会社を守る就業規則の作り方とは?作成方法や記載項目を社労士が解説

初めて従業員を雇う経営者の皆様へ。「就業規則はネットの雛形で十分」と思っていませんか?実は、その安易な判断が、将来の深刻な労務トラブルを招く火種になりかねません。就業規則は、単に法律で定められた義務だから作成するものではありません。会社の秩序を維持し、従業員との無用な争いを避け、万が一の際には会社を法的に守るための、極めて重要な「経営ツール」です。

この記事では、単なる作り方ではなく、会社を本気で守るための「戦略的な就業規則」の作成ポイントを、社労士事務所altruloopの専門家が、実際に起こりがちなトラブル事例を交えながら具体的に解説します。

目次

なぜ、ネットの雛形(テンプレート)では会社を守れないのか?

インターネットで手軽に入手できる就業規則の雛形(テンプレート)は、一見すると網羅的で、そのまま使えそうに見えます。しかし、これらを安易に利用することには、経営上の大きなリスクが潜んでいます。テンプレートはあくまで一般的な最大公約数的な内容であり、個々の企業の実態に即していないため、いざという時に機能しないどころか、かえって会社を不利な状況に追い込むことさえあるのです。

その根本的なリスクは、テンプレートが経営者に**「法的な義務を果たした」という誤った安心感**を与えてしまう点にあります。保護されていると思い込んでいたルールが、実際には法的な効力を持たなかったり、会社が意図しない義務を負わされたりするケースは後を絶ちません。保護の盾のつもりが、自らを傷つける武器になり得るのです。ここでは、特にトラブルに発展しやすい3つのポイントから、テンプレートの危険性を解説します。

理由1:自社の実態に合わない「服務規律」

服務規律とは、従業員が職場で守るべきルールのことです。テンプレートに記載されている服務規律は、「会社の許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用してはならない」といった、非常に一般的な内容に留まることがほとんどです。

しかし、企業が直面するリスクは業種や働き方によって大きく異なります。例えば、建設業であれば現場での安全管理や工具の取り扱いが最重要項目になりますが、IT企業であれば顧客データや社内システムのセキュリティ、リモートワーク時の情報管理が生命線です 。

テンプレートの画一的なルールでは、こうした  自社の事業内容に根差した固有のリスクに対応できません。

特に近年、問題となりやすいのがSNSの利用に関する規定です 。テンプレートにあるような曖昧な守秘義務規定だけでは、従業員が会社の悪口や内部情報、顧客とのやり取りをSNSに投稿するといった行為を具体的に禁止し、抑止することは困難です。こうした行為は、会社の信用を著しく毀損し、回復不能なダメージを与える可能性があります。自社の実態に即した具体的な服務規律がなければ、こうした現代的なリスクから会社を守ることはできないのです。  

理由2:後から揉める「残業代」の定義

残業代に関するトラブル、特に「固定残業代(みなし残業代)」をめぐる紛争は、中小企業が直面する最も深刻な労務リスクの一つです 。多くの経営者は、毎月の給与計算の煩雑さを避けるために固定残業代制度を導入しようとしますが、テンプレートの知識だけで安易に導入すると、後々、  

高額な未払い残業代請求を招く危険性が極めて高いのです。

固定残業代制度が法的に有効と認められるためには、厳格な要件を満たす必要があります。特に重要なのが以下の2点です。

  • 明確区分性の要件:通常の労働時間の対価である基本給部分と、時間外労働の対価である固定残業代部分が、金額的に明確に区分されている必要があります 。例えば、「月給30万円(固定残業代含む)」というような記載では、どこまでが基本給でどこからが残業代なのかが不明確なため、裁判では固定残業代制度自体が無効と判断される可能性が高いのです。  
  • 差額精算の合意と実態:固定残業代が想定する時間を超えて残業が行われた場合、その超過分については別途、差額を支払う旨が合意され、実際に支払われている必要があります 。この差額精算に関する規定がなければ、制度全体が無効とみなされるリスクがあります。  

テンプレートの多くは、これらの法的要件を十分に満たしていません 。その結果、会社は適正に残業代を支払っているつもりでも、法的には「固定残業代は残業代としての効力を持たず、単なる手当の一部。したがって、残業代は一切支払われていない」と判断され、過去に遡って多額の未払い残業代(及び遅延損害金、付加金)の支払いを命じられることになるのです。  

