建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者・営業所技術者(旧専任技術者)・財産的基礎・誠実性・欠格要件・適切な社会保険加入の6つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠ければ申請は通らず、申請手数料9万円も返還されません。
本記事では、令和2年・令和7年の最新法改正に対応した建設業許可の取得条件を行政書士が解説します。自社が要件を満たすかを判定できるセルフチェックリストもありますので是非参考にしてください。
- 建設業許可の取得に必要な6つの具体的な要件。
- 最もつまずきやすい経管と営業所技術者の詳細。
- 許可要件を満たせない場合の具体的な対処法。
- 自社申請と行政書士へ依頼する場合の違いや比較

- 面倒な一般・特定建設業許可手続きを全て代行
- 最新の業者数データに基づく戦略的アドバイス。
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建設業許可の取得条件(チェックリスト)
建設業許可の6つの要件【チェックリスト】
建設業許可(建設業法第7条・第15条)は、以下の6つの要件をすべて満たすことで取得できます。1つでも欠けると申請は通りません。

| # | 要件 | 概要 |
|---|---|---|
| 1 | 経営業務管理責任者(経管) | 5年以上の建設業の経営経験者を常勤役員として配置すること |
| 2 | 営業所技術者(旧・専任技術者) | 国家資格保有者または10年以上の実務経験者を営業所ごとに配置すること |
| 3 | 財産的基礎 | 自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力 |
| 4 | 誠実性 | 法人・役員等が請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれがないこと |
| 5 | 欠格要件 | 役員等が欠格事由に該当しないこと |
| 6 | 適切な社会保険加入 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険に適切に加入していること |
要件を1つでも欠くと申請は通らない
建設業許可は、要件を満たせば必ず取得できる「許可制」です。逆に1つでも要件を欠くと、申請は受理されないか、受理されても不許可となります。
申請手数料は知事許可で9万円、大臣許可で15万円。不許可になっても返還されません。「とりあえず申請してみる」というアプローチは時間と費用のロスに直結します。
一般と特定で要件のハードルが変わる
6要件のうち「営業所技術者」と「財産的基礎」については、一般建設業許可と特定建設業許可で要件レベルが大きく異なります。特定の方が格段に厳しいハードルが設定されています。
本記事では原則として一般建設業許可の要件を中心に解説します。一般と特定の違いの詳細は、関連記事「建設業許可の一般と特定の違いは?要件・判定基準・切替方法」をご参照ください。
行政書士:本間隆裕6つの要件のうち、実務で最も多くの事業者がつまずくのは「経営業務管理責任者(経管)」と「営業所技術者(専技)」です。
この2つは過去の経歴・資格に依存するため、現時点で要件を満たしていない場合、短期間での解決が難しい性質があります。許可取得を検討し始めた段階で、まずこの2要件を満たせるかを確認することを強く推奨します。
要件①:経営業務管理責任者(経管)|過去の経営経験が問われる
経営業務管理責任者(経管)とは
経営業務管理責任者(通称「経管」、令和2年改正後の正式名称は「常勤役員等」)とは、建設業の経営について一定期間以上の経験を持ち、許可業者の経営を統括する立場にある者を指します。法人であれば常勤の役員、個人事業主であれば事業主本人または支配人がこれに該当します。
経管として認められる経験要件(イ該当:原則パターン)


最も一般的なルートとして、以下のいずれかの経験があれば、経管要件を満たします。
- 建設業に関し5年以上の役員等(取締役・個人事業主等)としての経験(最も多い証明パターン)
- 建設業に関し5年以上、経営業務管理責任者に準ずる地位での経験(取締役会の決議を経て選任された執行役員等で、業務執行権限の委譲を受けた者)
- 建設業に関し6年以上、経営業務管理責任者を補佐する経験(経営者のすぐ下のポジションでの経営補佐経験)
最もシンプルなルートは①で、法人の役員または個人事業主として建設業を5年以上経営した経験です。
経験は「建設業」での経験に限られる
経管としての経験は、建設業を営む企業での経験に限定されます。他業種で5年役員をしていても、経管要件にはカウントされません。
経験年数の起算点は、法人なら役員登記日、個人事業主なら開業届出日です。役員登記前の従業員期間は原則としてカウント対象外です(例外として「準ずる地位」での経験は別途認定可能)。
令和2年10月改正による要件緩和(ロ該当:補佐者を置くパターン)


