事業承継(M&A等)の成否を分ける「隠れた要因」が、実務で軽視されがちな労使トラブルです。キーマンの離職連鎖や未払い残業代の顕在化などは承継価値を大きく毀損し、その対応コストは数千万円規模に及ぶことも珍しくありません。
重要なのは、これらのトラブルが突然起きるのではなく、承継の前・中・後の各フェーズで「構造的」に発生しているという点です。本記事では、専門家が縦割りで語りがちな労務課題に対し、社労士の実務目線から時系列かつ統合的な「予防フレーム」を体系的に解説します。
※事業承継全体の流れは「【2026年版】事業承継の流れを5ステップで解説|準備期間・スケジュール・労務面の落とし穴まで社労士が解説」、承継前の労務調査は「事業承継における労務デューデリジェンス」もあわせてご参照ください。


- 承継時になぜ労使トラブルが増えるのか
- 承継フェーズ別で警戒すべき主要なトラブル類型
- トラブルを未然に防ぐ「5つの予防アクション」と具体的な進め方
- 万が一のトラブル対応コストと「予防投資」の費用対効果

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承継時に労使トラブルが増える3つの構造的理由
なぜ承継の時期に労使トラブルが増えるのか、構造的な要因から理解する必要があります。
情報の非対称と不安の蓄積
承継前は情報が限られ、従業員は「自分はどうなるのか」が見えない状態が長期間続きます。経営者・幹部層はM&A交渉の進行状況を把握していても、現場の従業員は噂と推測で補完するしかありません。
この不安が長期化すると、小さな不満が増幅され、トラブルの火種となります。「給与が下がるらしい」「リストラがあるらしい」という根拠のない噂が現場で広まり、それが現実として扱われ始めるのです。
労働条件変更への警戒
承継直後の労働条件変更は、労働契約法上のハードルが高く、実務的にも困難です。しかし従業員側は「近いうちに何か変えられる」と警戒します。変更予定がなくても、従業員側の認識が先行して不信感を形成し、トラブル化の引き金になります。
この警戒感は、説明不足 や 曖昧な情報発信 によって強化されます。「詳細はこれから決めます」という発表は、従業員視点では「これから不利な変更が来る」というメッセージに読み替えられがちです。
旧経営体制への不満の顕在化
普段は言いにくかった不満が、承継という節目のタイミングで一気に表面化することも、承継期の特徴です。未払い残業代、ハラスメント被害、評価への不満など、これまで潜在的だった問題が承継を契機に噴出します。
これは従業員にとって、「新体制に問題を持ち越したくない」「この機会に清算したい」という心理が働くためです。承継前のDDで労務問題が発覚するのも、実はこの心理が背景にある場合が多くあります。
承継フェーズ別の主要トラブル類型
3つの構造的要因を踏まえると、承継フェーズごとに主要なトラブルが整理できます。
- 承継前:労働組合との団体交渉、情報漏洩、労務DDで発覚する簿外債務
- 承継中:キーマン退職、情報漏洩による動揺、役職者の造反
- 承継後:離職連鎖、ハラスメント問題、メンタルヘルス不調、未払い残業代請求
各フェーズのトラブルは独立しているわけではなく、前フェーズの対応不足が次フェーズのトラブルを引き起こす 連鎖構造 を持っています。
社労士:野澤惇承継で『突然』起きるトラブルは、実はほぼありません。承継前・中・後のどこかで予兆があり、適切な対応を怠った結果として顕在化するだけです。予兆の早期察知が予防の第一歩です
承継前のトラブル|労働組合・団体交渉
労働組合がある会社のM&A・事業承継で最も注意すべきことは、労働組合対応です。
2022年の最高裁判例以降、実務の難易度がさらに上がっています。
労働協約の事前同意・事前協議条項の確認
労働協約に 「会社は、合併・買収・事業譲渡を行う場合、事前に所属組合と協議し合意の上実施する」 といった条項があるケースがあります。この条項が存在すると、労働組合の同意なしにM&Aを実行することで労働協約違反となり、組合員から損害賠償請求されるリスクが発生します。
法務DDの段階で必ず労働協約の開示を求め、当該条項の有無を確認することが実務の第一歩です。条項がある場合は、組合との事前協議・同意取得のスケジュールを承継計画に組み込む必要があります。
団体交渉義務と義務的団交事項
