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就業規則のカスハラ規程記載例|2026年義務化対応の規程ひな形

2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策がすべての企業の義務になりました。
この記事では、就業規則に追記する場合の記載例と、単独で作成する「カスタマーハラスメント防止規程」のひな形(約10条・全文)の両方を、そのまま貼って使える条文形式で掲載しています

パワハラ・セクハラ・マタハラの規程例、厚生労働省のモデル規程との違い、周知・届出の注意点まで、社会保険労務士が解説します。

ハラスメント規程を専門家へ相談するメリットもご紹介しますので、自社の職場環境整備にぜひお役立てください。

本記事の内容
  • ハラスメント規程が必要な理由と法的背景について
  • 就業規則に盛り込むべき規程の具体的な内容と記載例について
  • 規程の作成・導入手順と社労士に相談するメリットについて
この記事の著者
野澤惇のプロフィール画像

【野澤 惇 | 社会保険労務士】
社労士事務所altruloop/株式会社altruloop代表
社会保険労務士として、建設・介護・医療・IT業界など累計100社以上の労務顧問を担当。 労務DD・就業規則作成・人事評価制度構築・給与計算/社会保険手続きなどの実務に精通し、高難易度な労務DD案件も多数対応。
現在は全国対応で、大手からスタートアップまで幅広く支援しています。
登録番号:13250298

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目次

ハラスメント規程はなぜ必要?

ハラスメント規程とは、職場におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント等を禁止し、問題発生時の対処方法を定める就業規則上のルールです。

かつてハラスメント対策は企業の「努力義務」にとどまっていましたが、2022年4月からは中小企業を含むすべての事業主に、ハラスメント防止措置が義務化されました。改正労働施策総合推進法の施行によるもので、企業規模を問わず、必要な措置を講じることが法律上求められています。

事業主が講ずべき具体的な措置としては、「ハラスメントを許さない」という方針を定めて従業員に周知すること、そして行為者への対処方針・内容を就業規則等に明記することが挙げられます。就業規則にハラスメント規程を設けることで、会社の姿勢を全社員に示せるだけでなく、問題が起きた際にもルールに基づいた適切な対応・処分が可能になります。

ハラスメント規程が未整備だとどうなる?

相談窓口や処分のルールが曖昧なままでは、被害への対処が遅れ問題が深刻化するリスクがあります。懲戒処分を下そうとしても「就業規則に規程がない」と争われる可能性もあります。

ハラスメント対策義務の違反に直接の罰則はありませんが、行政からの是正指導・勧告を受けたり、企業の信用失墜につながるケースも少なくありません。

従業員を守り健全な職場環境を維持するためにも、就業規則への明確なハラスメント規程の整備は欠かせないのです。

【法改正】2026年10月1日よりハラスメント対策が強化

参考:厚生労働省 職場におけるハラスメント対策パンフレット

2025年6月に成立した改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日からカスタマーハラスメント(カスハラ)対策がすべての事業主の義務になりました。パワハラ防止法と同様に「カスハラ対策法」とも呼ばれています。


これにより現在は、業種・規模を問わず、労働者を1人でも雇用している事業主にカスハラ防止のための雇用管理上の措置が法的に義務付けられています。
具体的には、カスハラを許さない旨の方針を定め従業員に周知すること、相談窓口を設けること、そして就業規則等にカスハラ防止に関する規程を明記することなどが求められます。義務に違反した場合、行政からの助言・指導・勧告・公表の対象となる可能性があります。


すでに義務化されているため、就業規則のハラスメント規程を整備する際は、パワハラ・セクハラ・マタハラと合わせてカスハラ規程を盛り込むことが前提になります。未対応の企業は「方針の明確化→相談窓口の設置→規程改定→周知・研修」の順で速やかに整備が必要です。まずは本記事の記載例・ひな形で規程を整え、周知を先行させることをおすすめします。

