就業規則の作成や助成金の申請など、人事・労務関連の書類や手続きは複雑で、自社対応では限界を感じることも多いのではないでしょうか。
これらの書類は、最新の法律に基づいた正確な内容であることが求められるため、専門的な知識が欠かせません。
そこで本記事では、社労士に依頼できる書類の種類や依頼するメリット、費用相場について詳しく解説します。

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- 入社の手続きから給与計算等まで丸ごとサポート
- 補助金・助成金のサポートまで実施
- 社労士に依頼できる書類が分かる
- 社労士に書類作成を任せるメリットが分かる
- 自社で作成するリスクが分かる
- 社労士に手続きを依頼した際の費用相場が分かる
社労士が代行できる書類・手続きまとめ
社労士(社会保険労務士)は、人事・労務の手続きだけでなく、企業の労務管理を支援する専門家です。
担当する業務は、労働保険・社会保険の届出から就業規則の作成、助成金の申請まで多岐にわたります。
ここでは、社労士が対応できる主な書類・手続きをもう少し詳しく紹介します。
労働保険に関する書類(労災・雇用保険など)
労働保険とは、労災保険と雇用保険を総称した制度で、従業員を1人でも雇用する事業主は加入が義務づけられています。(※1)
年度ごとに「確定保険料」と「概算保険料」の申告が必要であり、毎年の更新手続きも発生します。
これらは、企業の労務コンプライアンス(法令順守)に直結するものであり、誤りがあると監督署から是正指導を受ける可能性もあります。
社労士が代行できる主な書類・手続きは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 雇用保険適用事業所設置届 | 新規で事業所を設置した際に提出 |
| 新規加入・脱退手続き | 従業員の入社時・退職時の手続き |
| 離職票 | 従業員の退職時に失業給付の申請で必要になる書類 |
| 年度更新 | 前年度の確定保険料の申告と概算保険料の申告・納付 |
| 労災保険の給付申請 | 労災事故で負傷・疾病した際の療養費の請求、休業中の賃金保障の請求、重篤な疾病や後遺障害が残った場合などの請求など |
| 労働者死傷病報告 | 従業員が労災事故で死亡または休業した際などに提出 |
(※1)参考:労働保険とはこのような制度です|厚生労働省
社会保険に関する書類(健康保険・年金など)
社会保険は、健康保険・厚生年金・介護保険など、従業員の生活を支える重要な制度です。加入や変更に伴う手続きは煩雑で、正確な処理が求められます。
社労士が代行できる主な書類・手続きは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 新規に健康保険・厚生年金保険の適用を受ける場合に提出 |
| 健康保険・厚生年金の資格取得・喪失届 | 従業員の入社時・退職時の手続き |
| 健康保険の被扶養者(異動)届 | 従業員に扶養している家族・親族がいる場合の手続き |
| 算定基礎届 | 毎年7月1日現在の状況をもとに標準報酬月額を決定する手続き |
| 月額変更届 | 従業員の昇給等で給与が大きく変動した場合に行う手続き |
| 傷病手当金・出産手当金申請 | 傷病手当や出産手当の代行手続き |
| 年金裁定請求手続き | 年金事務所や企業年金に対して年金の支払い請求をする手続き |
特に「算定基礎届」や「月額変更届」は、給与変動の多い時期に手続きを誤ると保険料の過不足が発生するリスクがあります。
社労士に依頼すれば、電子申請による迅速かつ正確な処理が可能です。
雇用契約・就業管理など労務関連手続き
社労士は、従業員の採用から退職までの過程で発生する雇用・就業管理に関する各種書類の作成や整備もサポートします。
必要に応じて、ハローワークへの求人申請なども代行可能です。
社労士が代行できる主な業務例は以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 法定帳簿書類の作成 | 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの作成 |
