賃貸契約や住宅購入のときに不動産会社から火災保険を勧められ、「この金額は高くないか」「他社と比較できないか」と感じた方も多いのではないでしょうか。火災保険は、相談先を知り、補償内容を理解すれば、自分に合ったものを選べます。
この記事では、相談できる窓口の種類から、提示額を比較する方法、補償の要否の判断までを現役のファイナンシャルプランナー がわかりやすくお伝えします。
- 火災保険をどこで相談・見積もりできるのか(相談先の種類)
- 不動産会社から提示された火災保険を他社と比較する方法
- 火災保険で補償される範囲と、地震が対象外である理由
- 水災・地震などの特約が必要かどうかの判断ポイント
- 賃貸・持ち家それぞれで必要な補償の考え方

【西山 尚志 | ファイナンシャルプランナー】
株式会社altruloopフィナンシャルパートナーズ マネージャー
個人・法人保険及びファイナンシャルプランナーとして、個人のライフプランニングから法人の経営課題解決まで、多角的な視点でトータルサポートを提供している。保険商品の販売にとどまらず、保険募集人として、高度な専門性と倫理観を持ち、客観的かつ公正な立場から、顧客の最善の利益を追求する。
火災保険はどこで相談できる?相談先の種類
火災保険の相談先には、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
火災保険一括見積もり・比較サイト
ネット上で複数の保険会社から、まとめて見積もりを取り寄せられるサービスです。
手軽に利用でき、自分のペースで保険料や補償内容を比較したい方に向いています。
保険代理店・保険相談窓口
複数の保険会社を取り扱う代理店であれば、プロに対面で相談しながら比較・検討ができます。それぞれの住まいに合わせた補償の組み合わせを提案してもらえるのがメリットです。
ただし、店舗によって火災保険の取り扱い有無が異なるため、事前の確認をおすすめします。

保険会社に直接相談する
主にネット型(ダイレクト型)の保険会社へ、Webサイトなどを通じて直接見積もりを依頼する方法です。1社の商品を深掘りして相談できますが、他社との横並びの比較はできません。
すでに加入したい保険会社が決まっている場合におすすめです。
電話での相談・見積もり
コールセンターなど、電話を通じて見積もりや相談ができる窓口です。ネットの操作が苦手な方でも、担当者に質問しながら手続きを進められるのがメリットです。
店舗に行かずに相談する方法については、以下の記事も参考にしてください。

不動産会社から提示された火災保険は他社と比較してよい
賃貸契約や住宅購入のときに不動産会社から勧められる火災保険ですが、他社と比較してよいものです。
不動産会社の提示する火災保険は必須ではない
賃貸契約や住宅購入の際、不動産会社から特定の火災保険を勧められることが多くあります。しかし、その保険への加入が義務づけられているわけではありません。
契約で求められている補償条件(借家人賠償責任など)さえ満たしていれば、自分で選んだ別の火災保険に加入しても原則問題ありません。
角を立てずに提案を断るコツは、こちらの記事で解説しています。

他社と比較すると保険料を抑えられることがある
不動産会社が提示するプランは、あらかじめ補償が手厚くセットされていたり、割高な保険会社の商品だったりするケースが少なくありません。
同等の補償内容であっても、他社と比較するだけで保険料を大幅に抑えられるケースがあるため、まずは一括見積もりなどを試してみる価値は十分にあります。
比較するときの注意点
比較するときは、いくつかの点に注意しましょう。
- 保険料の安さだけでなく、補償内容が同等かを確認する
- 賃貸契約で求められる補償(借家人賠償責任など)が含まれるか確認する
- 契約のタイミング(入居日まで)に間に合うよう手続きする
安さだけで選ぶと、必要な補償が抜けてしまうことがあります。補償内容をそろえたうえで比較することが大切です。
火災保険で補償される範囲と「地震が対象外」の理由
火災保険を考えるうえで、補償される範囲を正しく理解しておくことが大切です。
火災保険が補償する主な範囲
火災保険は、火災以外にもさまざまな災害を補償します。
火災・落雷・破裂爆発のほか、風災・水災などの自然災害も補償の対象です。補償の対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」から選べます。保険金は、時価ではなく新価(同等のものを再び用意するのに必要な金額)で支払われる商品が主流になっています。
地震による損害は火災保険では補償されない
最大の注意点は、地震・噴火、そしてこれらによる津波を原因とする損害は、火災保険では一切補償されないという点です。たとえ地震が原因で火災が発生したとしても、火災保険の対象外となります。