令和2年10月1日の建設業法施行規則改正により、経管経験が5年に満たない場合でも、「2年以上の役員等経験+補佐者の配置」で要件を満たせるルートが新設されました。実務上は「ロ該当」と呼ばれています。


具体的には、以下の常勤役員等を1名置き、かつ補佐者を別に配置することで要件充足が認められます。
- 常勤役員等の経験要件:建設業に関し2年以上の役員等経験+通算5年以上の役員等または役員等に次ぐ職制上の地位(部長等)での経験
- 補佐者の配置要件:申請会社における財務管理・労務管理・業務運営の各5年以上の経験者を、それぞれ常勤役員等を直接補佐する者として配置(1人が複数の経験を兼ねることも可能)
ただし、補佐者の経験は申請会社での経験のみが認められ、別会社での経験は認められません。そのため、新設法人ではこのルートで要件を満たすことはできません。実務上は、原則パターンの「5年以上の役員等経験者」を1名置く方が圧倒的にシンプルです。
経管要件を証明する書類
経管要件を満たすことを証明するため、以下の書類を申請時に提出します。
- 法人の役員経験:法人税確定申告書(控え)、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、工事請負契約書または注文書等
- 個人事業主の経験:個人の確定申告書、工事請負契約書または注文書等
過去5年以上の書類を集める必要があるため、確定申告書の控えや工事関連書類を保管していない場合、要件証明が困難になります。



「個人事業として10年やってきたが、確定申告は税理士に任せて自分は控えを持っていない」というケースは少なくありません。
経管要件は書類で証明できなければ年数があっても認められないため、過去の確定申告書を税務署で再取得(最大5年分まで保有期間内)するなど、早めの書類整備が必要です。
要件②:営業所技術者(専任技術者)|資格または実務経験が必須
営業所技術者(専任技術者)とは
営業所技術者(旧名称「専任技術者」、通称「専技」)とは、営業所ごとに常勤して、請負契約の締結・履行を技術面から確保する役割を担う者です。営業所ごとに1名以上配置する必要があり、業種ごとに専技を立てます。
専技の要件は3ルート
専技として認められるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 国家資格保有者(最もシンプル)
- 指定学科卒業+実務経験(高卒5年、大卒3年、専門学校卒5年または3年)
- 実務経験10年(資格なしルート)


国家資格ルートで認められる主な資格
業種ごとに認められる資格が定められています。代表例は以下の通りです。
- 建築一式工事:1級・2級建築施工管理技士、1級・2級建築士等
- 土木一式工事:1級・2級土木施工管理技士、技術士(建設部門)等
- 電気工事業:1級・2級電気工事施工管理技士、第1種電気工事士(実務経験要件あり)、第2種電気工事士(実務経験要件あり)等
- 管工事業:1級・2級管工事施工管理技士、技術士(衛生工学部門)等
- 解体工事業:1級・2級土木施工管理技士(追加講習修了)、解体工事施工技士等
※業種別の資格対応表は別記事「建設業許可の専任技術者要件と必要資格一覧」で網羅的に解説しています。
実務経験10年ルートの注意点
資格を持っていない場合でも、実務経験10年を証明できれば専技として認められます。ただし以下の点に注意が必要です。
- 同一業種での10年実務経験であること(複数業種を希望する場合は業種ごとに10年×業種数の経験が必要)
- 工事請負契約書・注文書・請求書等で実務経験を客観的に証明する必要がある
- 単に「現場で働いていた」だけでは不十分で、請負業務として工事を施工した経験が問われる
実務経験10年を書類で証明する作業は、実は資格取得よりも難航することが多い領域です。過去の工事書類が保管されていない場合、経験があっても要件を満たせません。
常勤性の要件
専技は営業所に常勤している必要があります。他社の役員・従業員を兼任することはできません(自社の他の役職との兼任は可、たとえば代表者が経管と専技を兼ねることはできます)。
申請時には、健康保険被保険者証・住民票・住所地から営業所までの距離等で常勤性を確認されます。