労働組合から団体交渉の申入れがあった場合、労働組合法上、使用者は団交拒否が原則できません(不当労働行為に該当)。事業譲渡・合併に伴う労働条件等は「義務的団交事項」に該当し、誠実に交渉に応じる義務があります。
平成28年厚生労働省指針でも、事業譲渡に伴う労働者の労働条件等は、労働組合法第6条の団体交渉権の対象事項と明確化されています。承継予定労働者との個別事前協議を行っていることを理由に、組合の団交申入れを拒否することはできません。
誠実交渉義務|2022年最高裁判例の要点
最高裁令和4年3月18日判決 は、労使交渉の実務に大きなインパクトを与えました。同判例は、「合意の成立の見込みがない場合であっても、使用者において誠実交渉義務に違反する」と判示しています。
これは、合意見込みなし=交渉打ち切り可、という従来の実務理解を大きく変えるものです。会社が「これ以上話しても合意できない」と判断しても、誠実に交渉を続ける義務があります。誠実交渉義務違反は不当労働行為となり、労働委員会の救済命令・裁判所での差止め請求の対象となります。
買手・売手それぞれの労働組合対応
売手は、既存の労働組合に対し、M&Aの事実と労働条件への影響を誠実に説明する義務があります。労働協約の事前同意・事前協議条項がある場合は、早期の協議開始が必要です。
買手は、買収後の労働組合対応の承継を理解しておく必要があります。特に 株式譲渡では労働組合との関係もそのまま承継 されるため、買収後に新経営陣が団交に応諾する義務を引き継ぎます。「買収したら労働組合関係は新経営陣の自由」という誤解は、即座に不当労働行為の温床になります。
組合のない会社で承継を機に結成される事例
これまで労働組合のなかった会社で、承継を契機に 外部労働組合(合同労組・ユニオン) に加入する従業員が出るケースも少なくありません。組合結成の自由は憲法・労働組合法で保障されているため、結成自体を阻害することはできません。
承継を機に組合結成が起きる背景には、「新体制への不安」「労働条件変更への警戒」「旧経営体制への不満の顕在化」といった前述の構造的要因が働いています。組合結成を「敵対的な動き」と捉えるのではなく、従業員の不安を表す兆候として受け止め、労務対話の機会に転換する姿勢が重要です。
承継中のトラブル|情報漏洩と動揺
クロージング前後の承継中フェーズは、情報管理とコミュニケーションの巧拙が問われる期間です。
M&A情報の漏洩リスク
従業員発表前に情報が漏洩すると、憶測・噂が先行し、動揺・離職・取引先への波及が生じます。上場会社が買い手のケースではインサイダー取引規制に抵触する可能性もあり、情報漏洩は事業リスクだけでなく刑事リスクにもなり得ます。
情報管理の基本は、アクセスできる人数の最小化 と 秘密保持契約(NDA)の徹底 です。M&A仲介会社、弁護士、税理士、社労士など外部専門家も含めて、情報管理の責任範囲を明確化します。
キーマン退職の連鎖
承継発表後、キーマンと呼ばれる中核人材が個別に退職を決断するパターンです。連鎖が始まると、買収目的(人材獲得)そのものが崩れます。
M&A仲介会社の実績分析では、M&A発表後に退職するケースの多くは「M&Aがきっかけで退職」ではなく、「M&A後の新運営方針がきっかけで退職」とされています。つまり、発表後の不利益変更や説明不足が、実質的な離職の引き金になっているということです。
キーマンには 全社発表前の個別フォローと処遇確約 が必須の実務となります。
詳細は「事業承継を従業員にどう伝える?説明タイミング・伝え方・Q&A対応」記事のキーマン対応セクションもご参照ください。
顧客先からの問い合わせ対応
承継情報が取引先に伝わった際の、取引先からの不安問い合わせ対応も、承継中の重要論点です。現場従業員がバラバラの回答をしないよう、想定Q&Aの配布・統一回答の徹底 が必要です。
「承継後も取引は継続します」「担当者は変わりません」といった基本メッセージを統一し、全営業・全現場で同じ回答ができる体制を作ります。これを怠ると、取引先から「情報が錯綜している」という不信感を持たれ、承継後の取引継続にも影響します。
役職者の造反
承継方針に反対する役職者が、部下を巻き込んで組織的な反対運動を行うケースもあります。役員・部長層には 全社発表の数日前に個別説明 し、承継後の役割を明確化して理解を得るプロセスが重要です。
