会社の経営をやめて企業に就職したい、あるいは事業の継続が難しくなった 。そうしたとき、いま持っている「経営・管理」の在留資格(経営管理ビザ)から、会社員として働くための就労ビザへ変更できるのか気になる方は多いはずです。
この記事では、経営管理ビザから就労ビザへの変更について、変更できるのか/何のビザに変えられるのか/経営していた期間は職歴として使えるのか/手続きと不許可を避けるポイントを、行政書士の視点で順に解説します。
- 経営管理ビザから就労ビザへの変更は、要件を満たせば可能です。
- 変更先として最も一般的なのは「技術・人文知識・国際業務(技人国)」です。
- 経営者のまま就職活動をしても構いませんが、就労を始める前に在留資格変更の許可を受ける必要があります。
- 2025年10月の経営・管理ビザ厳格化により、更新が難しくなり就労ビザへ切り替えるケースが増えています
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- 複雑で面倒なビザ(在留資格)申請・更新手続きを全て代行
- 就労ビザ・特定技能まで幅広く対応
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結論:要件を満たせば変更は可能
結論から言うと、経営管理ビザから就労ビザへの変更は可能です。日本で在留資格を変更したいときは、住居地を管轄する地方出入国在留管理局に「在留資格変更許可申請」を行います。変更先の在留資格の要件(学歴・職歴・業務内容・受け入れ企業の体制など)を満たし、変更が相当と認められれば許可されます。
実際には、事業の継続が難しくなった経営者の方、安定した雇用を選びたい方、そして後述する2025年の制度改正で更新が難しくなった方などが、この変更を検討しています。いずれの場合も、ポイントは「変更先の就労ビザの要件を満たせるか」と「手続きの順序を誤らないか」の2つです。
ただし「現在のビザの残り期間が長いから大丈夫」と考えて、経営者のまま会社に雇われて働き始めるのは禁物です。これは在留資格で認められた活動の範囲を超える就労にあたり、不法就労と判断されるおそれがあります。就労開始の前に変更許可を受けることが大前提です。
そもそも「就労ビザ」とは何か
「就労ビザ」は法律上の正式名称ではなく、報酬を得て働くことが認められる在留資格の総称です。実は、いま持っている「経営・管理」も広い意味では就労系の在留資格の一つです。本記事でいう「就労ビザへの変更」とは、経営者・管理者の立場から、企業に雇われる被雇用者の立場の在留資格へ変えることを指します。
主な就労系の在留資格は次のとおりです。
| 在留資格(就労ビザ) | 主な活動・対象 |
|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務(もっとも一般的な変更先) | エンジニア・通訳・翻訳・営業・企画・経理など。 |
| 技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、貴金属加工など熟練技能 |
| 特定技能 | 介護、外食・建設・宿泊など、人手不足は深刻な特定分野 |
| 企業内転勤 | 海外拠点から日本拠点への異動者(技人国担当の業務) |
| 高度専門職 | ポイント制で高度人材と認められた研究者・技術者・経営者 |
| 経営・管理(現在) | 会社の経営者・役員・管理者 |
変更先で最も多いのは「技術・人文知識・国際業務」
経営管理ビザからの変更先として最も多いのが「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる技人国です。エンジニア・通訳翻訳・営業・企画・経理など、専門的な知識や語学力を活かすオフィスワーク全般が対象になります。会社経営の経験がある方は、管理職や事業企画、海外取引などの業務で技人国に当てはまるケースが少なくありません。
調理師など現場の熟練技能を活かすなら「技能」、人手不足分野での就労なら「特定技能」が選択肢になることもあります。どのビザが適切かは、これから就く仕事の内容で決まります。
経営管理ビザから就労ビザへ変更する主なケース
実務では、次のような状況で変更が検討されます。自分がどれに当てはまるかを確認しておくと、準備の方向性が定まります。
① 事業をたたんで企業に就職する
