法人保険ランキングの正しい見方とは?返戻率・損金で損しない比較のポイントを解説

法人保険の加入を検討する際、どの保険会社を選ぶべきか迷う経営者の方は少なくありません。 

インターネット上で「法人保険 ランキング」や「法人保険 おすすめ」と検索すると、多くのサイトで人気商品が紹介されています。

しかし、ランキング上位の保険が必ずしも自社にとって最適であるとは限りません。法人保険は企業の目的や財務状況によって正解が異なるため、表面的な順位や返戻率だけで判断すると、思わぬキャッシュフローの悪化や税務上の不利益を被る可能性があります。

本記事では、士業実務家の視点から、法人保険ランキングの正しい見方と、損をしないための比較・選び方のポイントを徹底解説します。

この記事でわかること
  • 法人保険ランキングを鵜呑みにしてはいけない理由
  • 法人保険を比較・検討する際に見るべき3つの重要軸
  • 解約返戻率ランキングの落とし穴と正しい見方
  • 2019年税制改正後の損金算入ルールの仕組みと注意点
  • 自社の目的や財務状況に合った法人保険の選び方
この記事の監修者

【西山 尚志 | ファイナンシャルプランナー】
株式会社altruloopフィナンシャルパートナーズ マネージャー
個人・法人保険及びファイナンシャルプランナーとして、個人のライフプランニングから法人の経営課題解決まで、多角的な視点でトータルサポートを提供している。保険商品の販売にとどまらず、保険募集人として、高度な専門性と倫理観を持ち、客観的かつ公正な立場から、顧客の最善の利益を追求する。

目次

法人保険のランキングは鵜呑みにしてよい?

インターネット上の法人保険ランキングを鵜呑みにするのは危険です。最適な保険は、企業ごとの経営課題や財務状況によって全く異なるからです。 

ランキングだけでは「自社に最適な保険」はわからない

法人保険のランキングは、一般的に「解約返戻率の高さ」や「保険料の安さ」「人気度」などの単一の基準で作られています。しかし、法人保険に加入する目的は企業によってさまざまです。

例えば、経営者の万が一に備える「事業保障」が目的なのか、将来の「役員退職金の準備」が目的なのかによって、選ぶべき保険種類(定期保険、終身保険など)は全く異なります。A社にとっておすすめの保険が、B社にとっても優れているとは限らないのです。

「法人保険会社 ランキング」で1位だからといって、自社のニーズを満たす商品であるという保証はありません。

ランキング記事には広告(アフィリエイト)が含まれることがある

Web上のランキングサイトの中には、紹介料(アフィリエイト報酬)を得ることを目的として運営されているものが少なくありません。この場合、必ずしも商品スペックが優れている順ではなく、サイト運営者にとって利益の大きい商品が上位にランキングされているケースがあります。

すべてのランキングが広告目的ではありません。しかし、掲載順位の根拠が不明瞭な場合、その情報だけで加入を決めるのは危険です。 

ランキングは「方向性をつかむ」ために使う

ランキング記事が全く無駄というわけではありません。「現在の主流商品」や「スペックの相場」を知るための、情報収集の第一歩として活用しましょう。 

「現在どのような法人保険が販売されているのか」「法人保険比較の際、他社はどのようなポイントを見ているのか」といった全体の方向性をつかむためのツールとして割り切ることが大切です。

法人保険を比較するときに見るべき3つの軸

ランキングの順位ではなく、自社の目的に照らし合わせた「比較の軸」を持つことが重要です。具体的には次の3点を確認します。 

①保障内容(保険金額・保険期間・保障範囲)

第一に確認すべきは、保険本来の目的である「保障内容」です。経営者の万が一に備え、いくらの事業資金が、いつまで必要なのかを算出し、適切な保険金額と期間を設定します。

死亡保障だけでなく、三大疾病や就業不能リスクへの備えが必要かも検討事項です。 手厚い保障を求めれば当然保険料は高くなるため、必要な保障額を精緻にシミュレーションすることが、無駄のない法人保険選びの第一歩となります。

②貯蓄性・解約返戻率

役員退職金の準備など、将来の資金準備を目的とする場合は「貯蓄性」が重要になります。ここで目安となるのが「解約返戻率(支払った保険料総額に対して、解約時に戻ってくるお金の割合)」です。

ただし、単に「返戻率ランキング」の上位商品を選べば良いわけではありません。 解約返戻率は契約からの経過年数によって変動するため、自社が資金を必要とするタイミング(退職予定時期など)で返戻率がピークを迎える商品を選ぶ必要があります。

③損金算入のルール(経理処理)

法人保険の保険料は、商品の種類や契約形態、最高解約返戻率によって、税務上の経理処理(損金算入できる割合)が厳密に定められています。

支払った保険料が全額損金(経費)になるのか、それとも一部が資産計上となるのかによって、法人のキャッシュフローや法人税額に大きな影響を与えます。実務上は、保障や貯蓄性だけでなく、この「損金算入ルール」を正しく理解し、自社の財務への影響を加味したうえで複数社を比較することが不可欠です。

