家族滞在ビザで暮らす配偶者や子供がフルタイムで就職するには、就労ビザへの切り替えが必須です。
本記事では、切り替えの条件や必要書類、特有の注意点を行政書士が解説します。基本的な手続きの流れは別記事に譲り、ここでは「家族滞在からの変更」ならではの重要なポイントに絞ってご案内します。
- 家族滞在ビザは原則就労不可。資格外活動許可を得ても、働けるのは週28時間以内までです。
- フルタイムで働く(28時間を超える)には、就労ビザへの在留資格変更(切り替え)が必須です。
- 切り替えの条件は通常の就労ビザと同じで、学歴・専攻と職務の関連性・単純労働でないこと・企業要件が問われます。
- 資格外活動の「週28時間超過」の履歴は、切り替えが不許可になる大きな要因です。雇用する企業側にもリスクがあります。
-1-1024x576.jpg)
- 複雑で面倒なビザ(在留資格)申請・更新手続きを全て代行
- 就労ビザ・特定技能まで幅広く対応
- ビザ申請代行は10万円〜! お得に面倒な業務を外注
\まずはお気軽に相談/
家族滞在ビザのままではフルタイムで働けない|なぜ切り替えが必要か
家族滞在ビザは「扶養家族」のための在留資格
家族滞在で在留できる人(就労者・留学生等の配偶者・子)
家族滞在は、技術・人文知識・国際業務や経営・管理などの就労系在留資格、あるいは留学などで日本に在留する人の扶養を受ける配偶者・子のための在留資格です。たとえば、技人国で働く外国人の妻や夫、留学中の外国人の子どもなどがこれにあたります。あくまで扶養される立場としての在留資格であり、配偶者本人や子が独立して就労することを前提としていません。
原則就労不可・資格外活動許可で週28時間以内のみ

そのため、家族滞在では原則として就労は認められていません。ただし、地方出入国在留管理局で「資格外活動許可」を得れば、一定の範囲で働くことができます。この許可で認められるのは、原則として週28時間以内のアルバイトです。風俗営業など一部の業種は除外されます。
「週28時間」の取扱い
複数バイトの合計時間で計算
ここで注意したいのが、28時間の数え方です。28時間は、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合の合計時間で計算されます。「コンビニで20時間、飲食店で15時間」のように複数で合計35時間働けば、合計で28時間を超えるため違反となります。掛け持ちをする際は、各勤務先での労働時間を把握し、合計が28時間を超えないように管理する必要があります。
残業も含まれる/留学生のような長期休暇特例は適用されない
さらに、28時間には残業時間も含まれます。所定労働時間が短くても、繁忙期の残業が積み重なって28時間を超えると違反です。また、留学生には教育機関の長期休業期間中に1日8時間まで働ける特例がありますが、家族滞在にはこの特例は適用されません。学校の長期休暇であっても、家族滞在の週28時間という制限は緩和されません。
フルタイムには就労ビザへの「切り替え」が必須
したがって、家族滞在ビザのままでは、どれだけ希望してもフルタイム(週28時間超)で働くことはできません。正社員として、あるいは週28時間を超えて働くには、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)への在留資格変更、いわゆる「切り替え」が必須になります。

