現在の顧問社労士との関係、本当に満足していますか?
日々の業務で何となく感じる疑問や小さな不満。それが積み重なり、「もしかしたら、もっと自社に合う社労士がいるのでは…」と考え始める経営者様や人事ご担当者様は少なくありません。
社労士の変更は、企業にとって大きな決断ですが、適切な理由と手順を理解すれば、事業成長の大きな一歩となる可能性があります。本記事では、多くの企業が社労士変更を検討する具体的な理由から、後悔しないための変更手順、そして新しいパートナー選びの秘訣まで、専門家の視点から徹底解説します。
社労士事務所altruloop(アルトゥルループ)は、企業様の成長フェーズに最適な労務サポートの実現をお手伝いします。
なぜ変えたい?企業が社労士変更を考える【よくある7つの理由】
企業が顧問社労士の変更を検討する背景には、様々な要因があります。契約当初は満足していても、企業の成長や事業環境の変化に伴い、現在の社労士が自社に合わなくなるケースは少なくありません 。実際に、社労士の変更は珍しいことではなく、多くの経営者から同様の相談が寄せられています 。ここでは、多くの企業から寄せられる代表的な変更理由を7つご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、課題を明確にする一助としてください。
理由1:コミュニケーション不足とレスポンスの遅さ
最も多く聞かれる不満の一つが、コミュニケーションに関する問題です。迅速かつ的確なコミュニケーションは、信頼関係の基盤となります。
質問への回答が遅い・曖昧
日々の労務管理では、緊急性の高い相談も発生します。しかし、「問い合わせてもなかなか返事が来ない」「回答が曖昧で結局どうすれば良いか分からない」といった状況では、業務に支障をきたし、不安が増大します
。社労士は重要な労務判断に関わるアドバイスを提供する立場であり、その回答の遅延や不明瞭さは、企業にとって直接的なリスクや機会損失につながりかねません。このようなコミュニケーションの行き違いが続くと、社労士への信頼は徐々に薄れていきます。
専門用語が多く理解しづらい
社労士からの説明が専門用語ばかりで、内容を十分に理解できないケースです。経営者や人事担当者が必ずしも労務の専門家ではないため、分かりやすい言葉で説明する能力は非常に重要です。専門的な内容を、相手の知識レベルに合わせて噛み砕いて説明できるか否かは、社労士のコミュニケーション能力を測る上で大切なポイントとなります。理解できない説明は、結果として誤った判断を招く可能性も否定できません。
定期的な情報提供や訪問の不足
法改正情報や助成金情報など、自社にとって有益な情報がタイムリーに提供されない、あるいは定期的な訪問や状況確認がなく、関与が薄いと感じる場合です。これにより、「放置されているのでは」という不信感につながることもあります。企業側としては、常に最新の情報を把握し、適切な労務管理を行いたいと考えているため、社労士からの積極的な情報提供や関与が期待されます。
理由2:提案力・専門知識への不満やミスマッチ
企業の成長ステージや直面する課題は常に変化します。それに伴い、社労士に求める専門性や提案力も変わってきます。
最新の法改正や助成金情報への対応不足
労働関連法規は頻繁に改正され、新たな助成金制度も登場します。しかし、社労士がこれらの最新情報に疎く、適切なアドバイスや活用提案がない場合、企業は機会損失や法令違反のリスクを抱えることになります
。企業としては、法改正に迅速に対応し、活用できる制度は積極的に利用したいと考えており、そのための専門的なサポートを社労士に求めます。
自社の業界特性や事業ステージへの理解不足
「どの会社にも当てはまる一般論ばかりで、自社の特殊な事情を汲み取ってくれない」と感じるケースです。特に、成長期にある企業や専門性の高い業界では、その特性を理解した上での労務戦略が不可欠です
。例えば、IT業界と建設業界では労務管理のポイントが大きく異なります。自社のビジネスモデルや業界慣行を理解し、それに即したアドバイスができる社労士でなければ、真のパートナーとは言えません。
受け身な姿勢と提案の欠如
指示された手続きをこなすだけで、企業課題の解決や経営改善に繋がるような積極的な提案がない場合です。経営者は、単なる事務代行者ではなく、共に事業を成長させるパートナーとしての役割を期待しています
。例えば、生産性向上に繋がる人事制度の提案や、リスクを未然に防ぐための就業規則の見直しなど、企業価値向上に貢献する能動的な姿勢が求められます。
