労務トラブルは社労士事務所altruloopへ。相談の流れや対応範囲、料金を解説

従業員との間で「未払い残業代」「ハラスメント」といった言葉が飛び交い、どう対応すればよいのか、夜も眠れないほどの不安を感じていませんか?初動を誤れば、問題は法的な紛争へと発展し、金銭的な損失はもちろん、他の従業員の士気にも関わる深刻な事態になりかねません。

この記事では、多くの企業の労務問題を解決してきた専門家として、労務トラブル発生時に社会保険労務士(社労士)が具体的にどのようなサポートができるのか、その対応範囲と流れを分かりやすく解説します。

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目次

まず確認:労務トラブルで社労士ができること・できないこと

労務トラブルに直面したとき、まず知っておくべきは、社労士が「どこまで関与できるのか」という点です。社労士の業務範囲は法律で定められており、その限界を正しく理解することが、最適な専門家を選ぶ第一歩となります。

あっせん代理:話し合いによる円満解決をサポート

労務トラブルの解決方法として、裁判の前に「あっせん(ADR:裁判外紛争解決手続)」という公的な制度があります。これは、労働局などの第三者機関が間に入ることで、当事者間の話し合いによる円満解決を目指す手続きです。裁判に比べて手続きが迅速で、費用も抑えられるというメリットがあります。

この「あっせん」手続きにおいて、会社の代理人として法的に活動できるのが「特定社会保険労務士」です 。特定社労士は、特別な研修を受け、試験に合格した社労士で、紛争解決の代理業務が認められています。  

具体的には、以下の活動を代理人として行います。

  • あっせん手続きに関する相談と戦略立案  
  • 労働局などへ提出する「あっせん申請書」や「答弁書」の作成・提出  
  • あっせんの場に同席し、会社の主張を法的に整理して意見を陳述  
  • 相手方との和解交渉  
  • 和解が成立した場合の「和解契約書」の作成と締結  

このように、特定社労士は話し合いの席で会社の「代理人」として、問題解決の最前線に立つことができます。

書類作成・提出代行:労働基準監督署への報告書など

労働社会保険諸法令に基づく行政機関への書類作成や提出代行は、社労士の独占業務です 。労務トラブルの際には、この業務が極めて重要になります。  

例えば、労働基準監督署から是正勧告を受けた場合の「是正報告書」の作成や、トラブルの根本原因となった「就業規則」の見直し・作成、未払い残業問題に関連する「36協定」の再整備などが該当します。

トラブルをその場しのぎで終わらせるのではなく、法的に不備のない書類を整備し直すことで、将来同様のリスクが発生することを防ぎます。

【重要】弁護士法との境界線:交渉・訴訟代理はできません

社労士の活動には、弁護士法第72条という明確な境界線が存在します 。この法律は、弁護士以外の者が報酬を得る目的で、訴訟や法律事件に関する交渉(示談交渉など)の代理業務を行うこと(非弁行為)を禁止しています 。  

これを労務トラブルに当てはめると、以下のようになります。

  • できません:あっせん(ADR)以外の場で、会社の代理人として従業員やその代理人弁護士と直接、和解交渉を行うこと 。  
  • できません:「労働審判」や「訴訟(裁判)」になった場合に、会社の代理人として法廷に立つこと 。  
  • できます:会社が交渉に臨む際に、アドバイザーとして背後でサポートすること。例えば、交渉の進め方、落としどころ、法的な論点について助言し、社長や担当者が自信を持って交渉できるよう支援します 。  
  • できます:訴訟になった場合、弁護士の**「補佐人」**として裁判所に同席し、労務管理の専門家として意見を陳述すること 。

この境界線を誠実にお伝えするのは、私たちがプロフェッショナルとして法律を遵守している証です。トラブルの性質やフェーズに応じて、弁護士と適切に連携しながら、お客様にとって最善の解決を目指します。

【ケース別】社労士はここまで具体的に動きます

「私の会社で起きているこの問題、具体的にどうしてくれるの?」という疑問にお答えします。ここでは、特にご相談の多い3つのケースについて、社労士の具体的な対応ステップを解説します。

ケース1:従業員から「未払い残業代」を請求された

ある日突然、退職した従業員の代理人弁護士から「未払い残業代請求」の内容証明郵便が届く。これは多くの経営者が直面する悪夢です。パニックにならず、冷静に対応することが重要です。