返戻率(解約返戻率)の正しい見方と落とし穴

退職金準備などの目的で法人保険を検討する際、多くの経営者が注目するのが返戻率です。しかし、この数値の見方を誤ると、将来手元に残る資金が想定より少なくなってしまう可能性があります。

解約返戻率とは

解約返戻率とは、保険を途中で解約した際に支払われる「解約返戻金」が、それまでに払い込んだ「保険料の総額」に対して何パーセントにあたるかを示す指標です。

計算式は以下の通りです

  • 解約返戻率(%)=(解約返戻金額 ÷ 累計払込保険料)× 100

たとえば、累計1,000万円の保険料を支払い、解約返戻金が800万円であれば、解約返戻率は80%となります。この数値が高いほど、実質的な保険料負担が少なく、貯蓄性が高い保険だといえます。

返戻率はピーク時期が重要

返戻率で最も重要なのは「いつピークを迎えるか」です。一般的な法人保険の返戻率は、加入後に上昇して一定期間ピークを維持し、その後急激に下がります。

出典:チューリッヒ「生命解約返戻金とは?仕組みと注意点を解説

上記の図(青い曲線)にあるように、定期保険の解約返戻金は途中で最大(ピーク)になりますが、その後は満期に向かって減少し、最終的には0円になります。

もし、役員の退職予定時期と返戻率のピークがズレてしまえば、解約時に大きく元本割れを起こし、必要な資金が不足してしまいます。「返戻率が何%か」だけでなく、「何年後にピークが来るか」を自社のスケジュールと合わせることが必須です。

「返戻率が高い=得」とは限らない

「返戻率が高い=お得」とは限りません。高額な保険料支払いによるキャッシュの流出と、長期間の資金拘束リスクが伴うためです。 

いくら将来の返戻率が高くても、毎月の保険料支払いが現在の事業資金を圧迫しては本末転倒です。また、長期間資金が固定されるため、インフレ(物価上昇)によって将来受け取る貨幣価値が実質的に目減りするリスクも考慮しなければなりません。事業投資に回したほうが、結果的に高い利回りを生むケースも多々あります。

保険に関する相談はaltruloopフィナンシャルパートナーズへ

保険の見直し・新規加入まで無料サポート

ライフプランに合わせた最適な保険をご提案

相談料は何度でも無料! 無理な営業は一切ありません

損金算入ルール(2019年税制改正後)の基本

かつては「全額損金で返戻率が高い」という、いわゆる節税保険が多数存在しました。しかし、2019年の税制改正(国税庁の法人税基本通達の改正)により、法人保険の経理処理ルールは大きく変わり、行き過ぎた節税は封じられています。

2019年の税制改正で何が変わったか

2019年7月8日以降に契約した定期保険や第三分野保険については、新たな損金算入ルール(法人税基本通達9-3-5の2など)が適用されています。

最大の変更点は、保険料の損金算入割合が「最高解約返戻率」に連動するようになったことです。以前は保険種類(定期保険など)の名称によって一律にルールが定められていましたが、現在では実質的な貯蓄性(返戻率の高さ)に応じて、損金にできる割合が細かく制限される仕組みになりました。

返戻率と損金算入割合の関係

現在のルールでは、最高解約返戻率が50%以下であればこれまで通り全額を損金にできますが、50%を超える商品については、保険料の一部を「資産計上」しなければなりません。

国税庁の通達(法人税基本通達9-3-5の2)では、以下のように厳格な区分が定められています。

出典:国税庁「法人税基本通達 第9章第3節第3款

上記の国税庁のルールは少し複雑ですが、実務上の経理処理(原則としての前半期間)をわかりやすくまとめると、以下のようになります。

最高解約返戻率保険料の経理処理(原則としての前半期間)
50%以下全額損金
50%超~70%以下保険料の40%相当額を資産計上(60%損金)
70%超~85%以下保険料の60%相当額を資産計上(40%損金)
85%超最高解約返戻率の9割相当額等を資産計上(損金割合はわずか)
※上記は原則的なルールであり、被保険者の年齢や期間によって例外や詳細な計算方法があります。

このように、返戻率が高い商品ほど損金算入できる割合が減る(資産計上額が増える)ため、目先の法人税の負担軽減効果は薄くなります。

法人保険の節税は「課税の繰延」にすぎない

法人保険による節税は、税金の免除ではなく、将来への先送りにすぎません。 

保険料支払い時に損金算入して法人税を減らしても、将来保険を解約して解約返戻金を受け取った際には、その返戻金が「雑収入」として益金(利益)に計上され、課税対象となります。