理由3:サービス範囲と顧問料のアンバランス
提供されるサービス内容と顧問料のバランスは、契約継続の重要な判断基準です。
顧問料に見合わないサービス内容
「毎月高い顧問料を支払っているのに、実際に提供されるサービスが少ない、または質が低い」と感じる場合です。費用対効果への疑問は、変更を考える大きな動機となります
。企業は、支払う顧問料に対して、それに見合う価値あるサービスが提供されているかを常に評価しています。このバランスが崩れたと感じた時、他の選択肢を検討し始めるのは自然な流れです。
不明瞭な料金体系と追加費用
契約時に想定していなかった追加費用が頻繁に発生する、あるいは料金体系が複雑で分かりにくい場合も不満の原因となります。透明性の高い料金設定が求められます。どのような業務が顧問料の範囲内で、どのような場合に別途費用が発生するのかが明確でなければ、企業は安心して業務を依頼できません
。
理由4:ITツールへの対応力不足
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代において、ITツールの活用は業務効率化に不可欠です。
クラウドシステムへの対応の遅れ
企業がクラウド型の勤怠管理システムや給与計算ソフトを導入しても、顧問社労士がそれらのシステムに対応できず、連携がスムーズにいかないケースです 。企業が業務効率化のためにIT投資を行っても、顧問社労士がその変化に対応できなければ、その効果は半減してしまいます。むしろ、二重管理のような非効率を生むことさえあります。
DX化による業務効率化相談への非対応
ペーパーレス化や業務プロセスのデジタル化について相談しても、具体的なアドバイスやサポートが得られない場合、時代に即したサービス提供ができていないと判断されることがあります。現代の企業は、労務管理分野においてもDXを推進し、生産性を向上させたいと考えています。社労士には、そのための専門的な知見やサポートを提供する役割が期待されています。
理由5:担当者との相性・信頼関係の問題
専門的なスキルだけでなく、担当者との人間的な相性や信頼関係も、長期的なパートナーシップには欠かせません。
相談しにくい雰囲気や高圧的な態度
「質問しづらい」「威圧的に感じる」など、担当者とのコミュニケーションが心理的な負担になっている場合です。気軽に相談できない関係性では、問題の早期発見や解決が難しくなります 。労務に関する相談は、時にデリケートな内容を含むため、担当者が威圧的であったり、相談しにくい雰囲気であったりすると、企業側は必要な情報を十分に伝えられず、結果として適切なアドバイスが得られない可能性があります。
担当者の頻繁な変更と引継ぎ不足
社労士事務所側の都合で担当者が頻繁に変わり、その都度、引継ぎが不十分で同じ説明を繰り返さなければならない場合、企業側は大きなストレスを感じます。安定したサポート体制と、しっかりとした情報共有がなされていることは、信頼関係を築く上で非常に重要です。
理由6:企業の成長・変化にサービスが追いついていない
企業の成長ステージが変われば、労務管理の課題も質・量ともに変化します。
新たな労務課題への対応力不足
従業員数の増加に伴う複雑な勤怠管理、多様な雇用形態への対応、メンタルヘルス対策など、新たな労務課題に対して、現行の社労士では十分なサポートが得られないと感じるケースです 。企業が成長し、組織が複雑化するにつれて、労務管理の難易度は格段に上がります。これに対応できる専門性やキャパシティが現在の社労士にない場合、変更を検討するのは当然の流れと言えるでしょう 。
事業拡大やIPO準備へのサポート不足
海外進出、M&A、株式上場(IPO)準備など、企業の大きな変革期に必要な専門的かつ高度な労務サポートが期待できない場合、より専門性の高い社労士への変更が検討されます。例えば、IPO準備には、厳格な労務コンプライアンス体制の構築や、複雑な人事制度設計が求められます。これらに対応できる専門知識と経験を持つ社労士のサポートは不可欠です。
理由7:経営的視点の欠如
社労士には、単なる手続き代行だけでなく、経営課題の解決に貢献する視点も期待されます。
手続き代行に終始するサポート
給与計算や社会保険手続きは正確に行ってくれるものの、それ以上の経営に資するアドバイスや、労務リスクを未然に防ぐための能動的な働きかけがない場合です。企業経営者は、社労士を単なるアウトソーシング先としてではなく、経営戦略を共に考えるパートナーとして捉えたいと考えています。
経営課題解決への貢献不足