最も多いのが、自分の会社を廃業・清算し、どこかの企業に就職するケースです。経営者から従業員へと立場が変わるため、就労ビザへの変更が必要になります。事業の見通しが立たなくなった、安定した収入を得たいといった理由で、経営から雇用へ切り替える方が一定数いらっしゃいます。
② 2025年10月の経営・管理ビザ厳格化で更新が難しくなった

2025年10月16日に施行された改正により、経営・管理ビザの取得・更新の基準が大きく引き上げられました。資本金要件は500万円から3,000万円へと約6倍になり、これまで認められていた「常勤職員2名以上の雇用による資本金要件の代替」は廃止されています。
改正で何が変わった?新旧の基準比較
主な変更点は次の比較表のとおりです。資本金だけでなく、常勤職員の雇用・日本語能力・経営経験・事業計画書の専門家確認・独立した事業所の確保など、複数の要件がセットで求められるようになりました。
| 項目 | 改正前 | 改正後(厳格化) |
|---|---|---|
| 資本金・出資総額 | 500万円以上 | 3,000万円以上(約6倍) |
| 常勤職員 | 資本金または2名以上の雇用(選択制) | 資本金に加えて1名以上の常勤職員が必須 |
| 日本語能力 | 要件なし | B2相当(JLPT N2以上)を新設 ※経営者本人か常勤職員のいずれか |
| 経営・実務経験 | 要件なし | 3年以上の実務経験又は修士号等が必要 |
| 事業計画書 | 任意 | 専門家(中小企業診断士・会計士・税理士等)の確認が必須 |
| 事業所 | 比較的ゆるやか | 独立した事業所が必須 ※バーチャルオフィス等は不可 |
既存の保有者には2028年10月16日までの3年間の経過措置が設けられていますが、更新時には新基準への段階的な適合が求められます。小規模で事業を営んできた方のなかには、更新で新基準を満たすのが難しく、就労ビザへの切り替えを選ぶ方が増えています。
- 【参考】出入国在留管理庁による公式情報
-
「経営・管理」の在留資格に係る上陸基準等の改正案内(入管庁公式サイト)
③ 会社の役員を退いて従業員になる
会社自体は存続させつつ、自分は経営・役員から外れて一従業員として働く場合も、経営管理ビザの活動内容から外れるため変更が必要です。
④ 共同経営を解消する
共同で会社を経営していたものの体制を見直し、自分が経営から退いて被雇用者になる場合も同様に、就労ビザへの変更を検討します。
就労ビザへの変更が認められるための要件
ここでは変更先として最も多い技人国を例に、認められるための要件を整理します。
学歴または実務経験の要件
技人国では、原則として、関連する分野の学歴(大学・短大卒業、または日本の専門学校卒業)か、一定年数の実務経験が求められます。学歴で要件を満たせない場合でも、実務経験を積み上げて要件を満たせるケースがあります。
経営管理ビザで経営していた期間は「実務経験」になる?
経営者として会社を運営していた期間が、そのまま技人国の実務経験として評価されるかは、これから就く業務との関連性で判断されます。たとえば貿易会社を経営していた方が、海外取引を担う総合職に就くなら、経営期間中の業務との関連性を主張しやすくなります。
一方で、就く仕事と経営内容が無関係だと、経験として評価されにくい点に注意が必要です。退職後にどのような業務に就くかを見据えて、職務内容と経歴のつながりを説明できるよう準備しておくことが大切です。
業務内容と専攻・経歴の関連性
技人国では、これから従事する業務が、申請者の専攻や職歴と関連していることが重要です。単純作業が中心の仕事は対象外とされやすいため、専門性のある業務であることを職務内容説明書などで丁寧に示します。
受け入れ企業側の要件
雇用契約の内容(業務内容・報酬)が適切で、日本人と同等以上の報酬であること、企業に事業の継続性・安定性があることなどが審査されます。提出書類は、受け入れ企業の規模に応じたカテゴリーによって変わります。
カテゴリーは、上場企業や一定規模以上の企業(カテゴリー1・2)ほど提出書類が少なくて済み、設立間もない企業や小規模な企業(カテゴリー3・4)ほど詳しい資料が必要になるという仕組みです。前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の提出の有無などで区分されます。就職先がどのカテゴリーに当たるかで準備の負担が変わるため、内定先に早めに確認しておくとスムーズです。