役職者の反対は、法的には経営判断に干渉できる立場にないものの、現場への影響力は絶大です。反対者を説得できない場合、最終的には役職者の退職条件交渉に進むこともあり得ます。いずれにせよ、役職者個別の事前コミュニケーション設計が承継プロジェクトの要になります。
承継契約書への雇用維持条項の織り込み
M&A契約書に「クロージング後◯年間は従業員の雇用を維持する」「クロージング後◯年間は労働条件を不利益変更しない」等の条項を織り込むことで、買い手・売り手双方にとってのトラブル予防となります。
この条項は売手経営者にとって「残される従業員を守る」という道義的責任を果たすツールであり、買手にとっては承継後の労務トラブルリスクを制限する契約上の担保になります。条項の文言設計は弁護士・社労士との連携が必要です。


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承継後のトラブル|離職・ハラスメント・メンタルヘルス
承継後、特に最初の1年間で発生しやすいトラブル群は、承継の価値そのものを毀損する最も深刻な領域です。
承継後1年以内の離職率上昇
M&A後半年〜1年にかけて離職が増加する傾向があります。特に 中堅層の離職 は、承継後3ヶ月から6ヶ月の潜伏期間を経て顕在化するのが特徴です。
離職の主な理由として、以下3点が挙げられます。
- 統合プロセスの不手際(説明不足、労働条件の曖昧な変更)
- 労働条件変更への不満(給与・評価・退職金の変更)
- 新経営陣との価値観のずれ(経営方針、企業文化)
キーマン層の離職はすぐに顕在化しますが、中堅層の離職は数ヶ月後にまとまって発生するため、対応が後手に回りやすい点に注意が必要です。
新体制下でのハラスメント問題
承継による組織の緊張状態で、パワハラ・モラハラの発生率が上昇するパターンがあります。特に 買収側の管理職が被買収側の従業員に対して行うハラスメント は、「支配的な文化」の押し付けとして認識され、組織全体の信頼を失います。
承継を機にハラスメント相談窓口を見直し、外部窓口の設置 も検討すべきです。外部の社労士・弁護士を窓口とすることで、社内の力関係から独立した相談機能を提供でき、被害者が安心して相談できる環境を整えられます。
2022年4月からは中小企業にもパワハラ防止措置が義務化されていますが、承継のタイミングはこの体制の充実度が試される場面でもあります。
社労士事務所altruloopのハラスメント相談窓口サービスについて知りたい方は下記をご覧ください。
環境変化によるメンタルヘルス不調
承継による職場環境変化は、従業員にとって大きなストレス要因となります。勤務地変更・上司変更・業務内容変更などが重なると、メンタルヘルス不調の引き金になります。
産業医面談・ストレスチェックの強化 が予防策として有効です。従業員50人以上の事業所ではストレスチェックが義務化されていますが、承継フェーズでは臨時実施も検討に値します。また、メンタルヘルス相談窓口の周知を強化し、早期発見・早期対応の体制を整えることが重要です。
未払い残業代請求の顕在化
承継前から潜在的に存在した未払い残業代が、承継後に退職者から一斉に請求されるパターンも深刻です。事業譲渡では労務債務が譲受企業に承継される契約内容になっている場合、譲受企業が負担することになります。
労務DDで未払い残業代を事前に発見し、クロージング前に精算する ことが最大の予防策です。詳細は「事業承継における労務デューデリジェンス」記事の簿外債務セクションをご参照ください。
承継を理由とした解雇無効訴訟
承継後に何らかの理由で従業員を解雇した場合、「承継を理由とする解雇」と主張されるリスクがあります。平成28年厚労省指針でも、事業譲渡を理由とした整理解雇は原則避けるべきとされています。
承継後の解雇は、解雇事由を明確化し、承継とは無関係な合理的理由(勤務態度不良、業務上の重大な過失など)を立証する必要があります。解雇の有効性判断は非常に厳格で、承継と時期が近い解雇ほど裁判所の視線は厳しくなります。


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予防のための承継前アクション5選
トラブルは発生前に予防するのが最も費用対効果が高い対応です。承継前に行うべき5つの予防アクションを整理します。