人事評価制度の構築、採用戦略、組織開発といった経営戦略と連動した人事労務の提案がなく、経営者の良き相談相手とは言えないと感じるケースです。例えば、人材育成やリテンション戦略は、企業の持続的成長に不可欠な要素です。これらに対して、労務の専門家としての知見を活かした具体的な提案が社労士からなされることは、経営者にとって非常に価値があります。
社労士変更を決断する前に!確認すべきことと円満な解約ステップ
社労士の変更を決意したら、感情的に進めるのではなく、計画的に手続きを進めることが重要です。現社労士との契約内容を確認し、円満な解約とスムーズな引継ぎを目指しましょう。
ステップ1:現行の顧問契約書を徹底確認!契約期間と解約条項
まず、現在の顧問社労士との間で締結している契約書の内容を細部まで確認します。特に以下の点は重要です。この確認を怠ると、後々予期せぬトラブルや費用が発生する可能性があるため、変更を考え始めた初期段階で必ず行いましょう。
解約申し入れの期限と通知方法
「解約は何ヶ月前までに通知する必要があるか」「通知は書面かメールか」など、契約書に定められた解約ルールを正確に把握します。これを怠ると、意図せず契約が自動更新されたり、解約がスムーズに進まない可能性があります。例えば、「解約希望月の3ヶ月前までに書面で通知」といった条項があれば、それに従う必要があります。
違約金の有無の確認
契約期間の途中で解約する場合、違約金が発生する条項がないか確認が必要です。 予期せぬ出費を避けるためにも、事前に確認しましょう。契約期間満了を待たずに解約する場合、残存期間の顧問料相当額などが違約金として請求されるケースもあります。
資料返却や守秘義務に関する取り決め
解約後の預託資料(賃金台帳、労働者名簿、就業規則など)の返却方法や時期、守秘義務がどのように規定されているかを確認します。これらの資料は次の社労士への引継ぎにも不可欠なため、スムーズな返却がなされるよう、契約上の取り決めを把握しておくことが大切です。
ステップ2:「なぜ変更したいのか」理由と「新しい社労士への期待」を明確化
変更を成功させるためには、現状の何に不満があり、新しい社労士に何を期待するのかを具体的に整理することが不可欠です。この整理が曖昧なまま新しい社労士を探し始めると、また同じような不満を抱えることになりかねません。
不満点の具体的なリストアップ
「レスポンスが遅い」「提案がない」といった抽象的な不満だけでなく、「〇〇の質問への回答に3日かかった」「過去1年間で助成金の提案が一度もなかった」など、具体的なエピソードと共にリストアップします。これにより、次の社労士選びの基準が明確になります。この作業は、感情的な整理だけでなく、客観的な評価軸を作るためにも重要です。
新しいパートナーに求める条件と優先順位設定
リストアップした不満点を踏まえ、新しい社労士に求める必須条件(例:業界特化、ITツール対応)と、あれば望ましい条件(例:定期訪問月1回以上)**を洗い出し、優先順位をつけます。これにより、候補先の比較検討が効率的に行えます。全ての希望を100%満たす社労士を見つけるのは難しいかもしれませんが、自社にとって何が最も重要かを見極めることが成功の鍵です。
ステップ3:現社労士への解約意思の伝え方とタイミング
契約内容の確認と自社の要求整理が終わったら、いよいよ現社労士へ解約の意思を伝えます。伝え方とタイミングは、円満な解約のために非常に重要です。プロフェッショナルな関係を維持し、スムーズな引継ぎ協力を得るためにも、慎重な対応が求められます。
トラブルを避ける誠実なコミュニケーション
たとえ不満があったとしても、感情的な表現は避け、感謝の意を伝えつつ、冷静かつ事務的に解約の意思を伝えることが望ましいです。 相手の立場を尊重する姿勢が、無用なトラブルを回避します。長年お世話になった場合は特に、これまでの貢献に対する感謝を伝えることで、相手も協力的になりやすいでしょう。
解約理由の伝え方のポイント
可能であれば、「会社の事業フェーズの変化に伴い、より専門特化したサポートが必要になった」など、前向きな理由や、やむを得ない事情を伝えると角が立ちにくいでしょう。 必ずしも詳細な不満点を伝える必要はありません。相手を非難するような伝え方は、引継ぎ業務への非協力的な態度を招く可能性もあるため避けるべきです。
解約通知のメール文例
口頭で伝えた後、証拠として残すためにも、書面またはメールで解約通知を送付するのが一般的です。以下にメールの文例を記載します。
〇〇社会保険労務士事務所
〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