理由3:いざという時に対応できない「問題社員」規定

「勤務態度が悪い」「協調性がない」「指示に従わない」といった、いわゆる「問題社員」への対応は、多くの経営者が頭を悩ませる問題です。しかし、テンプレートの就業規則では、こうした社員に有効な手を打つことはほぼ不可能です。

なぜなら、テンプレートの懲戒事由は「社内の風紀・秩序を乱したとき」といった抽象的な表現に終始しているためです 。これでは、具体的にどのような行為が懲戒処分の対象になるのかが不明確です。例えば、注意指導をしても報告を怠る、会議で非協力的な態度をとる、といった「グレーゾーン」の問題行動に対して、この規定を根拠に懲戒処分を下すことはできません 。  

法的な大原則として、会社は就業規則に具体的に定めていない事由で従業員を懲戒することはできませんつまり、問題行動が起きても、それを罰するルールが就業規則になければ、会社は有効な措置を取れず、問題社員の行動を事実上、黙認せざるを得なくなります。  

さらに危険なのは、テンプレートが会社に意図しない義務を課すケースです 。例えば、高齢者雇用に関する規定で、法が求める選択肢(定年延長、継続雇用制度など)をすべて併記したテンプレートをそのまま使うと、本来は会社が選択すべき制度を、従業員側が自分に最も有利なものを選んで要求できる、という解釈の余地を与えかねません。このように、テンプレートは会社を守るどころか、予期せぬリスクを生み出す原因となるのです。  

トラブルを未然に防ぐ!「会社を守る条文」3つの作成ポイント

テンプレートの危険性を理解した上で、次に「では、どうすれば会社を守れるのか?」という具体的な作成方法について解説します。重要なのは、起こりうる労務トラブルを予測し、それを未然に防ぐための「防御的な条文」を戦略的に盛り込むことです。ここで紹介する3つのポイントは、単なる個別のテクニックではなく、相互に関連し合って機能する**「リスク管理システム」**として捉えることが重要です。明確な服務規律(ポイント1)があって初めて、問題行動に対する懲戒処分(ポイント3)が可能となり、健康問題が絡む場合は休職・復職制度(ポイント2)という別のルートで適切に対応できる、という関係性にあります。

ポイント1:「問題行動」を具体的に列挙する服務規律の作り方

会社が従業員に懲戒処分を下すことができるのは、その根拠となる行為(懲戒事由)が就業規則に明記されている場合に限られます。これは「罪刑法定主義」の考え方に通じる、労働契約法上の大原則です 。したがって、服務規律は「こうあってほしい」という理想を掲げるだけでなく、「このような行為は許されない」という具体的な禁止事項を網羅的にリストアップする必要があります。  

抽象的な表現を避け、実際に起こりうる問題行動を具体的に定義することが、有効な服務規律を作成する上での鍵となります。

具体的な条文例(Before/After)

【Before】テンプレートにありがちな曖昧な規定

(服務規律) 第〇条 従業員は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職場の秩序の維持に努めなければならない。

これでは、何が違反行為なのか全く分かりません。そこで、以下のように具体的な行動レベルまで落とし込みます。

【After】会社を守るための具体的な規定

(服務規律) 第〇条 従業員は、以下に定める事項を遵守しなければならない。

  1. 常に健康に留意し、誠実かつ勤勉に自己の業務に精励すること。
  2. 正当な理由なく、上司の業務上の指示・命令に従うこと。これを拒否しないこと。
  3. 会社からの注意指導を受けたにもかかわらず、業務上必要な報告・連絡・相談を繰り返し怠り、業務の円滑な遂行を妨げないこと。
  4. 職務に関連して知り得た会社、取引先等の機密情報を、在職中および退職後も、会社の許可なく第三者に漏洩しないこと。
  5. 個人の運営するブログ、SNS(X、Facebook、Instagram等)その他のインターネット上のサービスにおいて、会社の機密情報、顧客情報、未公表の経営情報、その他会社の信用を毀損し、または従業員間の信頼関係を損なうおそれのある内容を発信しないこと。
  6. 会社の許可なく、会社の施設内で業務に関係のない物品の販売、集会、演説、ビラの配布・掲示等の行為を行わないこと。
  7. 暴言、威圧的な言動、他者を孤立させる行為など、他の従業員の就業意欲を低下させ、職場の環境を悪化させる行為を行わないこと。 (以下、自社の実態に合わせて追加)