| 給与計算・年末調整 | 月次給与計算、賞与計算、年末調整、給与明細の発行・配布 |
| 就業規則、その他 | 就業規則、その他規程の作成・変更 |
| 労働者派遣事業の許可申請 | 労働者派遣法などの法令に基づいた許可要件に関するアドバイス、申請手続き代行 |
| 求人申込み(ハローワーク代理) | ハローワークへの求人申込み代行 |
| 解雇予告除外認定申請 | 解雇予告除外認定申請の代行 |
助成金・補助金の申請手続き
助成金・補助金は、雇用環境の改善や人材育成を支援するために、国や自治体が実施する制度です。申請できる制度は100種類以上にのぼり、企業規模や取り組みによって対象や条件が異なります。
社労士は、企業の状況を踏まえて最適な制度を選定し、申請書作成から提出・報告までを一括サポートします。
- キャリアアップ助成金:非正規社員の正社員化支援
- 雇用調整助成金:経済変動による雇用維持支援
- IT導入補助金:生産性向上を図るためにITツールを導入する経費の一部を補助
- 小規模事業者持続化補助金:販路開拓や生産性向上に取り組むための経費の一部を支援する小規模事業者向けの支援
- 65歳超雇用推進助成金:高齢者雇用の継続支援など
これらは要件が複雑で、書類の不備や報告漏れにより不支給となるケースも少なくありません。
社労士に依頼することで、最新の法改正や公募情報を踏まえた正確な申請が可能となり、受給漏れの防止や迅速な手続きが実現します。
社労士に書類作成を任せる4つのメリット
人事・労務の手続きは、わずかなミスでも罰則や行政指導につながる可能性があります。そのため、専門家に任せることは、企業にとって「保険」や「リスク回避策」としても有効です。
ここでは、社労士に書類作成を任せる4つの主なメリットを紹介します。
メリット1.法的に正確でミスのない書類を作成できる
社労士は、労働・社会保険分野の国家資格を持ち、各種手続きや届出を専門的にサポートする専門家です。
特に、労働保険の年度更新や社会保険の資格取得届などは、わずかな記載ミスでも差し戻しや再提出が発生します。
社労士に依頼すれば、正確な形で手続きを進められるため、行政手続きの遅延や従業員トラブルの防止につながります。
メリット2.頻繁な法改正にもすぐ対応できる
労働関係の法令は、育児・介護休業法や働き方改革関連法をはじめ、ほぼ毎年のように改正が行われています。
改正内容を知らないまま古い就業規則や届出書類を使用すると、助成金の不支給や監督署からの是正指導につながるおそれがあります。
社労士は、最新の法改正情報を常にチェックし、企業ごとに必要な対応をアドバイスします。これにより、法令遵守を維持しながら安心して経営に専念できる環境が整います。
メリット3.労務担当者の業務負担が大幅に軽減される
人事・労務担当者は、採用・勤怠・給与・保険・助成金など、幅広い業務を日常的に抱えています。特に月末や年度末は、届出や書類作成が集中し、負担が大きくなりやすい時期です。
社労士に任せれば、届出や助成金申請といった煩雑な手続きをスムーズに処理できます。
その分、担当者は採用戦略や組織開発など、より本質的な業務に集中することが可能です。分業により、人的リソースの最適化と生産性の向上が期待できます。
メリット4.給付金・助成金の受給漏れを防げる
助成金制度は頻繁に改正され、申請期限や対象要件も複雑化しています。
そのため、制度を把握しきれず、申請の機会を逃してしまう企業も少なくありません。
社労士がサポートに入ることで、書類の不備や提出遅延を防ぎ、受給のチャンスを確実に確保できます。結果として、企業の財務基盤の安定化や人材投資の促進にもつながります。
自社対応や無資格者に頼むと起きるリスク
中小企業では「費用を抑えるために自社で処理したい」「知り合いに詳しい人がいるから任せたい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、法的に誤った手続きや無資格者への委託は重大なリスクを伴います。
ここでは、よくある3つの失敗パターンを紹介します。
無資格者による代行は社労士法違反で罰則の可能性
社労士が行う書類作成・提出代行は、「社労士法」により独占業務と定められています。
無資格者が報酬を得てこれらを代行した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されるおそれがあります。