これまで貴社(貴事務所)とお取引させていただきましたが、誠に勝手ながら、〇年〇月〇日をもちまして、次回の契約更新を見送らせていただくこととなりました(または、顧問契約を解約させていただきたく存じます)。
これまで賜りましたご支援に対し、心より感謝申し上げます。
契約終了に伴い、お預けしております資料のご返却や、その他必要な手続きがございましたら、ご指示いただけますと幸いです。
後任の社労士への引継ぎに関しましても、ご協力いただけますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社(貴事務所)のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
株式会社〇〇
(担当者名)
ステップ4:証拠の確保とトラブル発生時の対応(必要な場合)
万が一、解約や引継ぎに関してトラブルが発生した場合に備え、やり取りの記録を残しておくことが賢明です。また、相談先も知っておくと安心です。
やり取りの記録(メール、書面)
解約に関する通知、引継ぎの依頼、資料返却の確認など、重要なコミュニケーションはメールや書面で行い、保管しておきましょう。 これは、後の「言った言わない」のトラブルを防ぐためです。特に、解約日、資料の返却期限、引継ぎ内容など、重要な合意事項は明確に記録に残すことが重要です。
社労士会への相談窓口
もし、社労士の対応に著しく問題がある、あるいは不当な扱いを受けたなど、当事者間での解決が難しい場合は、その社労士が所属する都道府県の社労士会に相談窓口があります。 社労士会は、会員社労士の指導や監督を行う役割も担っており、中立的な立場からアドバイスやあっせんを行ってくれる場合があります。
次こそ失敗しない!自社に最適な「新しい社労士」の選び方5つの秘訣
新しい社労士選びは、今後の労務管理の質を左右する重要なプロセスです。以下の5つの秘訣を参考に、自社に最適なパートナーを見つけましょう。社労士を変更するということは、現状の課題を解決し、より良い未来を築くための投資です。そのため、慎重かつ戦略的に選ぶ必要があります。
秘訣1:専門分野・実績・得意業界が自社のニーズと合致しているか
社労士事務所によって、得意とする分野や業界、企業規模は異なります。自社の状況と照らし合わせて、最適な専門性を持つ社労士を選ぶことが重要です。
事務所の得意分野と実績の確認方法
事務所のウェブサイトやパンフレットで、特に力を入れているサービス分野(例:就業規則作成、助成金申請、IPO支援)や、これまでの実績(顧問先数、解決事例など)を確認します。例えば、全国の社労士事務所の平均顧問契約社数は33社程度であり、100社以上の顧問先を持つ事務所は全体の約8.3%とされています。顧問先数が多いことは、それだけ多くの企業から信頼され、経験を積んでいる一つの指標となり得ます。
自社の業界・規模への対応経験
自社が属する業界(例:IT、製造、医療、建設など)の労務管理に精通しているか、同程度の企業規模のクライアントをサポートした経験が豊富かを確認します。 業界特有の慣行や法規制への理解は、的確なアドバイスに不可欠です。例えば、建設業や運輸業には特有の労務管理ルールが存在し、これらの業界に精通している社労士であれば、より専門的なサポートが期待できます。
秘訣2:コミュニケーションの質と相性~「話しやすさ」は最重要~
専門知識と同じくらい重要なのが、コミュニケーションの取りやすさです。どんなに優れた知識を持っていても、それが伝わらなければ意味がありません。
レスポンスの速さと分かりやすさ
問い合わせへの返信の速さ、説明の分かりやすさ、親身な対応は、ストレスなく相談できる関係性の基本です
。 初回相談や問い合わせ時の対応で見極めましょう。レスポンスが遅い、あるいは説明が難解であると、日々の業務で気軽に相談しづらくなり、結果として問題解決が遅れる可能性があります。
複数の担当者との面談の重要性
可能であれば、代表社労士だけでなく、実際に日常業務を担当する可能性のあるスタッフとも面談し、相性を確認することが望ましいです 。 実際にやり取りをするのは担当スタッフであることが多いため、そのスタッフとの相性が業務の円滑さに大きく影響します。
オンライン・対面など連絡手段の柔軟性
自社の希望するコミュニケーション手段(メール、電話、チャットツール、Web会議、対面訪問など)に柔軟に対応してくれるかを確認します 。 最近ではChatworkのようなビジネスチャットツールを導入し、迅速な対応を心がけている事務所もあります。自社の働き方やコミュニケーションスタイルに合った方法で連絡が取れるかは、日々のストレス軽減にも繋がります。