なお同時に、男女雇用機会均等法の改正により、求職者等(採用面接・インターンシップ・OB・OG訪問の参加者など)に対するセクシュアルハラスメント防止措置も、2026年10月1日から事業主の義務になりました。SNS経由のやり取りや社外での飲食の場面も対象に含まれるため、採用担当者向けのルール整備と、求職者にも周知する相談窓口の設置が必要です。(参考:厚生労働省「求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の新ルール」)

カスタマーハラスメントの防止のために講ずべき措置

事業主は、以下の措置を必ず講じなければなりません。

  1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  2. 相談体制の整備
  3. 事後の迅速かつ適切な対応
  4. 対応の実効性を確保するために必要な
  5. カスタマーハラスメントの抑止のための措置
  6. そのほか併せて講ずべき措置
    ・相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する
    ・相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する

就業規則に盛り込むべきハラスメント規程の内容

それでは、具体的に就業規則にはどのようなハラスメント規程を盛り込めばよいのでしょうか。一般的に、以下のようなポイントを規程します。

対象となるハラスメントの種類と定義

職場で起こり得るハラスメントには様々な種類がありますが、特に法律上対策が義務付けられているものは主に次の3種類です(セクハラ、マタハラ等も含め「妊娠・出産等に関するハラスメント」として扱われます)。

パワーハラスメント(パワハラ)

職場の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超える言動で他の労働者に身体的・精神的苦痛を与えたり、就業環境を害する行為。暴力・暴言だけでなく、過大な業務を押し付ける、逆に仕事を与えないといった行為も該当します。

職場におけるパワーハラスメントの定義

職場におけるパワーハラスメントは、以下の①から③までの3つの要素を全て満たすものをいい、
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で⾏われる適正な業務指⽰や指導については該当しません。

  • ① 優越的な関係を背景とした言動であって、
  • ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  • ③ 労働者の就業環境が害されるもの
参考)パワーハラスメントに該当すると考えられる例/しないと考えられる例
代表的な言動の類型(イ)該当すると考えられる例(ロ)該当しないと考えられる例
(1)身体的な攻撃
(暴行・傷害)
① 殴打、足蹴りを行う
② 相手に物を投げつける
① 誤ってぶつかる
(2)精神的な攻撃
(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
① 人格を否定するような言動を行う(相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を含む)
② 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う
③ 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行う
④ 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信する
① 遅刻等社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をする
② その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をする
(3)人間関係からの切り離し
(隔離・仲間外し・無視)
① 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする
② 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる
① 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施する
② 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせる
(4)過大な要求
(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
① 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる
② 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する
③ 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる
① 労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる
② 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せる
(5)過小な要求
(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
① 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる
② 気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない
① 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減する
(6)個の侵害
(私的なことに過度に立ち入ること)
① 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする
② 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する
① 労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行う
② 労働者の了解を得て、当該労働者の機微な個人情報(左記)について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促す

参考:厚生労働省 職場におけるハラスメント対策パンフレット より一部抜粋

セクシュアルハラスメント(セクハラ)

職場における性的な言動により、労働者が不利益を被ったり就業環境が悪化する行為。本人が望まない性的冗談や不必要な身体接触などが典型例です。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタハラ等)

妊娠・出産、育児休業や介護休業の取得等を理由に、上司や同僚が嫌がらせを行い就業環境を害する行為。妊娠中の女性社員に対する心ない発言や、育休復帰者への嫌がらせなどが該当します。

※近年はSOGIハラスメント(性的指向や性自認に関するハラスメント)も問題視されています。
例えばLGBTの従業員に対する心ない言動や、本人の了承なく性的指向を暴露する行為などがそれに当たります。これらはセクハラやパワハラの一種として扱われるため、社内で起こり得るハラスメントの種類として認識し、防止策に含めることが望ましいでしょう。