労務デューデリジェンスの実施
未払い残業代、社保未加入、就業規則の不備、労働組合の有無、労使慣行などを事前調査します。潜在的な労務リスクを可視化し、クロージング前に是正または譲渡対価に反映することで、承継後の簿外債務顕在化を防げます。
労務DDは、承継後に問題が表面化したときの対応コスト(訴訟・和解・離職対応)と比べると圧倒的に低コストで実施できる予防策です。
詳細は「事業承継における労務デューデリジェンス」に記載しています。


就業規則・相談窓口の整備
ハラスメント防止規程、相談窓口の設置、通報者保護規定などを承継前に整備します。承継後のトラブル発生時に即応できる体制を作ることが、被害の拡大を防ぎます。
特に承継を機に相談窓口を外部化する(社労士・弁護士への委託)ことで、従業員が社内の力関係を気にせず相談できる環境が整い、早期発見につながります。
詳細は「事業承継で就業規則はどうなる?」で解説しています。


従業員説明会の丁寧な設計
発表タイミング、説明内容、想定Q&A、管理職への事前レクまで含めた 総合的なコミュニケーション設計 が、承継中・承継後のトラブル予防に直結します。情報の非対称をできる限り縮小することで、不安に起因するトラブルを予防できます。
詳細は「事業承継を従業員にどう伝える?説明タイミング・伝え方・Q&A対応」記事で解説しています。
承継後のキャリアパスの提示
キーマンに対して、承継後の役職・処遇・成長機会を明確に示します。個別面談と書面での合意 が、離職連鎖を防ぐ最大の抑止力になります。
書面には、役職名、報酬水準、期待される役割、将来のキャリアパスを明記します。「口頭で約束しただけ」では、承継後の経営陣が変わったときに履行されないリスクがあるため、書面化が必須です。
顧問社労士によるモニタリング体制
承継後1年間、顧問社労士が月次で労務状況をモニタリングする体制を構築します。
具体的には以下の指標を追跡します。
- 離職率の推移(部門別・年齢層別)
- ハラスメント相談の件数と内容
- メンタルヘルス不調者の発生
- 有給休暇取得率の変化
- 残業時間の推移
これらの指標を早期察知し、個別対応につなげることで、トラブルの顕在化を防ぎます。



承継後3ヶ月〜1年が労務トラブルのピーク期です。この時期の予防投資は、後日のトラブル対応コストの1/10以下で済むと言われています。承継時に数百万円の労務予防投資を惜しむと、数千万円の訴訟・離職対応コストに発展します
予防の費用対効果|投資する価値の可視化
経営者が労務予防投資を決断するためには、具体的な費用対効果の試算が必要です。
トラブル対応コストの内訳
承継後に労使トラブルが顕在化した場合の対応コストは、以下のように積み上がります。
- 労働審判・訴訟コスト:数百万円〜数千万円(弁護士費用、和解金、判決支払い)
- キーマン離職による事業価値毀損:数千万円〜数億円(買収目的の未達成、シナジー喪失)
- ハラスメント対応・風評被害:売上への直接影響、採用活動への長期ダメージ
- メンタルヘルス不調者の休職・復職支援:長期化で大きな人件費負担、復職後のパフォーマンス低下
トラブル1件の総コストは、直接費用だけでなく 機会損失・事業価値毀損 まで含めると、数千万円〜数億円規模になるケースが珍しくありません。
予防投資の相場
一方、予防投資の相場は以下のとおりです。
- 労務DD:30万円〜200万円(従業員数・業種による)
- 就業規則整備:30万円〜100万円
- 従業員説明会設計:10万円〜50万円
- 承継後モニタリング(社労士顧問):月額3万円〜20万円(年間36万円〜240万円)
すべてを実施しても、合計で数百万円の規模です。
費用対効果の考え方
トラブル1件の発生コスト(数百万〜数千万円、事業価値毀損を含めると数億円)に比べ、予防投資は数分の1〜数十分の1の水準です。「承継額の1%を労務予防に回す」 という発想が、中堅〜中小企業M&Aの実務的な目安となります。
承継額5億円のM&Aなら、労務予防に500万円を投資する計算です。これでトラブル1件でも防げれば、投資回収は確実です。経営者が「労務予防に500万円は高い」と感じる場面でも、「訴訟1件で1,000万円以上飛ぶ」という対比で見れば判断は明確になります。
事業承継・労使トラブルに関するよくある質問
- 承継を理由に労働組合と交渉する必要は?