秘訣3:「提案力」と「課題解決への姿勢」~受け身ではなく伴走型か~
現状維持ではなく、企業の成長をサポートしてくれる社労士を選びましょう。単に手続きを代行するだけでなく、企業の課題解決に積極的に関与してくれる姿勢が重要です。
具体的な提案内容の評価ポイント
自社の状況や課題をヒアリングした上で、どのような具体的な改善提案やリスクヘッジ策を示してくれるかを評価します。過去の事例や実績を交えた説明があるとより信頼できます。例えば、「当社のこの課題に対して、どのようなアプローチで解決に導いてくれますか?」といった具体的な質問を投げかけてみるのも良いでしょう。
最新情報(法改正、助成金、ITツール等)への感度
法改正の動向、活用可能な助成金、業務効率化に繋がるITツールなど、常に最新情報を収集し、積極的に顧客に提供・提案する姿勢があるか確認します。 労務関連の情報は日々更新されるため、社労士が常にアンテナを張り、有益な情報をタイムリーに提供してくれることは、企業にとって大きなメリットとなります。
DX化への積極的な対応
クラウド勤怠管理や給与計算システムの導入支援、ペーパーレス化の推進など、労務管理のDX化に積極的で、具体的なノウハウを持っているか確認します。 これからの時代、労務管理のDXは避けて通れません。社労士がDXに精通していれば、システムの選定から導入、運用までトータルでサポートしてくれる可能性があります。
秘訣4:明確な料金体系と費用対効果~納得できる価格設定か~
料金体系の透明性と、提供されるサービス内容とのバランスは非常に重要です。不明瞭な料金体系は、後々の不信感につながります。
サービス範囲と料金の明確性
顧問契約に含まれる具体的なサービス範囲(どこまでが標準業務で、どこからがオプションか)と、それに対応する料金が明確に提示されているか確認します。 例えば、「給与計算は〇人まで基本料金に含む」「就業規則の作成は別途料金」など、具体的な範囲が示されているかを確認しましょう。
追加料金発生ケースの確認
どのような場合に別途料金が発生するのか、その際の料金基準なども事前にしっかりと確認し、後々のトラブルを避けます。 例えば、労働基準監督署の調査対応や、助成金の申請代行などがオプションサービスとなる場合、その料金が事前に明示されているかを確認することが大切です。
秘訣5:セカンドオピニオンや初回相談を活用し、複数の候補を比較検討
最初から1社に絞らず、複数の社労士事務所から話を聞き、比較検討することが、最良の選択に繋がります。手間はかかりますが、このプロセスを惜しまないことが、後悔しない社労士選びのポイントです。
相談時の質問リスト準備
事前に質問したいこと(自社の課題、期待するサポート、料金など)をリスト化しておき、各候補に同じ質問をすることで、比較が容易になります。これにより、各事務所の強みや特徴、自社との相性などを客観的に評価できます。
見積もり内容の比較ポイント
複数の事務所から見積もりを取得し、料金だけでなく、サービス範囲、担当者の経験や人柄、提案内容などを総合的に比較します。 安さだけで選ぶと、後でサービス内容に不満が出ることもあります。費用対効果を総合的に判断することが重要です。
新しい社労士選びのチェックポイント表
以下は、新しい社労士を選ぶ際のチェックポイントをまとめた表の例です。自社の状況に合わせて項目を調整し、候補先の比較検討にご活用ください。
チェック項目 | 確認すべき具体的なポイント | 自社としての期待値/最低ライン |
---|---|---|
専門分野・実績 | 得意とする業務分野、業界特化の経験年数、類似規模・業種の顧客実績数、具体的な成功事例 | 自社の業界(例:IT)に精通、従業員〇名規模の実績多数 |
コミュニケーション | 初回問い合わせへの返信時間、説明の分かりやすさ、担当者の話しやすさ、連絡手段の柔軟性(チャット対応可否など) | 質問への回答は原則24時間以内、専門用語を避け平易な言葉で説明 |
提案力・課題解決力 | 自社の課題に対する具体的な提案内容、法改正・助成金情報の提供頻度、問題発生時の対応力 | 受け身ではなく proactive な提案、助成金活用に積極的 |
IT・DX対応力 | クラウド勤怠・給与システムへの対応可否、導入支援実績、ペーパーレス化への取り組み | クラウド給与システム〇〇との連携必須、DX推進の相談ができる |