ハラスメント行為の禁止と具体例

上記の定義を明記したら、「従業員は職場においてハラスメント行為を行ってはならない」旨を就業規則に記載します。

その際、どのような言動がハラスメントに当たるのか具体例を挙げておくと効果的です。

例えば「暴行・脅迫などの身体的攻撃」「侮辱や差別的発言などの精神的攻撃」「性的な冗談や不必要な接触」など、種類ごとに具体的な禁止事項を列挙します。また、上司や管理職が部下のハラスメント被害を知りながら放置する行為も禁止すべき重要事項です。会社としてハラスメントを見逃さず厳正に対処する姿勢を示すため、黙認の禁止も規程に入れておきましょう。

相談窓口の設置と対応体制

ハラスメント防止措置として、相談や苦情に適切に対応するための体制整備も義務となっています。

就業規則や社内規程で相談窓口を定め、従業員へ周知することが必要です。誰が窓口担当者になるか(例:人事部長、外部相談窓口の連絡先など)を明記し、相談があった場合の対応手順も社内で決めておきます。

就業規則の規程例では「各種ハラスメントに関する相談窓口は○○部とし、責任者は○○とする」等と定められています。

併せてプライバシー保護義務や相談者・協力者への不利益取扱い禁止も忘れずに明文化しましょう。例えば「相談したことや調査に協力したことを理由に不利益な扱いをしてはならない」と記載し、安心して相談できる環境を約束します。

懲戒処分規程との連動

ハラスメント行為が発覚した際に適切なペナルティを科すため、就業規則の懲戒事由にハラスメント行為を含めておくことも重要です。

例えば「従業員がハラスメント行為を行ったときは◯◯の懲戒処分を科す」といった具合に、処分の種類(戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇など)を記載します。就業規則上に定めがあれば、加害者への厳正な対処が法的に裏付けられるため、被害者も安心でき社内の抑止力にもなります。特に中小企業では懲戒処分の手続きが整備されていないケースもありますので、ハラスメント規程と合わせて懲戒規程も見直しておくとよいでしょう。

ハラスメント規程の記載例(サンプル条文)

就業規則や付属の「ハラスメント防止規程」における具体的な条文の一例をご紹介します。自社の規程を作成する際の参考にしてください。

(目的) 第○条 本規程は、就業規則に付属する別規程として、職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するために従業員が遵守すべき事項を定める。
(定義) 第○○条 パワーハラスメントとは、地位や人間関係など職場における優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により他の労働者に精神的又は身体的な苦痛を与え、若しくは就業環境を害することをいう。ただし、業務上必要かつ適正な指導・業務指示はこれに該当しない。
(禁止行為) 第○○条 従業員は職場内において、いかなるハラスメント行為も行ってはならない。以下に掲げる行為は禁止事項の例とする。

  1. 暴行・脅迫などにより他の従業員に身体的な危害を加える行為
  2. 業務上必要のない侮辱的な発言や隔離・無視などにより他の従業員に精神的苦痛を与える行為
  3. 相手の意に反する性的な言動を執拗に行い、他の従業員に不快感を与える行為
  4. 妊娠・出産・育児休業等の制度利用者に対し嫌がらせ発言をする行為
  5. 部下や同僚がハラスメント被害を受けている事実を知りながら、これを放置・黙認する行為
    (相談窓口) 第○○条 ハラスメントに関する相談窓口は○○部とし、その責任者を○○と定める。相談窓口の担当者は相談者のプライバシー保護に十分配慮しなければならない。相談や報告を行ったことを理由として、当該従業員に不利益な取扱いをしてはならない。

上記は一例ですが、厚生労働省や各労働局でも類似の規程例やモデル就業規則が公開されています。

自社で条文を作成する際にはこれらも参考に、業種や会社規模に応じた内容にカスタマイズすると良いでしょう。

ただし、ネット上のひな形をそのまま写すだけでは自社の実態に合わない恐れがあります。例えば従業員数や部署体制によって相談窓口の設置方法も変わりますので、自社の実情に合わせて条文を調整することが重要です。

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カスタマーハラスメント防止規程(単独規程)のひな形

就業規則への追記とは別に、カスハラ対策だけを独立した規程にまとめる場合のひな形です。従業員10名以上の事業場では就業規則の一部として届出が必要になります(後述)。