財務省の記載にもある通り、地震リスクに備えるためには、火災保険とセットで「地震保険」に加入する必要があります。
地震保険の基本ルール
地震保険には、いくつかの基本ルールがあります。
- 地震保険は、火災保険とセットでなければ加入できない
- 保険金額は、火災保険の30〜50%までという制限がある
- 保険会社によっては、地震保険の上乗せ特約で最大100%までカバーできる場合がある
地震保険だけを単独で契約することはできない点を覚えておきましょう。
水災・地震などの特約は必要?要否の判断ポイント
火災保険の特約は、自分の住まいの状況に合わせて要否を判断することが大切です。
水災補償の要否
水災補償をつけるかどうかは、住まいの「立地」で判断します。河川の近くや低地、浸水想定区域にお住まいの場合は必須と言えますが、高台やマンションの高層階など、浸水リスクが極めて低い場合は、補償を外すことで保険料を抑えられます。
自宅のリスクは事前に、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」などで確認しておきましょう。

上記のような公的なサイトを活用すれば、住所を入力したり地図を合わせたりするだけで、手軽にご自宅周辺の浸水リスクを把握できます。
地震保険の要否
地震による建物の全壊・半壊リスクや、被災後の生活立て直し費用に備えたい場合は加入をおすすめします。特に「持ち家(建物を所有している)」の場合は、住宅ローンの返済リスクなども考慮して前向きに検討すべきです。
また、地震が原因の火災に備える「地震火災費用保険金」という特約もあります。
必要な補償を見極めて保険料を抑える
パッケージ型の火災保険は手厚い反面、ご自身には不要な補償まで含まれているケースがあります。
ハザードマップ(立地)や建物の構造に合わせて補償を取捨選択し、不要なものを外すことが、保険料を賢く抑える一番の近道です。
賃貸・持ち家で異なる火災保険の考え方
火災保険の考え方は、賃貸か持ち家かで大きく変わります。それぞれ見ていきましょう。
賃貸入居者の場合
賃貸の場合、建物自体は大家さんが保険をかけているため、入居者が加入するのは自分の家具や家電を守る「家財保険」がメインとなります。あわせて、万が一の火災時に大家さんへの損害賠償を補償する「借家人賠償責任特約」をセットで契約するのが一般的です。
持ち家(建物所有)の場合
マイホーム(持ち家)の場合は、建物自体と家財の両方に保険をかける必要があります。建物の保険金額は「再調達価額(今と同じ建物をもう一度新築・購入するために必要な金額)」を基準に設定するのが鉄則です。
そのうえで、立地に応じて水災や地震への備えをプラスしていくと良いでしょう。
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火災保険相談でよくある質問
不動産会社に勧められた火災保険に必ず入らないといけませんか?
必ず入る必要はありません。
指定された補償条件(金額や特約)さえ満たしていれば、ご自身で探したリーズナブルな保険に加入しても問題ないケースがほとんどです。提示額が高いと感じたら、まずは他社で見積もりを取ってみましょう。
火災保険で地震の被害は補償されますか?
補償されません。
火災保険では、地震・噴火・津波による損害は補償の対象外です。地震が原因の火災も補償されません。地震に備えるには、火災保険とセットで地震保険に加入する必要があります。
賃貸住宅でも火災保険は必要ですか?
必要です。
賃貸住宅でも火災保険は必要です。建物自体は大家の火災保険でカバーされますが、入居者は自分の家財を守る家財保険や、大家への賠償に備える借家人賠償責任保険を検討する必要があります。多くの場合、賃貸契約時に加入が求められます。
火災保険の見積もりはネットや電話だけで取れますか?
はい、手軽に取得可能です。
一括見積もりサイトを利用したり、保険会社のコールセンターに電話したりするだけで見積もりを出してもらえます。まずは金額だけ知りたい、という使い方も問題ありません。
生命保険の相談窓口で火災保険も相談できますか?
窓口によって異なります。
火災保険は「損害保険」にあたるため、生命保険を専門に扱う窓口や代理店では取り扱っていないケースがあります。来店前に、火災保険の取り扱いがあるか電話やWebサイトで確認しておくとスムーズです。
まとめ
火災保険は「勧められたまま」加入するのではなく、ご自身の住環境やライフスタイルに合わせてカスタマイズすることが何より大切です。
不要な補償を見直して保険料を賢く抑えつつ、水災や地震など本当に必要な備えをしっかり確保することで、万が一の際にも安心できる住まいづくりにつながります。
- 火災保険は一括見積もりサイトや代理店などで比較検討が可能
- 不動産会社が提示する保険は必須ではなく、他社との比較で安くなることも
- 火災保険では地震被害は対象外(別途、地震保険が必要)
- 水災や地震の補償は、ハザードマップや立地から要否を判断する
- 賃貸は「家財」、持ち家は「建物+家財」をベースに考える
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