また、違反行為を依頼した企業側も、行政監査や信用失墜のリスクを負うことに。
自社の従業員が社内で行う分には問題ありませんが、外部へ委託する際は、全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録された社労士であることを必ず確認しましょう。
法改正への対応漏れで書類が受理されない
人事・労務関連の法改正は、毎年のように行われています。企業はそのたびに、最新の法律や様式に沿って届出や運用を見直す必要があります。
たとえば、「36協定届の新様式」(時間外労働の上限規制への対応)や、「社会保険の電子申請義務化」などは、改正後に手続き方法や提出書類の形式が変更されました。
こうした変更を知らずに旧様式で提出すると、受理されず再提出を求められるケースもあります。
社労士が関与していれば、法改正の直後でも最新ルールに基づいた処理が可能です。
また、改正の影響範囲を見越して、企業体制の見直しや就業規則改定の助言も受けられます。
ミスや遅延で助成金がもらえない
助成金は、申請書の誤記や期限遅延によって、不支給になるケースが多い傾向にあります。
特に「雇用調整助成金」や「キャリアアップ助成金」は、報告書や実施計画書など、複数の書類を正確にそろえて提出しなければなりません。
専門知識がないまま書類を作成すると、内容の不備や記載ミスが発生しやすく、制度を活用できないまま終わってしまうこともあります。
社労士に申請を任せれば、審査に通る書類の構成を整え、受給できる可能性を大幅に高められます。
社労士に書類作成を依頼する際の費用相場
社労士への依頼費用は、業務内容・事業規模・契約形態によって大きく異なります。
一般的には、「スポット契約」と「顧問契約」の2つのパターンがあり、スポット契約の場合の費用相場は以下の通りです。
| カテゴリ | 主な業務内容 | 費用の目安(税別) |
|---|---|---|
| 労働保険関連(労災・雇用保険など) | ・雇用保険適用事業所設置届 ・労働保険年度更新労災給付申請 ・離職票発行 | 5,000〜15,000円/件 |
| 社会保険関連(健康保険・年金など) | ・新規適用届 ・喪失届 ・算定基礎届 ・月額変更届傷病 ・出産手当金申請 | 5,000〜10,000円/件 |
| 労務管理・就業規則関連 | ・就業規則の作成・改定 ・賃金規程・育児介護規程など各種社内規程の整備 ・給与計算 | 就業規則作成:20万円~ 諸規程:10万円~ 給与計算:1人あたり月1,000〜2,000円 |
| 助成金・補助金関連 | ・キャリアアップ助成金 ・雇用調整助成金 など | 着手金+受給額の20%前後(成果報酬型が一般的) |
| 許可・認可申請関連 | ・労働者派遣事業・職業紹介事業の許可申請 ・ハローワーク求人申請 ・解雇予告除外認定申請 | 50,000〜150,000円/件 |
| 顧問契約(月額) | ・継続的な労務相談・手続代行 ・法改正対応助成金診断 ・従業員トラブル対応 | 20,000〜60,000円/月(10名〜50名規模) |
継続的に顧問契約を結ぶ場合は、法改正への対応や従業員トラブルへの相談もカバーできます。スポット依頼よりもトータルコストを抑えやすく、安定したサポートを受けられる点が魅力です。
まとめ|書類作成は専門家に任せてリスクゼロへ
- 社労士は、就業規則の作成から労働・社会保険手続き、助成金申請まで幅広い書類作成を代行できる専門家
- 自社対応や無資格者への委託は「社労士法違反」や「法改正漏れ」など重大なトラブルにつながるリスクがある
- 社労士に依頼する費用は内容により異なるが、就業規則作成で5〜15万円前後が目安
人事・労務関連の書類作成は、企業の法的リスクを防ぐための重要な業務です。
自社での対応は一見コスト削減につながるように見えますが、法令違反や助成金の不支給、行政指導など、思わぬリスクを招く可能性があります。
社労士に依頼すれば、最新の法令に準じた正確な書類作成が可能です。法改正や助成金申請にも、迅速かつ的確に対応できます。
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