社名・部署名・担当者は自社に合わせて置き換えてください。

カスタマーハラスメント防止規程

(目的)
第1条 本規程は、就業規則第○条に基づき、職場における顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者(以下「顧客等」という。)の言動に起因する問題(以下「カスタマーハラスメント」という。)を防止し、従業員の就業環境を守るとともに、会社としての対応方針および手順を定めることを目的とする。

(定義)
第2条 本規程においてカスタマーハラスメントとは、職場において行われる顧客等の言動であって、社会通念上許容される範囲を超えたものにより、従業員の就業環境が害されるものをいう【要確認:改正労働施策総合推進法第30条の4第1項の定義】。
2 前項の「社会通念上許容される範囲を超えた言動」には、次の各号に掲げるものを含む。
(1)暴行、傷害、脅迫、威圧的な言動
(2)人格を否定する発言、侮辱、名誉毀損
(3)同一内容の要求や苦情を執拗に繰り返す行為、長時間の拘束
(4)商品・サービスの内容に照らして不相当な金銭、謝罪、対応等の要求
(5)SNS・インターネット上での従業員の個人情報または誹謗中傷の投稿
(6)性的な言動、つきまとい
(7)前各号に準ずる行為
3 顧客等からの正当な苦情、要望および指摘は、カスタマーハラスメントに該当しない。会社は、これらには誠実に対応する。

(適用範囲)
第3条 本規程は、会社に雇用されるすべての従業員(正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトを含む。)に適用する。
2 派遣労働者および会社の業務を受託する者が顧客等からカスタマーハラスメントを受けた場合も、本規程に準じて対応する。

(会社の基本方針)
第4条 会社は、カスタマーハラスメントを許さず、従業員が安心して業務に従事できる環境を確保するために必要な措置を講じる。
2 会社は、カスタマーハラスメントが発生した場合、従業員を一人にせず、組織として対応する。
3 会社は、従業員がカスタマーハラスメントの被害を受けたことを理由として、当該従業員に不利益な取扱いを行わない。

(従業員の責務)
第5条 従業員は、顧客等に対して誠実かつ適切に対応するとともに、カスタマーハラスメントに該当するおそれのある言動を受けたときは、独断で対応せず、速やかに上長または第7条の相談窓口に報告しなければならない。
2 従業員は、自らが他社の従業員や取引先に対して顧客等の立場からハラスメントとなる言動を行ってはならない。

(相談窓口)
第6条 カスタマーハラスメントに関する相談および報告の窓口を○○部に置き、責任者を○○とする。
2 相談窓口は、相談者のプライバシーを保護し、相談内容を正当な理由なく第三者に漏らしてはならない。
3 会社は、相談または報告を行ったこと、事実確認に協力したことを理由として、当該従業員に不利益な取扱いを行わない。

(事実確認および被害者への配慮)
第7条 相談窓口は、相談を受けたときは速やかに事実関係を確認し、必要に応じて関係部署と連携して対応方針を決定する。
2 会社は、被害を受けた従業員に対し、担当の変更、業務からの一時的な離脱、産業医等への相談の案内、その他必要な配慮を行う。

(顧客等への対応手順)
第8条 カスタマーハラスメントが確認された場合、会社は次の各号の対応をとることができる。
(1)当該顧客等に対する要求の拒否または対応の打切り
(2)通話・面談の録音・録画および記録の作成
(3)出入禁止、取引の停止または契約の解除
(4)弁護士への相談、警察への通報、法的措置
2 前項の対応は、原則として従業員個人ではなく、上長または会社が指定する担当者が行う。

(記録の保存)
第9条 会社は、カスタマーハラスメントに関する相談、事実確認および対応の経過を記録し、○年間保存する。

(研修および周知)
第10条 会社は、本規程および顧客等への対応方法について、従業員への周知・啓発および研修を定期的に実施する。
2 会社は、カスタマーハラスメントに対する基本方針を、ホームページ・店舗掲示等により顧客等に対しても明示するよう努める。