家族滞在から就労ビザへ切り替える条件
通常の就労ビザと同じ4つの基本条件
家族滞在から就労ビザへ切り替える際の条件は、特別なものではなく、通常の就労ビザを取得する場合と同じです。家族滞在からの切り替えだから条件が緩和される、ということはありません。具体的には次の4つを満たす必要があります。
学歴(大学卒・専門士)または相当の実務経験
第一に、業務に関連する学歴または実務経験です。技術・人文知識・国際業務などの就労ビザでは、関連分野の大学卒業(学士)または日本の専門学校卒業(専門士)が原則として求められます。学歴がない場合でも、業務に関連する一定年数の実務経験で代替できることがあります。
専攻・経歴と職務内容の関連性
第二に、本人の専攻・経歴と従事する職務内容に関連性があることです。家族滞在の方は配偶者ビザのときと異なり職種の制約なく働けていたケースが多いため、これまでの仕事や学んできた分野と、これから就く新しい職務の整合性を、理由書でていねいに示すことが重要になります。
専門的・技術的な業務であること(単純労働は不可)
第三に、その職務が専門的・技術的な業務であることです。コンビニや飲食店での接客・調理、製造ラインや清掃などの単純労働を主目的とする職務では、技人国などの就労ビザは原則として認められません。
企業の要件(同等以上の報酬・事業の安定性)
第四に、受入企業が日本人が同じ業務に従事する場合の報酬と同等以上を支払い、事業に安定性・継続性があることです。給与水準と会社の財務状況も審査の対象となります。
家族滞在ならではの留意点
海外学歴の証明(母国の卒業証明書・成績証明書とその翻訳)
家族滞在の方が日本の学校を卒業していない場合、母国の大学などの学歴を証明する書類が必要になります。海外の卒業証明書・成績証明書を取得し、日本語訳を添付する必要があります。専攻と職務の関連性を立証するためにも、成績証明書(学んだ科目が分かる)は重要な資料です。母国からの取り寄せに時間がかかる場合があるため、早めに着手しておきましょう。
専門職は通りやすい/現場労働は技人国不可→「特定技能」も選択肢

職種で言えば、エンジニアや通訳・翻訳、企画・マーケティングなど、専門的な知識を活かす職務は審査が通りやすい傾向があります。
一方で、製造ラインや建設現場、介護などの現場労働は、技術・人文知識・国際業務では認められません。こうした分野で正社員として働く場合は、対象分野が定められている「特定技能」への切り替えが選択肢になります。在留資格の種類は「就労ビザの種類一覧」もあわせてご確認ください。

切り替えの必要書類と手続きの流れ
切り替えは「在留資格変更許可申請」として行います。必要書類は、本人と新しい雇用先の会社がそれぞれ用意します。
必要書類の概要
本人が用意するもの(変更許可申請書・写真・在留カード・卒業証明書・成績証明書 等)
本人側の主な書類は、在留資格変更許可申請書、写真(縦4cm×横3cm)、パスポート・在留カード(提示)、学歴を証明する卒業証明書・成績証明書、これまでの職歴を示す書類などです。海外の学歴の場合は、原本と日本語訳を併せて提出します。
新しい雇用先が用意するもの(雇用契約書・登記事項証明書・決算書・理由書 等)
新しい雇用先側の主な書類は、雇用契約書または労働条件通知書、会社の登記事項証明書、決算書、会社案内、採用理由書などです。理由書では、本人のキャリア計画や、会社で担う役割を具体的に記載し、専攻・経歴と職務の関連性を示すことが重要です。受入企業のカテゴリーによって書類は増減します。
資格外活動の履歴も審査対象
家族滞在から就労ビザへの切り替えでは、これまでの資格外活動許可の履歴も審査の対象になります。家族滞在中にどのくらい働いていたか、週28時間の範囲内に収まっていたかが確認されます。後述するとおり、超過の履歴があった場合は変更審査で不利に働くため、現状の就労状況を整理しておきましょう。
手続きの流れ・審査期間・手数料
在留資格変更許可申請の流れ

手続きの流れは、必要書類の準備 → 地方出入国在留管理局へ申請(窓口またはオンライン)→ 入管の審査 → 結果通知(許可の場合は通知ハガキ)→ 在留カードの切替、という流れになります。
審査は原則2か月以内/手数料は窓口6,000円・オンライン5,500円