解約のタイミングで役員退職金の支給などの「出口戦略(大きな損金)」を用意しておかなければ、解約時に多額の税金がかかり、トータルの税負担は減りません。 

ランキングに頼らず自社に合った法人保険を選ぶ方法

ここまで解説してきた通り、法人保険はランキングの順位や表面上の数字だけで選ぶべきではありません。では、具体的にどのように選べば良いのでしょうか。

まず加入の「目的」を明確にする

すべての出発点は「何のために法人保険に入るのか」を経営陣で明確にすることです。

  • 事業保障: 借入金の返済や、経営者不在時の当面の運転資金を確保したい。
  • 退職金準備: 将来の勇退に向けた役員退職金や、従業員の退職金を計画的に積立てたい。
  • 事業承継対策: 自社株の買い取り資金や、相続時の納税資金を準備したい。

目的が決まれば、必要な保険金額、保障期間、貯蓄性の要否が定まり、選ぶべき保険商品のジャンルが自然と絞り込まれます。

保険料がキャッシュフローを圧迫しないか確認する

次に、設定した保険料が自社の財務体力を超えていないか、厳格にシミュレーションします。保険は長期間にわたり支払いが続く固定費です。

直近の好業績を前提に高額な保険料を設定すると、業績悪化時に支払いが滞り、早期解約による元本割れを招きます。 

「法人保険 比較」を行う際は、保障額の大きさだけでなく、最悪のシナリオを想定しても無理なく支払い続けられる保険料水準かどうかの見極めが不可欠です。

複数社を比較し、専門家に相談して決める

目的と予算が固まれば、複数社の商品比較に入ります。しかし、約款や税務上の取り扱いは複雑なため、自社単独での判断は危険です。税理士や乗合代理店など、税務・財務の専門家を交えて検討してください。 

専門家の知見を借りながら複数社を比較検討することで、自社の目的・キャッシュフロー・税務リスクのすべてを満たす、最適な法人保険を見つけることができます。

【法人保険 ランキングでよくある質問】

法人保険はランキング上位の商品を選べば間違いないですか?

間違いです。

ランキングは特定の指標(返戻率など)に基づいた結果にすぎません。法人の目的(事業保障、退職金準備など)や財務状況によって最適な保険は異なるため、ランキングはあくまで参考程度に留め、自社に合ったものを選ぶ必要があります。

返戻率が高い法人保険ほどお得ですか?

一概にお得とは言えません。

返戻率が高い商品は、その分保険料が高額になりやすく、長期間の資金拘束リスクが生じます。また、2019年の税制改正以降、返戻率が高い商品は損金算入割合が低くなるため、キャッシュフローと税務のバランスを考慮して判断する必要があります。

法人保険で節税できますか?

法人保険によるいわゆる「節税」は、実質的には利益を将来へ先送りする「課税の繰延」です。

支払時に損金を作れても、解約時に受け取る返戻金は益金(利益)となるため、退職金支給などの「出口戦略(経費化の計画)」がセットでなければ、トータルでの税負担は減りません。

法人保険を比較するとき、何を見ればいいですか?

「①自社の目的に合った保障内容(金額・期間)か」「②資金が必要な時期に返戻率がピークを迎えるか」「③自社の財務に無理のない経理処理(損金ルール)と保険料負担か」の3点を中心に比較してください。

自社に合う法人保険はどう選べばいいですか?

まず加入目的を明確にし、無理のない予算(保険料)を設定します。

そのうえで、特定の1社に偏らないよう複数の保険会社の商品を比較し、税理士や保険の専門家のアドバイスを受けながら決定するのが最も確実な選び方です。

保険の相談ならaltruloopフィナンシャルパートナーズ
  • 保険の見直し・新規加入まで無料サポート
  • ライフプランに合わせた最適な保険をご提案
  • 相談料は何度でも無料! 無理な営業は一切ありません

\まずはお気軽に相談!!/

まとめ

法人保険ランキングの正しい見方と、選び方の重要ポイントをまとめます。 

本記事のまとめ
  • 法人保険ランキングは鵜呑みにせず、あくまで商品トレンドを把握する参考情報として扱う。
  • 保険を選ぶ際は「保障内容」「貯蓄性(解約返戻率)」「損金算入ルール」の3つの軸で比較する。
  • 解約返戻率は「高さ」だけでなく、自社の資金計画と「ピーク時期」が合致しているかが重要である。
  • 2019年の税制改正により、高い返戻率と全額損金を両立する商品はなくなり、節税は「課税の繰延」にすぎないことを理解する。
  • 自社の加入目的とキャッシュフローを明確にし、専門家に相談しながら複数社を比較検討することが成功の鍵となる。

自社の貴重な事業資金を投じる法人保険選びにおいて、安易なランキングへの依存はリスクを伴います。本記事のポイントを参考に、経営課題の解決に真に役立つ保険を選択してください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

監修者

【西山 尚志 | ファイナンシャルプランナー】
株式会社altruloopフィナンシャルパートナーズ マネージャー
個人・法人保険及びファイナンシャルプランナーとして、個人のライフプランニングから法人の経営課題解決まで、多角的な視点でトータルサポートを提供している。保険商品の販売にとどまらず、保険募集人として、高度な専門性と倫理観を持ち、客観的かつ公正な立場から、顧客の最善の利益を追求する。

目次