(懲戒)
第11条 従業員が、第5条第2項に違反し、または本規程の手続に反して相談者の情報を漏洩した場合、就業規則第○条に基づき懲戒処分を行うことがある。

(改廃)
第12条 本規程の改廃は、就業規則の変更手続に準じて行う。

附則
本規程は、2026年○月○日から施行する。

社労士:野澤惇

厚生労働省が公表しているカスハラ対策の指針(「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」)および「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(2026年9月改訂版)も併せて参照し、業種に応じて第2条第2項の具体例を調整してください。

就業規則に追記する場合とカスハラ防止規程を別に作る場合の違い

カスハラ対策を規程化する方法は2つあり、どちらでも法律上の「方針の明確化・周知」の要件は満たせます【要確認:指針上の位置付け】。自社に合う方を下表で選んでください。

項目就業規則に追記別規程として作成
向いている企業少人数・規程を増やしたくない店舗・コールセンター・介護・医療など顧客対応が多い
記載量2〜4条程度(服務規律・相談窓口・懲戒事由に追記)10〜12条程度(上記ひな形)
対応手順の細かさ最低限(報告義務・方針)録音・対応打切り・警察通報まで定められる
改定のしやすさ本則変更のたびに手続きが必要別規程のみの変更で済む(届出は必要)
本則への記載条文を直接追記「別に定める規程による」の委任条項を1条置く
労基署への届出(10人以上)必要必要(就業規則の一部として)
従業員への周知必須必須

どちらを選んでも必要な手続き(見落とされやすいポイント)

  • 別規程であっても就業規則の一部です。常時10人以上の事業場では、作成・変更時に労働者代表の意見書を添えて労働基準監督署へ届け出る必要があります(労働基準法第89条・第90条)
  • 10人未満で届出義務がない事業場でも、周知は必須です。周知されていない規程は、懲戒や対応打切りの根拠として機能しないおそれがあります
  • 周知方法は掲示・備え付け・書面交付・社内イントラ等のいずれか(労働基準法第106条)。ファイルサーバーに置いただけで場所を誰も知らない状態は避けてください
  • 顧客等向けの方針(ホームページ・店頭掲示)は就業規則とは別物です。従業員向け規程とセットで整備すると、対応打切りの際に説明しやすくなります

ハラスメント規程を作成・導入する手順とポイント

ハラスメント規程を就業規則に盛り込む手順を、段階的に確認しておきましょう。既存の就業規則がある場合も、新たに規程を追加・改定する形で対応します。

STEP
現状の把握と準備

自社で起こり得るハラスメントのリスクや、現行就業規則の内容をまず確認します。

パワハラ・セクハラ防止措置義務の内容(相談窓口の設置など)を把握し、どの部分を規程に反映すべきか洗い出しましょう。既にハラスメント方針を社内通知している場合も、改めて就業規則上に明文化する必要があります。

STEP
規程案の作成

前章で述べた項目(定義、禁止事項、相談窓口、懲戒など)について草案を作ります。

既存の就業規則がある場合は、「服務規律」や「懲戒」の章にハラスメント禁止条項を追加し、詳細は別添の「ハラスメント防止規程」に定める方法が一般的です。一方、就業規則自体がない場合(社員10人未満で未作成の場合など)でも、トラブル防止のため社内規程として自主的に整備しておくことをおすすめします。

STEP
社員代表等との協議

就業規則の変更には労使間の合意形成が大切です。従業員の代表者(労働組合または社員代表)に規程案を示し、内容に問題がないか確認・意見聴取します。ハラスメント防止は従業員にとっても安心材料になる旨を説明し、協力を得ましょう。

STEP
労基署への届け出(必要に応じて)

常時10名以上の従業員がいる事業場では、就業規則の作成・変更時に所轄の労働基準監督署へ届け出る義務があります。ハラスメント防止規程を別規程として作成した場合も就業規則の一部として提出することを忘れないようにしましょう(書類の備え付け・届出が必要です)。逆に従業員10名未満で届け出義務がない場合でも、社内で規程を周知することは必須です。