このように問題行動を具体的に列挙することで、初めて会社は従業員の行動に明確な基準を示し、違反があった場合には注意指導や懲戒処分の根拠とすることができるのです。

ポイント2:休職・復職に関するルールの定め方

特にメンタルヘルス不調による長期休職は、現代の企業が直面する大きな課題です。休職・復職に関するルールが曖昧だと、休職が長期化したり、復職の判断をめぐってトラブルになったりするリスクが高まります 。就業規則における休職・復職規定は、従業員の療養を支援すると同時に、会社の秩序と業務への影響を管理するための重要なプロセス管理ツールです。  

休職・復職トラブルを防ぐ3つの重要規定

会社指定医による受診命令権

休職者から提出される主治医の診断書は、患者本人の意向が強く反映される傾向があります。そのため、会社が客観的に復職の可否を判断するためには、会社の指定する医師(産業医など)の診断を求める権利を規定しておくことが不可欠です 。これにより、セカンドオピニオンを得て、安全配慮義務の観点からも適切な判断が可能になります。  

【規定例】従業員が私傷病により復職を申し出る際は、通常の業務遂行が可能である旨を記載した主治医の診断書を提出しなければならない。会社は、その判断のために必要があると認める場合、従業員に対し、会社が指定する医師への受診を命じることができ、従業員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。

休職期間の通算規定

メンタルヘルス不調では、復職後に症状が再発し、再び休職に至るケースが少なくありません 。このとき、休職期間の「通算規定」がないと、一度復職したことで休職期間がリセットされ、また一から休職期間を与えなければならなくなる可能性があります。これを防ぐのが通算規定です。  

【規定例】同一または著しく関連性のある傷病により休職し、復職した従業員が、復職日から起算して〇ヶ月(例:6ヶ月)以内に再び同一等の事由により欠勤するに至ったときは、休職を命じるものとし、その休職期間は、前後の期間を通算する。

休職期間満了時の「自然退職」規定

休職期間が満了しても復職できない場合の取り扱いを明確に定めておくことは、トラブル回避の要です。選択肢としては「解雇」と「自然退職」がありますが、**「自然退職」**と規定することをお勧めします。「解雇」は会社側の一方的な意思表示であり、紛争に発展しやすいのに対し、「自然退職」は「休職期間満了までに復職できない」という条件が成就したことにより、労働契約が自動的に終了するという整理であり、比較的トラブルになりにくいとされています 。

【規定例】休職期間が満了してもなお、休職事由が消滅せず、復職することができない場合は、休職期間の満了日をもって自然退職とする。

これらの規定を整備することで、休職・復職のプロセスを場当たり的な対応ではなく、ルールに基づいた一貫した運用にすることが可能となります。

ポイント3:解雇トラブルを回避する懲戒処分の段階設定

従業員を解雇することは、会社にとって最も重い決断であり、法的なリスクも最大です。特に「能力不足」や「勤務態度不良」を理由とする普通解雇は、裁判でその正当性を認めてもらうのが非常に難しいのが実情です。そこで重要になるのが、解雇に至る前の懲戒処分の段階的な適用です。

懲戒処分は、単なる罰則ではありません。問題行動に対して、会社が段階的かつ適切に注意指導・処分を行い、改善の機会を与えてきたという客観的な記録を残すための、法的な防衛システムなのです。この記録の積み重ねが、万が一解雇に至った際に「解雇はやむを得ない最終手段であった」と主張するための強力な証拠となります。