2026年4月以降の日本語要件に注意
技人国では、2026年(令和8年)4月15日以降の申請から、所属機関のカテゴリー3・4に該当する場合で、主に言語能力を用いる対人業務(翻訳・通訳、ホテルのフロント業務など)に従事するときは、CEFR・B2相当(JLPT・N2以上の取得などでみなされます)の言語能力を証する資料の提出が必要になります。語学力を活かす仕事に就く予定なら、早めに資料の準備を進めておくと安心です。
素行・納税などの一般的な要件
在留状況が良好であること、税金や社会保険を適切に納めていることも審査されます。経営管理ビザの期間中に会社・個人の納税や社会保険の手続きを適切に行ってきたかは、整合性のある説明ができるよう書類を整えておきましょう。
変更手続きの流れと必要書類

手続きの全体フロー
経営管理ビザから就労ビザへの変更は、おおむね次の流れで進みます。
勤め先への就職に向け、経営していた会社をたたむ・役員を退くなどの整理を始める
業務内容が学歴・職歴と関連する企業に内定。雇用計画書・労働条件通知書を取得
住居地を管轄する地方出入国在留管轄局へ申請(オンライン申請も可能)
標準的にはおおむね2週間~1・2か月。在留期間に余裕をもって申請するのが重要
許可後に新しい在留資格で就労を開始できる
退職・廃業のタイミングと注意点
「経営者の立場のまま就職活動をすること」自体は問題ありません。問題になるのは、許可が出る前に新しい会社で実際に働いて報酬を得ることです。就労開始前に必ず変更許可を受けてください。また、会社をたたむ場合は、廃業・清算や役員退任の事実を示せるよう、登記や届出の控えなどを整理しておきます。
在留資格変更許可申請の必要書類
技人国へ変更する場合の代表的な書類は次のとおりです。受け入れ企業のカテゴリーによって、省略できる書類や追加で求められる書類があります。

なお、変更後の在留資格によって使用する申請書の様式が異なります。最新の様式と提出書類一覧は、出入国在留管理庁の各在留資格のページで必ず確認してください。

申請先・手数料・審査期間
申請先は、住居地を管轄する地方出入国在留管理局です。窓口のほか、在留申請オンラインシステムを利用したオンライン申請にも対応しています。
許可される際には手数料(収入印紙)の納付が必要で、金額は改定されることがあるため、申請前に最新額を確認してください。
審査期間は標準的に2週間〜1か月程度とされますが、内容によっては2〜3か月かかることもあります。在留期限ぎりぎりではなく、余裕をもって申請することが重要です。
不許可・帰国を避けるための5つの注意点
在留期限ぎりぎりの申請は危険
審査に時間がかかり、在留期限を過ぎてしまうと、最悪の場合は出国が必要になることもあります。退職・廃業の予定が見えた段階で、早めに変更の準備を始めましょう。
経営管理ビザのまま会社員として働くと不法就労
繰り返しになりますが、経営管理ビザのまま会社に雇われて報酬を得ると、不法就労と判断されるおそれがあります。許可が出るまでは新しい仕事を始めないことを徹底してください。
廃業・税務処理と在留状況の整合性
会社を清算する場合は、廃業の手続きや税務処理を適切に行い、在留状況と矛盾が生じないようにします。未処理の届出や納税の遅れは、審査でマイナスに働くことがあります。
就労ビザの要件を満たせないときの選択肢
これから就く仕事が技人国などの就労ビザの要件に当てはまらない場合や、学歴・実務経験で要件を満たせない場合もあります。
その場合は、就く業務の内容を見直して要件に合う形にできないかを検討するほか、状況によっては身分・地位にもとづく在留資格(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など、これらに該当する場合は就労内容に制限がありません)や、要件を満たせるなら高度専門職などが選択肢になることもあります。
どの在留資格が現実的かは個別事情で大きく変わるため、早い段階で専門家に整理してもらうのが安全です。
就労資格証明書を活用してリスクを下げる
新しい仕事の内容が就労ビザの範囲に収まるか不安な場合は、就労資格証明書の交付を受けておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。判断に迷うときは、申請前に専門家へ相談するのが安全です。
よくある質問(Q&A)
- 経営していた会社をすぐに閉じなくても変更できますか?