Step 1:初動対応と事実確認

まず、請求を無視することは絶対に避けてください。かといって、慌てて連絡を取り、安易な回答や約束をすることも危険です。私たちは、まずお客様に落ち着いていただき、タイムカード、PCのログイン・ログオフ記録、業務日報、雇用契約書、賃金台帳など、客観的な資料をすべて集めるよう依頼します 。  

Step 2:正確な残業代の再計算

次に、社労士の専門知識を活かし、法的に正しい残業代を再計算します 。単に時間を集計するだけではありません。  

  • 時間外、休日、深夜の割増率が正しく適用されているか
  • 「固定残業代(みなし残業代)」制度が法的に有効か
  • 管理監督者としての扱いが妥当か(いわゆる名ばかり管理職問題) などを精査し、会社が法的に支払うべき上限額と下限額、つまり「本当のリスク額」を正確に算出します。

Step 3:法的リスクの分析と対応方針の策定

再計算の結果と、労働時間に関する法規制や過去の判例(例:マクドナルド事件判決 )を踏まえ、会社の主張の妥当性や法的な弱点を分析します。また、賃金請求権の時効(現在は3年)も考慮に入れます 。  

その上で、以下のような具体的な対応方針を複数ご提案します。

  • 方針A:あっせん(ADR)による解決:相手方との直接交渉が難しい場合、労働局のあっせんを利用して、第三者のもとで和解を目指します。
  • 方針B:交渉サポートによる解決:会社自身が交渉の場に立つ場合、想定される質問への回答や、提示する和解金額の妥当性、交渉の進め方について、全面的にバックアップします。
  • 方針C:訴訟への備え:交渉の余地がなく、訴訟が避けられないと判断される場合は、提携する労働問題専門の弁護士へスムーズに引き継ぎます。

Step 4:再発防止策の実施

トラブル対応と並行して、なぜ未払い残業が発生したのか、その根本原因を解決します。勤怠管理システムの見直し、就業規則や賃金規程の改定、36協定の適切な締結など、将来二度と同じ問題が起きないための体制構築までサポートするのが、私たちの役割です。

未払い残業代の計算方法や管理監督者の定義については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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ケース2:社員から「ハラスメント」を訴えられた

「上司からパワハラを受けている」と従業員から相談があった場合、会社は法律(パワハラ防止法)に基づき、迅速かつ適切に対応する義務を負っています 。対応を誤ると、安全配慮義務違反を問われ、事態はさらに悪化します。  

Step 1:相談者保護と調査体制の構築

最優先は、相談者のプライバシーと安全の確保です。相談したことで不利益な扱いを受けないことを保証し、安心して話せる環境を整えます。その上で、中立・公正な立場で事実関係を調査するための担当者を決め、調査プロセスを設計します。

Step 2:公正なヒアリングの実施

社労士は、調査の進め方について具体的にアドバイスします。

  • 相談者(被害者)、行為者(加害者とされる人物)、そして必要に応じて第三者(同僚など)から、個別に、プライバシーが守られた空間で話を聞きます 。  
  • 先入観を持たず、客観的な事実(いつ、どこで、誰が、何を、どのように)を時系列で整理するようサポートします。メールや録音などの客観的証拠の有無も確認します。

Step 3:事実認定と専門的判断

集まった情報を基に、ハラスメントの事実があったかどうかを判断します。この際、「指導」と「パワハラ」の境界線など、法的な判断が求められる場面で専門的な見解を提供し、会社の判断を助けます。

Step 4:措置の決定と再発防止策の策定

ハラスメントが事実と認定された場合、就業規則に基づいて行為者への懲戒処分(けん責、減給、出勤停止など)を検討します。同時に、相談者のケア(配置転換の希望聴取など)も行います。

そして最も重要なのが再発防止です。私たちは、この一件を教訓とし、

  • ハラスメント防止規程の策定・見直し
  • 社内・社外相談窓口の設置と周知  
  • 管理職向けのハラスメント研修の実施  

といった具体的な再発防止策を提案し、その導入までを支援します。「人を大切にする職場」を本気でつくるお手伝いをします。

ケース3:突然の「退職勧奨」がトラブルに発展した

業績不振や能力不足を理由に退職を促す「退職勧勧奨」は、あくまで従業員の自由な意思に基づく合意が前提です。しかし、伝え方や進め方を誤ると、従業員から「これは退職強要であり、実質的な解雇だ」と主張され、紛争に発展することがあります。