料金体系 | 顧問料に含まれるサービス範囲、追加料金が発生するケースとその基準、料金の明確性・妥当性 | 月額顧問料〇〇円以内、追加費用の事前明示、費用対効果が高いこと |
担当者の質・相性 | 担当者の実務経験年数、人柄、自社の担当者との相性、代表社労士の関与度 | 担当者が親身で相談しやすい、実務経験5年以上 |
事務所の体制 | スタッフ数、担当者が不在の場合のバックアップ体制、個人情報管理体制 | 複数担当制で対応が途切れない、セキュリティ対策が万全 |
この表を活用することで、各候補事務所の強み・弱みを客観的に把握し、自社にとって最適なパートナーを選び出すための一助となるでしょう。
新旧社労士間のスムーズな引継ぎを実現するポイントと注意点
新しい社労士が決まったら、現社労士から新社労士へのスムーズな業務引継ぎが重要です。これにより、業務の空白期間を防ぎ、継続性を保ちます。引継ぎがうまくいかないと、給与計算の遅延や手続き漏れなど、実務上の問題が発生する可能性があります。
ポイント1:引継ぎ期間とタイミングの見極め
引継ぎには一定の期間が必要です。余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
新しい社労士との契約開始時期
理想は、現社労士との契約終了前に新しい社労士との契約を開始し、引継ぎ期間を設けることです。 例えば、1ヶ月程度の重複期間を設けることで、新旧社労士間で直接情報をやり取りしたり、新社労士が過去のデータを確認しながら業務に慣れる時間を確保できます。これにより、業務が途切れるリスクを最小限にできます。
繁忙期を避けるなどの配慮
給与計算の集中する月末月初や、労働保険の年度更新(通常4月~5月)、社会保険の算定基礎届の提出時期(通常7月)など、社労士業務の繁忙期を避けて引継ぎを行うのが望ましいです。 繁忙期に引継ぎを行うと、新旧双方の社労士に過度な負担がかかり、ミスが発生しやすくなる可能性があります。
ポイント2:会社側で準備・整理しておくべき情報・資料リスト
引継ぎを円滑に進めるためには、会社側でも事前に必要な情報や資料を整理しておくことが大切です。新社労士が速やかに業務を理解し、適切なサポートを開始できるようにするためです。
従業員関連データ(名簿、賃金台帳等)
労働者名簿、賃金台帳(過去数年分)、過去の給与データ、社会保険・労働保険の加入状況、入退社履歴、労働条件通知書(雇用契約書)の控えなど、従業員に関する基本的なデータを整理し、新社労士に速やかに提供できるようにします。これらのデータは、給与計算や社会保険手続きの基礎となるため、正確かつ網羅的に準備することが求められます。
規程類(就業規則、労使協定等)
現行の就業規則、賃金規程、育児介護休業規程、各種労使協定(36協定、変形労働時間制に関する協定など)の最新版を準備します。改定履歴などもあれば申し伝えます。これらの規程類は、企業の労務管理の根幹をなすものであり、新社労士が企業のルールを正確に把握するために不可欠です。
現行の労務課題や懸案事項の共有
現在進行中の労務トラブル、過去にあった重要な労働審判や訴訟の記録、その他特筆すべき労務上の課題や懸案事項があれば、新社労士に正確に伝えます。例えば、特定の従業員との間で問題を抱えている場合や、近々予定している組織変更など、新社労士が事前に知っておくべき情報は包み隠さず共有することが重要です。
ポイント3:新旧社労士への協力依頼とコミュニケーション
新旧社労士間の連携がスムーズに進むよう、会社が仲介役となることもあります。会社が積極的に関与することで、引継ぎの質とスピードが向上します。
新しい社労士への引継ぎ協力の確認
新しい社労士と契約する際に、旧社労士からの引継ぎ業務にどこまで協力してもらえるか(例:資料の精査、疑問点の旧社労士への確認代行など)を事前に確認しておきましょう。 新しい社労士によっては、引継ぎサポートを積極的に行ってくれる場合もあります。
現社労士への丁寧な依頼
現社労士には、これまでの感謝を伝えつつ、後任への引継ぎ協力を丁寧に依頼します。具体的な引継ぎ項目やスケジュールを提示すると、相手も対応しやすくなります。感情的にならず、あくまで事務的な協力をお願いする姿勢が大切です。
三者面談の検討
可能であれば、会社、現社労士、新社労士の三者で引継ぎに関する面談の機会を設けることも有効です。 直接コミュニケーションを取ることで、誤解を防ぎ、効率的な情報共有が期待できます。特に、複雑な案件や継続中の課題がある場合には、三者面談が非常に効果的です。