-
労働組合がある場合、事業譲渡・合併に伴う労働条件等は 労働組合法第6条の団体交渉権の対象事項 となり、団交申入れがあれば誠実に応じる義務があります。
労働協約に事前同意・事前協議条項がある場合は、条項違反のリスクにも留意が必要です。2022年最高裁判例(令和4年3月18日)では「合意見込みなし」でも誠実交渉義務違反が成立することが明確化されており、形式的な交渉では不十分です。
- 承継後の離職率の平均は?
-
業界・規模・承継パターンによって大きく異なるため一概には言えませんが、M&A仲介会社の調査では、M&A後1年以内の離職率は通常時の1.5〜2倍程度 に上昇する傾向があるとされています。
キーマン層の離職率はさらに高くなる傾向があり、中堅層の離職が6ヶ月後から顕在化するケースが典型です。承継後3年時点で元従業員の離職率が3割を超えた事例も、公開情報として報告されています。
- ハラスメント相談窓口は承継でどうなる?
-
承継パターンによります。株式譲渡では既存窓口がそのまま継続、事業譲渡では譲受企業側の窓口に引き継ぐ形です。
承継を機に 相談窓口の見直し・外部化(社労士・弁護士等への委託) を検討するのが実務的です。承継後の組織緊張期には相談件数が増える傾向があるため、窓口の充実は予防策として効果的です。2022年4月以降、中小企業にもパワハラ防止措置が義務化されているため、相談窓口の法的整備は承継時の必須事項となります。
- 承継に反対する従業員への対応は?
-
まず反対の理由を丁寧にヒアリングし、労働条件の不安なら個別説明、人間関係の不安なら配置転換の検討など、対症療法で解決できるケースが多い です。
反対を理由とした解雇・退職勧奨は違法となるリスクが高いため、対話を尽くすことが原則です。どうしても折り合わない場合のみ、円満退職の条件交渉に進みます。承継反対はそれ自体が問題なのではなく、反対に至った根本原因への対応 が本質的な解決策となります。
- 労使トラブル予防のための顧問契約費用は?
-
中堅〜中小企業の場合、社労士顧問契約は 月額3万円〜10万円 が相場です。
承継直後の3〜6ヶ月は臨時で月額10万円〜20万円に増額し、労務モニタリングを強化するケースもあります。顧問契約単体では月額負担に感じても、トラブル1件の対応コスト(数百万〜数千万円)と比較すると、圧倒的にコストパフォーマンスが良い投資となります。


- 事業承継に伴う労務課題をワンストップで解決
- 就業規則・退職金制度・給与計算・社保手続きまで幅広く対応
- 労務顧問は月々3万円〜!事業承継後の経営もまるごとサポート
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まとめ
事業承継における労使トラブルは、承継フェーズごとに構造的に発生しやすい類型があります。
- 承継前:団体交渉・協約違反に対し、誠実な交渉でリスク抑制
- 承継中:情報管理と個別フォローで、漏洩とキーマン離職を防止
- 承継後(1年内):連鎖退職や残業代請求が多発する「警戒期」
- 予防策:労務DD・規則・説明会・キャリア・監視の5本柱
- 費用対効果:事前の「予防」は、事後の「紛争対応」より圧倒的に低コスト
承継における労使トラブルは、単一の専門家(弁護士・M&A仲介・人事コンサル)では対応しきれない、労務実務全般の統合的な視点 が必要な領域です。社労士は労務DDから就業規則、団体交渉対応、ハラスメント対応、メンタルヘルスまで、承継期の労使トラブルを横断的に扱える専門職として、承継プロジェクトの重要な柱となります。
「承継額の1%を労務予防に回す」という発想は、中堅〜中小企業M&Aの現場で繰り返し確認されてきた実務的な目安です。税務・株価評価に数千万円かけるなら、労務予防にも相応の投資を行うことが、承継の価値を守る最も確実な方法です。
altruloopでは、労務DDから承継後の継続モニタリングまで、事業承継に伴う労使トラブル予防をワンストップでサポートしています。承継プロジェクトにおける労使トラブル対策でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。