Step 1:状況の鎮静化とリスク評価

従業員が「強要された」と感じている時点で、リスクは顕在化しています。まずは、これまでの面談の回数、時間、場所、発言内容などを客観的に振り返ります 。長時間にわたる面談や威圧的な言動があった場合、「違法な退職勧奨」と判断され、紛争が泥沼化する危険性が高まります 。  

Step 2:円満な合意退職に向けた方針転換

これ以上の説得は逆効果です。私たちは、一度仕切り直し、円満な合意形成を目指す方針へと転換するよう助言します。具体的には、退職金の上乗せや解決金の支払いといった優遇条件を提示し、従業員が納得して次のステップに進めるような着地点を探ります 。  

Step 3:法的に有効な「退職合意書」の作成

双方が条件に納得したら、その内容を法的に有効な書面にする必要があります。社労士は、以下の点を盛り込んだ「退職合意書」を作成します 。  

  • 退職が双方の合意に基づくものであることの確認
  • 最終的な退職日
  • 解決金の金額、支払日、支払方法
  • 会社への貸与物の返還について
  • 守秘義務に関する条項
  • 「本合意書に定めるほか、両者間には何らの債権債務関係がないことを相互に確認する」という清算条項

この合意書を締結することで、将来の紛争リスクを遮断し、法的な区切りをつけます。

Step 4:退職後の事務手続きの確実な実行

合意退職後の社会保険の資格喪失手続きや離職票の発行など、煩雑な事務手続きを正確かつ迅速に代行します 。最後まで誠実に対応することが、会社の評判を守ることにも繋がります。  

弁護士ではなく、なぜ社労士?3つのメリット

「トラブルになっているなら、弁護士に頼むべきでは?」そう考える方も多いでしょう。もちろん、事案によっては弁護士が最適な選択です。しかし、多くの労務トラブルにおいて、社労士に最初に相談することには大きなメリットがあります。

メリット1:「予防」と「職場環境改善」の視点

弁護士が個別の「紛争解決」のプロであるのに対し、社労士は「人事労務の仕組み」と「職場環境」のプロです 。  

私たちは、目の前のトラブルを解決するだけでなく、「なぜこの問題が起きたのか?」という根本原因に目を向けます。それは、曖昧な就業規則かもしれませんし、不適切な勤怠管理、あるいは管理職のコミュニケーション不足かもしれません。その原因を特定し、就業規則の改定や人事制度の見直し、研修の実施といった具体的な改善策を提案・実行することで、トラブルの再発を予防します 。これは、問題が起きてから対処する弁護士の役割とは異なる、社労士ならではの価値です。  

メリット2:費用を抑えやすい(特に顧問契約)

費用体系の違いも大きなポイントです。弁護士に紛争解決を依頼する場合、時間単位の報酬(タイムチャージ)や、解決金額に応じた成功報酬が一般的で、特に訴訟に発展すると費用が高額かつ予測不能になりがちです 。  

一方、社労士は月額の顧問契約を基本としており、日々の相談や手続きを定額でカバーできます 。これは、トラブルを未然に防ぐための「保険」のようなもの。毎月少額の投資で専門家をパートナーにつけることで、結果的に高額な紛争解決費用を回避できる、優れた費用対効果が期待できます。  

メリット3:経営と現場に寄り添った現実的な解決策の提案

社労士は、給与計算や社会保険手続き、就業規則の運用などを通じて、日常的に企業の「人」に関する実務に深く関わっています 。そのため、法律論だけでなく、  

経営の事情と現場の感情を理解した、現実的で実行可能な解決策を提案することを得意としています。

法的に100%正しい主張を貫くことが、必ずしも会社にとって最善の策とは限りません。従業員の士気や、会社の評判、解決までにかかる時間と労力。そうした様々な要素を総合的に判断し、「法的にはこうだが、この会社の状況を考えると、この辺りで手を打つのが現実的でしょう」という、血の通ったアドバイスができるのが、経営と現場に寄り添う社労士の強みです。

特徴社会保険労務士 (社労士)弁護士
主たる焦点予防・体制改善・円満解決紛争解決・法的勝利・権利擁護
主な活動の場職場・行政機関・あっせん裁判所・労働審判・交渉
典型的な費用体系月額顧問料・固定報酬  タイムチャージ・成功報酬  
関係性人事労務の長期的パートナー特定の法的紛争の専門家

気になる相談費用:スポット契約と顧問契約の賢い選び方

専門家への相談で気になるのが費用です。ここでは、当事務所の料金体系を例に、契約形態の選び方を解説します。ご状況に合わせて最適なプランをご選択いただけます。

スポット契約が向いているケース:単発のトラブル解決

スポット契約とは、特定の業務を1回限りでご依頼いただく契約形態です 。  

こんな場合にオススメです!