-
役員を退く、あるいは経営に関与しない形に整理できれば、必ずしも即時の廃業は必要ありません。ただし、経営者の立場と被雇用者の立場の整合性を説明できることが前提です。会社を残したまま自分だけ従業員になる場合は、誰が経営を担うのか、自分の役割がどう変わるのかを明確にしておきましょう。
- 経営管理ビザの残り期間が長くても、変更したほうがよいですか?
-
はい。残り期間があっても、就職して被雇用者として働くなら変更が必要です。残り期間を理由に変更せず働くと不法就労になり得ます。
- 大学を出ていなくても技人国に変更できますか?
-
学歴で要件を満たせなくても、関連分野の実務経験で要件を満たせる場合があります。実務経験は原則10年(一部の業務は3年)とされ、これまでの経歴とこれからの業務の関連性が鍵になります。経営期間中に従事していた業務が関連するなら、その経験を説明できるよう資料を整えましょう。
- 経営者としての経歴は職歴として評価されますか?
-
これから就く業務との関連性があれば、経験として説明できる可能性があります。たとえば自社で経理や貿易実務を担っていた方が、同種の業務に就くケースなどです。無関係な業務に就く場合は評価されにくいため、職務内容の設計が重要です。
- 変更が不許可になったらどうなりますか?
-
不許可の理由を確認し、書類を補強して再申請を検討します。在留期限が迫っている場合は早急な対応が必要なため、専門家への相談をおすすめします。
- 審査期間はどれくらいですか?就職開始日に間に合いますか?
-
標準的には2週間〜1か月程度ですが、2〜3か月かかることもあります。入社予定日から逆算し、余裕をもって申請しましょう。
- アルバイト程度の仕事でも変更できますか?
-
就労ビザは、専門性や一定の業務内容・報酬水準が前提です。単純労働中心の仕事は対象になりにくい点に注意してください。働き方や業務内容によっては、別の在留資格を検討する必要があります。
- 行政書士に依頼するメリットは何ですか?
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変更先のビザ選び、経歴と業務内容の関連づけ、書類の整合性チェックまで一貫して整理でき、不許可リスクを下げられます。とくに経営から雇用への切り替えは経歴の説明が難しくなりがちで、期限が迫っているケースほど専門家のサポートが効果的です。
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- 複雑で面倒なビザ(在留資格)申請・更新手続きを全て代行
- 就労ビザ・特定技能・外国人枠の採用から労務管理まで幅広く対応
- ビザ申請代行は10万円〜! お得に面倒な業務を外注
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まとめ
経営管理ビザから就労ビザへの変更は、要件を満たし、就労開始前に在留資格変更許可を受ければ可能です。変更先は技人国が一般的で、経歴とこれからの業務の関連性、受け入れ企業の体制、在留状況の整合性が審査のポイントになります。
2025年の経営・管理ビザ厳格化で更新が難しくなった方も、早めの準備と適切なビザ選びでスムーズな切り替えが可能です。
- 新しい会社で就労を開始する前に、必ず在留資格変更許可を受ける必要がある。
- 転職先の業務内容と、これまでの学歴や経営時の実務経験との関連性が審査される。
- 2025年10月の厳格化でビザ更新が難しくなった場合、就労ビザへの変更は有効な選択肢
- 不許可や期限切れによる帰国リスクを防ぐため、退職・廃業に合わせて早めに準備。
経営管理ビザから就労ビザへの変更は、これまでの経歴の証明や会社をたたむタイミングなど、専門的な判断が求められる難しい手続きです。不許可による帰国リスクを確実に回避し、安心して新しいスタートを切るためにも、ぜひお早めに行政書士へご相談ください。

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