「資格者は採用しているが、その人が他社の社会保険に入っている」というケースは要件を満たしません。
専技として認めてもらうには、自社で社会保険に加入している常勤者である必要があります。採用時の雇用形態・社会保険手続きの確認が必須です。
要件③〜⑥|財産的基礎・誠実性・欠格要件・社会保険
要件③:財産的基礎(自己資本500万円以上)
一般建設業許可の財産的基礎は、以下のいずれかを満たすことが必要です。
- 自己資本が500万円以上(直近決算の貸借対照表で判定)
- 500万円以上の資金調達能力(金融機関の残高証明書または融資証明書で証明)
- 過去5年間継続して建設業許可を受けて営業した実績(更新時の判定基準)
法人の場合は決算書で自己資本を確認、個人事業主の場合は事業用口座の残高証明書で確認するのが一般的です。


要件④:誠実性
法人・役員・個人事業主が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことが求められます。
具体的には、過去に詐欺・脅迫・横領等で建設業に関連する処分を受けていないか、宅建業法等の他法令で同種の処分を受けていないかが確認されます。
実務上、この要件で問題になるケースは稀ですが、過去に行政処分歴がある場合は事前確認が必要です。
要件⑤:欠格要件
役員・個人事業主・支配人・令3条使用人等が、以下の欠格事由のいずれにも該当しないことが必要です。
- 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 不正の手段で建設業許可を受けて取消処分を受けてから5年経過していない者
- 営業停止処分の期間中
- 禁錮以上の刑または建設業法等の特定法令違反による罰金刑から5年経過していない者
- 暴力団員またはその関係者
- 暴力団員等が事業活動を支配する者
特に注意すべきは、役員の前科・前歴です。役員1名でも欠格事由に該当すると、法人全体が許可を取得できません。
要件⑥:適切な社会保険加入


令和2年10月の建設業法改正により、適切な社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入が許可要件として明文化されました。


- 法人:従業員数に関わらず健康保険・厚生年金への加入が必須、従業員を雇用していれば雇用保険も必須
- 個人事業主:従業員数5人未満なら国民健康保険・国民年金で可、5人以上なら健康保険・厚生年金への加入が必須
社会保険未加入のままでは、他の5要件をすべて満たしていても許可は下りません。



「役員が10年前に交通違反で罰金刑を受けた」というケースは欠格事由に該当する可能性があります(罰金刑の対象法令によります)。
過去5年以内の刑事処分歴がある場合は、申請前に必ず行政書士へご相談ください。一度不許可になると同事案での再申請は困難です。
要件を満たせない場合の対処法と申請の進め方
経管・専技を満たせない場合の対処法
経管・専技は過去の経歴に依存するため、要件を満たせない場合の対処法は限られます。実務的には以下の選択肢があります。
- 要件を満たす人材の採用(最も確実だが採用コスト発生)
- 既存社員の資格取得を待つ(1〜2年単位の時間を要する)
- 役員の招聘(経管経験者を常勤役員として迎える)
- 業種を絞って申請(複数業種を諦めて、要件を満たす業種だけ取得)
財産的基礎を満たせない場合の対処法
自己資本500万円未満の場合、以下のいずれかで対応します。
- 増資による資本金の引き上げ
- 金融機関の融資証明書・残高証明書(500万円以上の調達能力を証明)
- 事業用口座への一時的な資金集約(残高証明書取得のための準備)
※残高証明書は取得日時点の残高を証明するもので、申請前のタイミングで500万円以上を確保できれば要件を満たせます。一時的な借入で対応する事業者も少なくありません。なお、残高証明書の有効期限は取得から2週間〜1ヶ月と短いため、申請直前に取得します。
自分で申請するか、行政書士に依頼するか
建設業許可の申請は、要件を満たしていれば自分で申請することも可能です。ただし以下の点を考慮すべきです。
| 比較項目 | 自己申請 | 行政書士依頼 |
|---|---|---|
| 法定費用 | 9万円(知事許可) | 9万円(知事許可) |
| 専門家報酬 | なし | 10万〜20万円程度 |
| 準備期間 | 2〜3ヶ月(書類収集・作成) | 1〜2ヶ月 |
| 業務時間ロス | 50〜80時間程度 | 委任で完結 |
| 書類不備リスク | 高い(差し戻し多発) | 低い |
| 取得後の継続サポート | なし | 決算変更届・更新申請も依頼可能 |
書類整備が複雑なケース(経管・専技を実務経験で証明する場合、過去の書類が分散している場合等)は、行政書士への依頼を強く推奨します。
申請から取得までの流れ
申請から許可取得までのおおまかな流れは以下の通りです。