審査期間は、原則として2か月以内に結果が通知されます。手数料は、許可されたときに収入印紙で納付し、窓口6,000円・オンライン5,500円です(2025年4月改定後)。
なお、2026年5月の入管法改正により、今後在留資格の変更手数料が大幅に引き上げられること(最大で数万円規模)が決定しています。具体的な施行日や金額は今後発表されますが、旧料金のうちに変更を希望される方は、早めに手続きを進めることをおすすめします。
申請書様式・記入方法の詳細は他記事へ
申請書の様式や具体的な書き方、必要書類の一般的な内容は「就労ビザの申請方法(必要書類と申請の流れ)」で詳しく解説しています。在留資格変更の標準的な進め方は「留学ビザから就労ビザへの変更」もあわせてご覧ください。
家族滞在の切り替えで特に注意すべき点(家族滞在特有の核心)
ここからが、家族滞在からの切り替えで最も注意すべきポイントです。他の在留資格からの切り替えにはない、家族滞在ならではのリスクがあります。
資格外活動「週28時間超過」のリスク
超過の履歴は変更不許可の大きな要因に
家族滞在中に、資格外活動許可の範囲(週28時間以内)を超えて働いていた場合、在留状況に問題があると評価され、就労ビザへの変更が不許可になるリスクが大きく高まります。
「卒業や就職が決まれば過去のことは関係ない」とはいきません。入管は本人の在留状況を継続的に確認しているため、超過の事実が記録に残っていれば、変更審査で不利に働きます。
雇用主にも不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑/300万円以下の罰金)のリスク