就業規則には、懲戒処分の種類を軽いものから重いものまで段階的に設定し、どのような行為がどの程度の処分に該当するのかを明確にしておく必要があります。

懲戒処分の段階設定と具体例

処分段階内容と法的制限対象となる非違行為の例
① 譴責 (けんせき) / 戒告 (かいこく)始末書を提出させ、将来を戒める。最も軽い処分。比較的軽微な服務規律違反、業務上の軽微なミス。
② 減給 (げんきゅう)賃金から一定額を差し引く。1回の額は平均賃金1日分の半額、総額は一賃金支払期の1割が上限 。  譴責・戒告後も改善が見られない遅刻・早退。軽度の業務命令違反。
③ 出勤停止 (しゅっきんていし)一定期間の出勤を禁じ、その間の賃金は無給。期間は就業規則で定める(例:7~10日程度)。  正当な理由のない職務放棄、同僚への暴言、繰り返される業務命令違反。
④ 降格 (こうかく)役職や職位を引き下げる。それに伴い役職手当等が減額される。管理監督者によるハラスメント行為、監督責任の著しい懈怠。
⑤ 諭旨解雇 (ゆしかいこ)懲戒解雇に相当するが、反省が見られる場合に退職を勧告。応じない場合は懲戒解雇に移行 。  懲戒解雇事由に該当するが、情状酌量の余地がある場合。
⑥ 懲戒解雇 (ちょうかいかいこ)最も重い処分。即時解雇となり、退職金が不支給または減額となることが多い 。  業務上横領、重要な経歴詐称、長期の無断欠勤、重大なハラスメント。

手続きの正当性を担保する「弁明の機会」

懲戒処分を行う上で、処分の重さと同じくらい重要なのが「手続きの適正さ」です。特に、従業員にとって不利益の大きい処分(出勤停止以上)を検討する際には、本人に言い分を述べる機会(弁明の機会)を与えることが、紛争を避ける上で極めて重要です 。この手続きを就業規則に明記しておくことで、会社の懲戒権行使の正当性を高めることができます。  

【規定例】

会社は、懲戒処分を行うにあたり、事案の軽重に応じて、対象となる従業員に対し、原則として弁明の機会を与えるものとする。

懲戒処分の制度をこのように段階的かつ手続き的に整備しておくことが、衝動的な解雇判断を防ぎ、会社を「不当解雇」のリスクから守る最善の策となるのです。

就業規則の作成から届出までの3ステップ

戦略的な就業規則の原案が完成したら、次に行うべきは法的に有効なものにするための手続きです。このプロセスは大きく3つのステップに分かれます。手続きを正しく踏むことで、初めて就業規則が法的な効力を持ちます 。  

ステップ1:就業規則の原案を作成する

最初のステップは、これまで解説してきたポイントを踏まえ、自社の実態に合った就業規則の原案を作成することです。テンプレートをそのまま使うのではなく、自社で起こりうる労務リスクを洗い出し、それを防ぐための具体的な条文を盛り込むことが重要です。この段階で、社会保険労務士などの専門家に相談し、法的な妥当性やリスクヘッジの観点から内容を精査することをお勧めします。

ステップ2:従業員代表から意見を聴取する

就業規則を作成・変更する際には、従業員の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は従業員の過半数を代表する者から意見を聴かなければならないと法律で定められています 。  

この「意見聴取」は、しばしば「同意を得なければならない」と誤解されがちですが、法律が求めているのはあくまで意見を聴くことです。代表者から「反対である」という意見が出されたとしても、その意見書を添付して届け出れば、手続き上は問題ありません 。  

ただし、円滑な労使関係を築くためには、一方的な通知ではなく、事前に従業員向けの説明会を開くなど、内容について丁寧に説明し、理解を求める姿勢が望ましいでしょう 。  

意見を聴取したら、「意見書」という書面に意見を記入してもらい、代表者の署名または記名押印をもらいます。この意見書が、次の届出ステップで必要になります。

ステップ3:労働基準監督署へ届け出る

最後に、作成した就業規則を管轄の労働基準監督署長へ届け出ます。届出には以下の3つの書類が必要です 。  

  • 就業規則(変更)届:就業規則を新たに作成した、または変更したことを届け出るための表紙です。様式は厚生労働省のウェブサイトなどから入手できます。
  • 意見書:ステップ2で従業員代表から聴取した意見を記した書面です。
  • 就業規則 本文:作成した就業規則そのものです。

ここで非常に重要な実務上のポイントがあります。それは、就業規則の本文を2部用意して提出することです。1部は提出用、もう1部は会社控え用です。窓口に2部提出すると、控え用に労働基準監督署の受付印(受理印)を押して返却してくれます 。この受付印が押された控えは、会社が正式に就業規則を届け出たことの証明となるため、必ず受け取って大切に保管してください。  

届出方法は、労働基準監督署の窓口へ持参するほか、郵送(控え返送用の切手を貼った封筒を同封)や、e-Govを利用した電子申請も可能です 。  

なお、届出が完了しても、それで終わりではありません。作成した就業規則は、従業員全員に周知する義務があります 。事業所の見やすい場所への掲示、書面での交付、社内イントラネットへの掲載など、従業員がいつでも内容を確認できる状態にしておくことで、初めて就業規則は法的な効力を持つことを忘れないでください 。  

よくある質問

ここでは、就業規則の作成に関して経営者の皆様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 従業員が10人未満でも就業規則は作った方が良いですか?