- 要件確認(本記事のチェック)
- 必要書類の収集(住民票・登記簿・確定申告書・工事関連書類等)
- 申請書類の作成
- 行政窓口への申請(知事許可は都道府県、大臣許可は地方整備局)
- 審査(東京都の標準処理期間は約25日、大臣許可は90〜120日)
- 許可通知書の受領
申請から取得までの詳細手順は、関連記事「建設業許可の取り方|申請から取得までの7ステップと所要期間」で網羅的に解説しています。



「自社で申請を試みたが、書類不備で何度も差し戻された」というご相談は少なくありません。
特に経管・専技を実務経験で証明する場合の書類整備は、行政書士の実務経験が大きく差をつける領域です。準備時間と業務時間のロスを考えると、専門家への依頼が結果的に効率的なケースが多くあります。
よくある質問(Q&A)
- 建設業許可は何業種でも申請できますか?
-
はい。29業種すべてについて申請可能です。
ただし、業種ごとに営業所技術者(専技)の要件を満たす必要があるため、複数業種を同時取得する場合は業種数分の専技を確保する必要があります。
- 個人事業主でも建設業許可は取れますか?
-
個人事業主・法人を問わず、要件を満たせば取得可能です。
ただし個人事業主の場合、経管要件は事業主本人または支配人が満たす必要があります。
- 経管経験を別会社で積んだ場合、退職後に自社で経管にできますか?
-
可能です。
過去の建設業での役員経験5年以上があれば、現在の会社で経管に就任することで要件を満たせます。役員任期の連続性は不要です。
- 専技と経管を同一人物が兼任できますか?
-
可能です。
経管と専技が同一の営業所に常勤している場合に限り、1名で両方の要件を担うことができます。中小建設業者では代表者が両方を兼ねるケースが多くあります。
- 許可の有効期間は何年ですか?
-
5年間です。有効期間満了の30日前までに更新申請を行う必要があります。
更新時にも本記事の6要件をすべて満たし続けている必要があります。
- 要件を満たせない場合、申請しないほうがいいですか?
-
はい。要件を1つでも欠いた状態での申請は不許可となり、申請手数料9万円も返還されません。
要件を確実に満たしてから申請するのが鉄則です。要件充足の準備計画について、専門家へのご相談を推奨します。


- 面倒な一般・特定建設業許可手続きを全て代行
- 最新の業者数データに基づく戦略的アドバイス。
- 特定許可の取得・維持・切り替えも徹底サポート。
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まとめ
建設業許可の取得条件は、経営業務管理責任者・営業所技術者(専任技術者)・財産的基礎・誠実性・欠格要件・適切な社会保険加入の6項目に集約されます。すべてを満たして初めて申請が通る制度のため、申請前のセルフチェックが極めて重要です。
特に検討初期に確認すべきは以下の2点です。
- 経管経験5年以上の人材が役員にいるか(過去の建設業経営経験者)
- 専技要件を満たす資格者または実務経験者がいるか(業種ごとに必要)
この2要件を満たせない場合、人材確保・資格取得・役員招聘等で準備期間として6ヶ月〜2年程度を見込む必要があります。
財産的基礎・誠実性・欠格要件・社会保険は比較的対応しやすい要件ですが、見落とすと申請が通らないため網羅的なチェックが必要です。
- 建設業許可には6つの要件すべてを満たす必要がある。
- 令和7年の法改正で専任技術者は営業所技術者に変更された。
- 要件を1つでも欠くと不許可になり手数料は戻らない。
- 経管や技術者の証明が難しいため行政書士依頼が有効。
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