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STEP
従業員への周知

新たに策定・変更したハラスメント規程は、必ず全従業員に周知します。就業規則本体や別規程を社内掲示板やイントラネットに掲載したり、書面・データで配布してください。単に配布するだけでなく、朝礼や研修などで周知徹底を図ることも効果的です。また、難しい法的表現だけでなくイラストやQ&A形式のガイドラインを作成し従業員に配布すると、内容が伝わりやすく予防効果が高まります。

STEP
定期的な見直しと教育

ハラスメントに関する法律や社会状況は変化します。就業規則の内容も定期的に見直し、最新の法令に適合させましょう。従業員研修やアンケートを通じて職場の実態を把握し、必要に応じて規程を修正・補強することも大切です。常に職場全体で「ハラスメントを許さない」意識を共有するよう、継続的な教育・啓発にも努めましょう。

以上のステップを踏むことで、自社の就業規則に適切なハラスメント規程を導入することができます。

しかし実際には法律の専門知識を要する作業も多く、「自社だけで作成するのは不安」という場合もあるでしょう。そのようなときは無理をせず、社会保険労務士(社労士)に相談することをおすすめします。

社労士に相談するメリット

就業規則のハラスメント規程を専門家に依頼することで、得られるメリットは多岐にわたります。

最新の法令に完全準拠した就業規則を作成できる

パワハラ防止法や関連指針など最新の法改正内容もしっかり踏まえ、漏れのない規程を作成してもらえます。最近は特に労務に関して頻繁に法改正が行われているため、気づかないうちに法違反をしている可能性もあります。

自社の実態に合わせたオーダーメイドの規程

ひな形を加工するだけではなく、社労士は各社の事情に応じたカスタマイズを行ってくれます。

特に実態とあっていない規程は労務トラブルの原因になります。業種や従業員規模、過去のトラブル事例などをヒアリングした上で、「自社に本当に必要な内容」を盛り込んだ就業規則を整備します。

従業員トラブルのリスク軽減

適切なハラスメント規程を設け周知することで、将来的なトラブル発生リスクを下げる効果が期待できます。

しかし、万が一ハラスメント問題が起きてしまった場合でも、就業規則がしっかりしていれば会社としてブレない対応ができます。社労士は就業規則整備のみならず、問題発生時の対処法についてもアドバイスしてくれるため、アフターフォローも万全です。

手間の削減と本業への専念

法令調査や書類作成に時間を取られると、本来の業務に支障が出てしまいます。専門家に依頼すれば煩雑な手続きを任せられるので、経営者や人事担当者は本業に集中できます。特に全国に支店がある場合でも、社労士事務所によってはオンラインで全国対応してくれるところもありますので、遠方からでもスムーズに相談・依頼が可能です。

社労士 野澤

労務面は特に細かい対応が多く、外部にアウトソーシングをしたほうが結果として費用対効果がかなり高くなるケースが多いです。

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まとめ

本記事ではハラスメント規程について解説させていただきました。

本記事のまとめ
  • ハラスメント規程が未整備のままでは、被害拡大・懲戒処分の法的リスク・行政指導といった深刻なトラブルにつながりかねない
  • ひな形の流用だけでは自社の実態に合わない恐れがあるため、業種・規模・実情に応じたカスタマイズが重要
  • 社労士に依頼することで、最新法令への対応・オーダーメイドの規程作成・トラブル発生時のアドバイスまで一括して対応してもらえる

社労士事務所altruloop(アルトゥルループ)では、全国対応・初回相談無料でご相談を承っております。人事労務に関するお悩みはお問い合わせよりお気軽にご相談ください。

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監修者

【野澤 惇|社会保険労務士】
社労士事務所altruloop/株式会社altruloopホールディングス 代表
人事労務DD(人事労務デューデリジェンス)・IPO準備の労務監査/労務是正を強みとする社会保険労務士。建設・介護・医療・IT・製造・飲食・小売・人材・不動産など多業種の労務顧問、就業規則作成、人事評価制度構築にも対応。
登録番号:13250298

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