はい、作成を強く推奨します。労働基準法上、就業規則の作成・届出義務があるのは常時10人以上の従業員を使用する事業場ですが、労務トラブルのリスクは従業員が1人でもいれば存在します 。むしろ、経営基盤が盤石でないことが多い小規模な企業ほど、たった一件の不当解雇訴訟や未払い残業代請求が致命傷になりかねません。トラブルが発生した際に「会社のルールはこうなっている」と明確に主張できる根拠を持つことは、不要な争いを防ぎ、会社を守るための最善の策です。義務がないから作らないのではなく、会社を守るための投資として作成すべきです。  

Q. 就業規則の内容は、従業員にとって不利な内容に変更できますか?

原則として、従業員の個別の合意なく、一方的に労働条件を不利益に変更することはできません。これは「労働契約法」で定められた重要なルールです。ただし、変更に「合理的な理由」があり、変更後の就業規則を従業員に周知させた場合には、例外的に変更が認められることがあります。この「合理性」は、変更の必要性、不利益の程度、代替措置の有無、交渉の経緯などを総合的に考慮して、最終的には裁判所が判断します。安易な判断は大きなリスクを伴うため、不利益変更を検討する際は、必ず事前に社会保険労務士などの専門家へ相談することを強くお勧めします。

Q. 助成金の申請に就業規則が必要だと聞きました。

はい、多くの助成金で、その助成金の趣旨に合った就業規則の整備が申請要件の一つとなっています。例えば、育児・介護休業関連の助成金であれば、法定を上回る両立支援制度が就業規則に規定されていることが求められます。また、キャリアアップ助成金などでは、正社員転換のルールが明記されている必要があります。就業規則は、単なるリスク管理ツールとしてだけでなく、助成金を活用して経営を強化するための戦略的なツールにもなり得ます。将来的な事業展開や人材戦略を見据え、活用可能な助成金を視野に入れた規定を整備することも重要です。

Q. 作成を社労士に依頼するメリットは何ですか?

最大のメリットは、単に法的な要件を満たすだけでなく、貴社の事業内容や企業文化、将来起こりうるリスクを予測し、最適な「守りの就業規則」をオーダーメイドで設計できる点です。私たちは、様々な業種・規模の企業で発生した労務トラブル事例を熟知しています。その知見を活かし、「貴社の場合、このようなトラブルが起きやすいので、この条文を厚くしておきましょう」といった、一社一社に合わせた具体的な提案が可能です。また、頻繁に行われる法改正や最新の裁判例の動向を常に反映させ、就業規則を「生きたルール」として維持管理できる点も、専門家に依頼する大きな価値です。

まとめ

就業規則は、単なる法律上の義務ではなく、会社の未来を守るための重要な経営ツールです。ネットの雛形を安易に利用するのではなく、自社の実態に合わせて「トラブルを未然に防ぐ」という戦略的な視点で作成することが何よりも重要です。この記事で解説した「服務規律」「休職・復職」「懲戒処分」の3つのポイントは、会社を潜在的なリスクから守るための核心部分です。ぜひ、これらのポイントを参考に、貴社だけの実情に合った「守りの就業規則」を整備してください。

自社だけでの作成に不安を感じる、専門家の視点を取り入れて万全を期したいという場合は、当事務所の就業規則の作成・見直しサービスもご検討ください。 社労士事務所altruloop(アルトゥルループ)では、全国対応・初回相談無料でご相談を承っております。人事労務に関するお悩みはお問い合わせよりお気軽にご相談ください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

監修者(社労士)

社会保険労務士(社労士事務所altruloop代表)
労務管理・人事制度設計・法改正対応をはじめ、実務と経営をつなぐ制度づくりを得意とする。戦略コンサルファームでは新規事業立ち上げや組織改革に従事し、大手〜スタートアップまで幅広い企業の支援実績あり。
現在は東京都渋谷区や八王子を拠点にしている社労士事務所altruloop(アルトゥルループ)代表として、全国対応で実務と経営の両視点から企業を支援中。

目次