経営の失敗」という感覚は、経営者を追い詰めるだけで生産的ではありません。計画的に進められた廃業は、従業員の再就職・取引先への移行・地域経済への影響を最小化できる、立派な事業承継の経営判断です。
計画的廃業のステップ
廃業も 3〜5年の準備期間 を確保することで、影響を大きく軽減できます。
- 準備期間1年目:廃業方針の最終決定、金融機関・主要取引先への初期相談
- 準備期間2〜3年目:従業員への段階的告知、再就職支援準備、新規受注の抑制
- 準備期間4〜5年目:取引先への事前通告、設備・在庫の売却、廃業手続き実行
従業員の再就職支援では、ハローワーク連携だけでなく、取引先や同業他社への雇用依頼も有効です。技術・経験を持つ従業員を受け入れたい会社は、地域内に必ず存在します。
廃業前の「経営資源引継ぎ」検討


全部廃業せず、一部事業を他社に譲渡する選択肢もございます。設備・人材・取引先の一部だけでも残せれば、地域経済への影響は大きく緩和されます。
国が運営する事業承継・引継ぎ支援センターでは、「経営資源引継ぎマッチング」として、廃業予定企業の設備・人材・取引先を引き継ぐ他社とのマッチング支援を行っています。廃業を決意した場合でも、一度相談してみるのも良いと思います。
廃業時の労務手続き
廃業時の労務手続きは多岐にわたります。漏れがあると、後日の紛争や追徴金のリスクにつながります。
- 解雇予告(30日前通知)または解雇予告手当の支給
- 離職票の発行(従業員の雇用保険受給に必要)
- 社会保険・労働保険の資格喪失手続き
- 退職金の精算(退職金規程がある場合)
- 未払い賃金・有給休暇の清算
退職金の精算は、規程通りの支給のほか、中退共・DB・DC等の企業年金の解約手続きも必要です。詳細は「事業承継と退職金|承継パターン別の精算・統合と役員退職金の実務」をご参照ください。
廃業再チャレンジの補助金
廃業に関連して活用できる公的支援もあります。
事業承継・M&A補助金(廃業再チャレンジ枠) は、M&A後の既存事業の廃業や、廃業後の新事業への投資を補助する制度です。廃業は「終わり」ではなく、経営者の次のステージへの移行と位置づけられています。



廃業は決して『失敗』ではありません。計画的に進められた廃業は、従業員の再就職・取引先への移行・地域経済への影響を最小化できます。
事業承継・後継者不在に関するよくある質問
- 後継者不在率が改善傾向なのに、後継者難倒産が減らないのはなぜ?
-
事業承継の完了には5〜10年かかるため、現時点の倒産は「10年前に準備を始めなかった企業」が中心です。
つまり改善傾向と倒産の高止まりは時間差で起きており、早期準備の重要性を示すデータと言えます。
- 中小企業のM&Aはどれくらい時間がかかる?
-
買い手探しから成約まで1〜3年が目安です。
小規模M&Aでも最低1年は見込むべきであり、監査や契約交渉にも時間がかかるため、「決断すれば1年以内にすぐ現金化できる」というイメージは実態と異なります。
- 従業員に事業承継を打診する適切なタイミングは?
-
候補者が「管理職経験10年以上・40代以降」の時期が目安です。
いきなり打診するのではなく、年1回の定期面談などを通じて「将来の役割」について対話しながら、本人の意向を段階的に引き出すアプローチが有効です。
- 後継者がいない場合、事業承継税制は使える?
-
使えません。事業承継税制は後継者への株式贈与・相続を前提としています。
M&Aや廃業を選ぶ場合は別の税制や補助金が関係するため、税理士には他の選択肢での税務メリットを相談するのが適切です。
- 「後継者候補なし」の経営者がまず相談すべき窓口は?
-
まずは各都道府県にある公的窓口「事業承継・引継ぎ支援センター」へ相談しましょう。
「M&A一択」になりがちな民間業者と異なり、全選択肢から中立的な助言が無料で得られます。方針決定後に民間専門家へ切り替えるのが実務的です。


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まとめ
事業承継における後継者不在は、中小企業の半数が抱える課題です。
「M&Aか廃業か」という極端な二択に飛びつく前に、客観的な比較検討と、時間的猶予があるうちの準備着手が最も現実的なアプローチです。方針決定には、労務面を統合的に支援できる社労士も重要な相談相手となります。
- 不在率改善の一方で、高齢化による「後継者難倒産」は高止まり
- 不在原因を特定し、承継から廃業まで「5つの出口」を比較検討
- 早期の「見える化・脱属人化」で、予期せぬリスクに備える
altruloopでは、方針検討から労務整備、従業員対応、承継後のPMIまで、事業承継に関する労務課題を一気通貫でサポートしています。後継者問題でお悩みの経営者様や、まずは方針を整理したいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。