よくある質問
社労士の変更に関して、多く寄せられるご質問とその回答をまとめました。
Q. 社労士を変更するのに最適なタイミングはありますか?
A. 契約更新のタイミングや、事業年度の切り替わり時期が一般的にはスムーズです。 これらは、手続き的にも区切りが良く、引継ぎの計画も立てやすいためです。また、就業規則の大幅な改定や給与計算システムの見直しなど、大きな労務関連プロジェクトの開始前も、新しい社労士と共に新たなスタートを切る良い機会と言えるでしょう。 逆に、労働保険の年度更新(4月~5月)や社会保険の算定基礎届(7月)の直前直後、あるいは労務トラブル発生直後などの繁忙期や混乱期は、引継ぎが煩雑になるため避けた方が賢明です。 では「基本的にいつ変更いただいても問題ありません。通常であれば1~2ヶ月ほどで引き継ぎが完了できます」との見解もありますが、企業側の負担やリスクを考慮すると、やはり計画的な移行が望ましいでしょう。
Q. 今の社労士に不満を伝えずに変更しても良いですか?
A. 法律上、不満を伝える義務はありません。しかし、円満な解約とスムーズな引継ぎのためには、感謝の意と共に、例えば「事業方針の変更に伴い、より専門性の高いサポートが必要となったため」といった当たり障りのない理由を伝え、協力をお願いするのが一般的です。 詳細な不満点を列挙する必要はありません。大切なのは、感情的にならず、プロフェッショナルな関係を保ちつつ、必要な協力を得ることです。ただし、最も優先すべきは自社の利益とスムーズな移行であり、状況によっては事務的に解約通知のみを行うことも選択肢の一つです。
Q. 新しい社労士との契約前に確認すべき最も重要なことは何ですか?
A. 一つに絞るのは難しいですが、「自社の業界や規模、抱える課題に対する深い理解と実績があるか」「提案力があり、共に成長を目指せるパートナーシップを築けそうか」「コミュニケーションが円滑で、信頼できる担当者か」の3点は特に重要です。これらは、提供されるサービスの質と長期的な関係性に直結します。例えば、専門知識が豊富でも、自社の業界特性を理解していなければ的確なアドバイスは期待できません。また、どんなに優れた提案でも、担当者と円滑なコミュニケーションが取れなければ、その価値は半減してしまいます。料金も重要な要素ですが、安さだけで選ぶと、結局必要なサービスが受けられなかったり、コミュニケーションに問題が生じたりして失敗する可能性もあります。
Q. 社労士変更でトラブルになった場合、どこに相談できますか?
A. まずは当事者間での話し合いが基本ですが、解決が難しい場合、その社労士が所属する都道府県の「社会保険労務士会」に苦情相談窓口が設けられていますので、そちらに相談することができます。 社労士会は、会員である社労士の業務の適正な運営を確保するための指導や連絡、紛議の調停などを行っています。状況によっては、弁護士や法テラス(日本司法支援センター)への相談も選択肢となります。 トラブルに備え、解約や引継ぎに関するやり取りの記録(メール、書面など)は、証拠としてきちんと保管しておくことが重要です。
まとめ
顧問社労士の変更は、企業にとって大きな決断です。しかし、それは同時に、現状の課題を解決し、より良い労務管理体制を構築し、さらなる事業成長を目指すための重要な転換点となり得ます。大切なのは、変更理由を明確にし、自社に本当に合うパートナーを慎重に選ぶことです。本記事で解説した「変更の理由」「円満な解約ステップ」「新しい社労士の選び方」「スムーズな引継ぎのポイント」が、皆様の意思決定の一助となれば幸いです。
社労士事務所altruloop(アルトゥルループ)では、全国対応・初回相談無料でご相談を承っております。人事労務に関するお悩みはお問い合わせよりお気軽にご相談ください。