さらに重要なのは、雇用主側のリスクです。家族滞在の方を週28時間を超えて働かせていた場合、入管法第73条の2に基づく「不法就労助長罪」が雇用主側に成立するリスクがあります。
法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、これは外国人を採用する企業にとって重大な経営リスクです。これから採用する企業は、採用前に他社との掛け持ちを含めた就労状況を必ず確認しておく必要があります。
超過していた場合の「是正」
経緯・是正措置・再発防止の説明書面の準備
万一、過去に超過してしまっていた場合は、その事実を隠すのではなく、是正に向けた対応が必要です。具体的には、超過の経緯(なぜ超えてしまったか)、是正措置(いつから28時間以内に戻したか)、再発防止策(今後の管理方法)を説明する書面を準備します。これを変更申請の理由書とあわせて提出し、入管に状況を正直に説明することで、変更審査で考慮してもらえる余地が生まれます。
税金・社会保険の未納の整理
超過分の収入がある場合は、税金(住民税・所得税)や社会保険料の未納がないかも確認します。未納があれば速やかに整理してください。ただし、納税や保険料の支払いを済ませただけで資格外活動違反そのものが消えるわけではないため、経緯と是正の状況を丁寧に説明することが不可欠です。
切り替えで「扶養」から外れる
扶養者の健康保険の被扶養者から外れる
実務上のもう一つのポイントとして、就労ビザへ切り替えると、これまでの「家族滞在(扶養される立場)」から外れ、独立した就労者になります。これにより、扶養者(配偶者)の健康保険の被扶養者から外れ、ご自身で勤務先の健康保険に加入することになります。
税の扶養の扱いが変わる
同様に、税の扶養の扱いも変わります。配偶者控除や扶養控除の対象から外れるため、世帯全体の所得税・住民税の計算にも影響します。新しい雇用先と既存の世帯の両方で社会保険・税の手続きが必要になるため、切り替えのタイミングで確認しておきましょう。
つまずきやすい点と専門家への依頼
家族滞在からの切り替えでつまずきやすい点と、専門家依頼の判断軸を整理します。
専攻と職務の関連性の説明不足
第一のつまずきは、専攻と職務の関連性の説明不足です。家族滞在中に従事していたアルバイトの内容と、これから就く正社員の職務がまったく異なるケースも多く、なぜこの会社・職務を選んだのか、本人の学歴・経歴がどう活きるのかを、理由書で具体的に説明する必要があります。
オーバーワーク履歴の是正説明
第二のつまずきは、週28時間超過の履歴があった場合の是正説明です。前述のとおり、隠すのではなく、経緯と是正を丁寧に説明することが大切です。説明書面の作り方は専門家のサポートがあると安心です。
海外学歴の証明・翻訳
第三のつまずきは、海外学歴の証明・翻訳です。母国の卒業証明書や成績証明書の取り寄せに時間がかかるほか、翻訳の精度や様式にも注意が必要です。早めに着手することで、申請スケジュール全体に余裕が生まれます。
専門家への依頼を検討すべきタイミングとメリット
これらは、いずれも事前の準備と説明で防げるものです。申請取次を行う行政書士に依頼すれば、関連性の立証や理由書の作成、超過があった場合の経緯・是正の説明書の作成、適切な在留資格(技人国/特定技能)の選定までを一貫してサポートできます。とくに、過去の就労状況に不安がある場合や、職務との関連性が微妙なケースでは、申請前の早い段階で相談することをおすすめします。
よくあるご質問
- 家族滞在ビザのままフルタイムで働けますか?
-
できません。
家族滞在は資格外活動許可を得ても週28時間以内までです。フルタイム(28時間超)で働くには、就労ビザへの在留資格変更(切り替え)が必要です。
- 家族滞在から就労ビザへの切り替えの条件は何ですか?
-
通常の就労ビザと同じです。
学歴(大卒・専門士)または実務経験、専攻と職務の関連性、専門的・技術的な業務であること、企業の要件(同等以上の報酬・事業の安定性)が問われます。
- どんな職種なら切り替えできますか?
-
エンジニアや通訳・翻訳、企画など専門的な業務は通りやすい傾向です。
単純労働は原則認められません。製造・建設・介護などの現場業務は「特定技能」への切り替えが選択肢になります。
- 切り替えに必要な書類は何ですか?
-
在留資格変更許可申請書、写真、在留カード、卒業証明書・成績証明書(本人)と、雇用契約書、会社の登記・決算書類、理由書(会社)などです。
資格外活動の履歴も審査されます。
- 週28時間を超えて働いていた場合はどうなりますか?
-
在留状況のマイナス要因となり、切り替えが不許可になるリスクが高まります。
超過があった場合は、経緯・是正措置・再発防止を説明する書面の準備が必要です。
- 採用する会社にリスクはありますか?
-
あります。
週28時間を超えて働かせていた場合、雇用主に不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)が成立するリスクがあります。採用前の就労状況の確認が重要です。
- 切り替えると扶養から外れますか?
-
はい。
就労ビザに切り替えると独立した就労者になり、扶養者の健康保険の被扶養者や税の扶養の扱いが変わります。世帯での取り扱いを確認しておきましょう。
- 審査期間や手数料はどれくらいですか?
-
審査は原則2か月以内に結果が通知されます。
手数料は許可時に窓口6,000円・オンライン5,500円(収入印紙で納付)です。
-1024x576.jpg)
- 複雑で面倒なビザ(在留資格)申請・更新手続きを全て代行
- 就労ビザ・特定技能・外国人枠の採用から労務管理まで幅広く対応
- ビザ申請代行は10万円〜! お得に面倒な業務を外注
\まずはお気軽に相談/
まとめ
家族滞在から就労ビザへの切り替えでは、通常の審査要件に加え、過去の「週28時間以内」の就労制限を守れていたかが厳しく問われます。スムーズに手続きを進めるためにも、とくに重要なポイントを最後におさらいしておきましょう。
- 家族滞在は原則就労不可で、資格外活動許可を得ても週28時間以内まで
- フルタイム(28時間超)で働くには就労ビザへの在留資格変更(切り替え)が必須
- 切り替えの条件は通常の就労ビザと同じ(学歴・専攻と職務の関連性・単純労働でないこと・企業要件)
- 資格外活動の「週28時間超過」の履歴は不許可の大きな要因。雇用主にもリスクがある
- 切り替えで扶養から外れ、健康保険・税の扶養の扱いが変わる
家族滞在からの切り替えは、過去の就労状況の立証や説得力のある理由書の作成など、専門的なノウハウが審査の成否を分けます。少しでも不安がある方や確実なビザ取得を目指す方は、ぜひビザ申請専門の行政書士へご相談ください。

.png)