  • 「就業規則を新しく作りたい/今のものを見直してほしい」
  • 「この一件の未払い残業代請求について、あっせん代理をお願いしたい」
  • 「今回だけ、助成金の申請を手伝ってほしい」

料金は「就業規則作成:20万円~」のように業務ごとに設定されており、必要な時に必要なサービスだけを利用できるのがメリットです。ただし、継続的な相談やフォローは含まれません。

顧問契約が向いているケース:継続的な予防と安心の確保

顧問契約とは、月々定額の料金で、人事労務に関する様々な相談や手続きを継続的にサポートする契約です 。  

こんな場合にオススメです!

  • 毎月の定型業務を社労士に依頼したい(給与計算、社会保険手続きなど)
  • 「トラブルが起きる前に、法的に問題ない体制を整えておきたい」
  • 「人事に関する疑問や不安を、いつでも気軽に相談できる相手がほしい」
  • 「会社が成長中で、労務管理が複雑になってきた」

顧問契約の最大の価値は「安心感」です。日頃から会社の状況を把握している専門家がパートナーとなることで、問題の早期発見と予防が可能になります。結果として、大きなトラブルに発展するリスクとコストを最小限に抑えることができます。

初回相談のご案内と料金の目安

労務トラブルは、一社一社状況が異なります。まずは現状を整理し、専門家として何ができるかをご提示させてください。その上で、ご支援が必要かどうかをご判断いただければ結構です。初回のご相談(60分)は無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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サービス料金(目安)備考
初回相談無料60分、オンライン可
顧問契約(相談業務のみ)月額 30,000円~従業員数により変動  
顧問契約(相談+手続業務)月額 50,000円~従業員数により変動  
就業規則作成(スポット)200,000円~  
あっせん代理(スポット)着手金 50,000円~ + 成功報酬事案の複雑性による  

よくある質問

Q. 地方の企業ですが、オンラインでの相談は可能ですか?

はい、もちろん可能です。全国のお客様とオンライン会議システム(Zoom等)を活用したご相談に対応しておりますので、ご安心ください。

Q. 相談した内容が外部に漏れることはありませんか?

ご安心ください。社会保険労務士には法律で定められた守秘義務(社会保険労務士法第21条)がございます。ご相談内容が許可なく外部に漏れることは一切ありません。

Q. 労働組合との団体交渉にも立ち会ってもらえますか?

社労士は、会社側のスタンスや主張を整理し、交渉の進め方についてアドバイスすることは可能です。ただし、会社側の代理人として直接交渉することは弁護士法に抵触する可能性があるため、あくまでアドバイザーとしての同席となります。状況に応じて弁護士と連携して対応します 。  

Q. 最終的に訴訟になった場合、弁護士を紹介してもらえますか?

はい、可能です。当事務所は、労働問題に精通した信頼できる弁護士と連携しております。万が一、あっせん手続きで解決せず訴訟に発展した際も、これまでの経緯を正確に引き継ぎ、スムーズに連携して最後までサポートいたしますのでご安心ください 。  

まとめ:労務トラブルは深刻化する前に専門家へ

労務トラブルは、初期対応が何よりも重要です。問題が複雑化し、訴訟に発展する前の「火種」の段階で対処することで、時間的・金銭的コストを最小限に抑えられます。社労士は、法的な観点だけでなく、職場の実情に合わせた現実的な解決策を提示し、再発防止の仕組みづくりまでサポートする専門家です。

一人で抱え込まず、まずはそのお悩みをお聞かせください。労務トラブルに関するお悩みは、社労士事務所altruloopへお気軽にご相談ください。

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監修者(社労士)

社会保険労務士(社労士事務所altruloop代表)
助成金申請・就業規則・労務DD等を得意とする。前職の戦略コンサルファームでは新規事業立ち上げや組織改革に従事し、大手〜スタートアップまで幅広い企業の支援実績あり。
現在は東京都渋谷区や八王子を拠点にしている社労士事務所altruloop(アルトゥルループ)代表として、全国対応で実務と経営の両視点から企業を支援中。

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